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【戦略】サステナビリティ(CSR)部門責任者の責任と役割 2014/02/02 体系的に学ぶ

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日本のCSR部門の位置づけと役割

日本企業において、CSR部門は部格として存在しているところは少なく、一般的に部門の中の1グループとして設置されています。また、企業ごとにどの部門に属しているかは様々ですが、一定の傾向があります。

  • 社長直下のCSR推進室または環境推進室として設置(臨時委員会的な位置づけ)
  • 監査または内部統制担当部門の1チームとして設置(コンプライアンス重視)
  • IRまたは広報担当部門の1チームとして設置(レポート作成重視)
  • 経営企画室の1チームとして設置(社内での位置づけを確定するまでの措置)
  • 人事部の1チームとして設置(従業員教育重視)

上記の5つのタイプを共通する日本企業のCSR組織体制の特徴として、CSR部門には専任の役員がおらず、大きな権限を与えられていないということが挙げられます。担当役員および担当部長は、主管部署のマネジメントが主な役割で、CSR部門は副次的に位置づけれていると言えます。また、社長直下のCSR推進室がCSR推進委員会をまとめる場合も、社長は会社全体の責任者として多忙であり、CSR部門を日常的にマネジメントすることはできず、年1回または半年1回の委員会でのアジェンダをとりまとめ、委員会開催後の伝達だけを時限的に担うケースが多いです。そのため、CSR担当の役員や部長はCSRに関する明確なミッションや具体的な数値目標にコミットしているケースは多くはありません。

海外でのサステナビリティ部門責任者の責任と役割

アメリカを中心とした海外でのサステナビリティ部門責任者の実態は、サステナビリティ情報サービス企業のGreenBizや、大手監査法人PwCがレポートとしてまとめています。(GreenBizレポートPwCレポート

組織構成

昨今、欧米企業ではサステナビリティ担当の責任者として、Chief Sustainable Officer(CSO), Vice President of Sustainability, Director of Sustainabilityという専任の上級職を置くケースが増えています。ご覧のように、役職の名称として、CSRを使うことは今日少なく、Sustainabilityが一般的に用いられています。CSOの社内のマネジメント階層の中の位置づけとしては、CEOポジションから2つ下、すなわち最高経営会議に参加するエグゼクティグに対してCSOがレポートするのが今日では大半です。中にはCSOがCEOに対して直接レポートをするCEO-1のクラスの場合もあります。

ミッション

サステナビリティ部門の役割もここ数年で大きく変化してきています。以前は、環境部門もしくはコミュニティ部門のいずれかの事案のみを担当しているケースが多かったですが、現在は環境・コミュニティの双方を管掌することが一般的です。そして、CSOは、今日の責任として、

  • サステナビリティ戦略の立案
  • 課題の分析と特定
  • 各部門と従業員への働きかけ

といった、全社規模のプランニングと導入・装着を挙げています。彼らは全社規模での改善ポイントと数値目標を定め、それを各部門と連携しながら(動かしながら)、その目標を達成することに責任を負っているようです。

また将来重要となる責任として、 

  • 社外パートナーとの関係構築
  • 社内業務の継続的な改善

が挙げられています。ライフサイクルアセスメントやGHGモニタリング、CSR調達が進んでいる欧米では、今後、調達元や販売チャネルといった外部パートナー、さらには戦略とモニタリングをともに実行するための外部NPOパートナーとの協力という段階に入っていっているようです。

予算

サステナビリティ部門が独自予算を持つことも増えてきています。予算の使途として最も一般的なのは、エネルギー・水の消費量、GHG排出量、水使用量、廃棄物排出量のモニタリング・データ計測をするためのシステム導入です。それ以外でも外部のNPOパートナーに対して業務委託費を支払うケースも増えてきています。

サステナビリティ責任者の過去の経歴

サステナビリティ部門責任者の大学・大学院での専攻は、上位職になればなるほど、MBAなどマネジメント関連の割合が増えていきます。担当者のレベルでは、マネジメント専攻、エンジニア専攻、環境学専攻がほぼ同数となり、様々な専門分野の担当者が協力している様子が想像できます。また、サステナビリティ部門責任者・担当者の過去の職務経歴としては、過去に環境マネジメントを行っていた人が多少比較的多いですが、マーケティング、オフィス管理、製造管理、コンプライアンスなどバックグランドは様々です。サステナビリティのみのキャリアの人は2013年でも全体の10%にすぎません。また、転職が一般的な欧米であったとしてお、サステナビリティ部門責任者のうち社外からの採用者は約30%にとどまり、残りの70%は社内からの昇格または異動によって任じられています。サステナビリティは社内の各部署との連携、細かい業務理解が必要となることから、社内をよく知っていて社内からの信頼が厚い人がサステナビリティでの重責を担っているようです。

サステナビリティ業務の難しい所

サステナビリティ部門が抱える課題感としては、社内の他の優先案件に対して以下に最高経営会議の関心を勝ち取っていくかを上げる人が多くいます。全社規模のプロジェクトを動かす必要のあるサステナビリティのミッションでは、社内の上級ポジションの人からの支援が成否を左右しています。また、仕事をする上での心理的な辛さとしては、仕事の性質が社内の既存のやり方に踏み込んで改革を促さなければいけないものが多いため、「嫌われやすい」「忍耐力が必要」「強いパッションが必要」という人も多くいます。情熱を持ち、数値にも強く、社内からの信頼を得ていて、トップクラスの役員を動かす力を持たなければ仕事が務まらないサステナビリティ部門には、社内で多くの実績を積んできた優秀なベテランが配置されているようです。

文:サステナビリティ研究所所長 夫馬賢治

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