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【レポーティング】GRI G4ガイドラインのポイントと変更点 2014/02/03 体系的に学ぶ

g4

2000年の報告ガイドライン初版発行以来、世界のサステナビリティレポートをリードしてきたGlobal Reporting Initiative(GRI)。GRIは、サステナビリティレポートのガイドラインづくりを目的とする国連環境計画(UNEP)の公認協力機関として、オランダに本部を置くNGOです。GRIガイドラインは各国の代表者が集まって議論をして固められ、世界で最も普及しているものと言えます。日本では従来、環境報告書やCSR報告書を作成する上で、環境省が定めた環境報告ガイドラインを用いてきた企業が多くありました。ですが、2006年に第3版(G3ガイドライン)が、2011年に3月に第3版をアップデートした第3.1版(G3.1ガイドライン)が発行されてから、日本企業の多くもCSR報告書作成にあたりGRIのガイドラインを参照してきています。

そして、2013年5月、そのガイドラインの最新版である第4版(G4ガイドライン)が公表され、内容が新しくなりました。GRIはG3またはG3.1ガイドラインに則ったサステナビリティレポートもしばらくは認めるものの、2015年までにG4ガイドラインに切り替えるよう求めています。また、新たにGRIのガイドラインを参照する企業に対しては、最初からG4ガイドラインを参照することを薦めています。G3.1ガイドラインを研究してきた企業にとっては、新たな対応を迫られることになりました。さてG4になって何が変わったのかのでしょうか。

GRIガイドラインの概要とG3.1ガイドライン

G4の内容に入る前に、そもそもGRIガイドラインの概要を説明しましょう。GRIガイドラインは企業の経済面、社会面及び環境面のトリプルボトムラインの観点で報告するという概念がその骨格にあります。「何を報告するか」と「どのように報告するか」の両方が定めらています。

何を報告するかにあたり、G3.1ガイドラインでは、経済面、環境面、社会面(労働慣行、人権、社会、製品責任)の6項目について報告するポイントが細かく規定されていました。また、どのように報告するかでは、6項目を網羅的しつつ具体的な達成目標を定め、比較可能で経年変化がわかるような測定データを用いることが定められていました。

そして、報告の最終段階において、報告者は”GRIアプリケーション・レベル”システムを通して、GRI報告枠組みを適用した自らのレベルをA, B, Cの3段階で宣言することとされていました。さらに、レポートを外部認証した場合には+マークを付け、A+, B+, C+と表記することができました。

G4ガイドラインの内容

G4ガイドラインがG3.1ガイドラインと最も大きく異なる点は、網羅性の部分です。G3.1では各項目について網羅的に開示することが求められていましたが、G4ではそれがなくなり、報告企業にとってより重要(Materiarity)となる分野を特定してその特定項目を深く報告すること、及びなぜその分野を特定項目として定めたのかの理由を開示することが求められています。背景には、レポートの読者にとって、その企業にとって大きな影響を与えるものを、よりわかりやすく、より正確に伝えるように向上させるというG4検討段階での大きな方針がありました。この変更に驚いている日本企業が実は少なくありません。日本企業にとってG3.1ガイドラインは「何を書かなければいけないか」が明確であったことで、作成しなければいけないゴールが決まっており、社内にも協力を求めることができました。しかし、G4ではまず経営に対してイシューを特定するところから始めなくてはいけなくなりました。柔軟性の多いG4は本質的にはより望ましい姿と言えますが、「あるべきフォーマット」がなくなったことが逆に日本企業を悩ませることになっているようです。

その他G4での変更点としては、一般標準開示条項(必須項目)の中に、サプライチェーン、ガバナンス、倫理と誠実性の3つの項目が新たに追加され、特定標準開示項目(任意項目。重要項目を特定し開示する項目)の中の、温室効果ガス排出とエネルギー、腐敗防止と公共政策の2つの項目に修正が入りました。また、G3.1まであったアプリケーションレベルと外部認定の+マークが廃止され、新たに「中核 (Core)」と「包括 (Comprehensive)」の2つの準拠方法が設定されました。中核と包括の違いは開示する必要のある情報のレベルの差にあり、一般標準開示条項の項目でも中核より包括のほうが内容が多く、特定標準開示条項の項目では、中核がMateriarityを定めた項目で最低1つの指標を報告すればよいですが、包括では定めた項目のすべての指標を報告しなければいけません。ただ繰り返しですが、柔軟性を重視しているG4では、中核と包括のどちらを選ぶかは報告企業に任せれており、包括のほうが中核より良いということではありません。

G4ガイドライン準拠に向けてのアドバイス

G4ガイドラインになり、柔軟性が増したことは、基準が緩くなったということを意味しているわけではありません。そうではなく、サステナビリティレポートのレポートとしての性格がよりリアルになったと言えます。すなわち、レポートはあくまでレポートであって読者のために存在しているものです。レポートは決してサステナビリティ部署や企業が世間に誇るための成果発表の書類ではありません。G4ガイドラインの世界観においては、企業は、自らの社会・環境・経済的価値を向上させるサステナビリティ戦略は当然のこととして想定した上で、その中でも重要な要素を抜き出し読者に対してわかりやすく伝えるためにレポートを書くものとして位置づけられていると言えます。G4ガイドラインになり、企業としてのMaterialityを特定しなければならなくなったことで、サステナビリティ担当部門はより経営層との密なコミュニケーションが求められる時代になってきています。

文:サステナビリティ研究所所長 夫馬賢治

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