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【レポーティング】日本企業はCSRレポートをどう書いているのか? ー内容・ガイドライン・スケジュールー 2014/02/10 体系的に学ぶ

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今このページをご覧の方の中には、初めてCSRレポートを書くという方も、CSRレポート改善したいという方もいると思います。CSRレポートをよりよく書くにあたり、最も効率的で効果的な方法は、すでに高い評価を得ている他社のレポートをベンチマークすることです。それによって、内容、構成、参照ガイドライン、発行方法など、自社のCSRレポートを発行するにあたり、必要なゴールや要素が見えてきます。一般的にCSRレポート(サステナビリティレポート)は海外企業の方が「先を行っている」と言われていますが、海外のレポートは外国語で書かれており取っ付きにくいのかもしれません。もっと手短にベンチマークをしたい方向けに、ここでは日本企業のCSRレポート発行の状況をご紹介します。(参考:KPMG「日本におけるサステナビリティ報告 2012」、EY新日本サステナビリティ「そもそもCSRとは-?」、シータス&ゼネラルプレス「CSR報告書調査レポート 2012」)

何を書けばいいの?

CSRレポートに書かなければいけない内容について、有価証券報告書のような法的ルールは今のところ日本にはありません。したがって、書く内容は自由なのですが、あまりに自由すぎてしまっては何を書けばいいのか逆にわからなくなってしまいます。そこで、多くの企業は、ガイドラインを参照し、ガイドラインが推奨している内容を、CSRレポートの中に盛り込んでいます。

GRIガイドライン

GRIガイドラインは、GRIというサステナビリティレポート(CSRレポート)の標準づくりを進めている国際的なNPOです。GRIが作成するガイドラインには、欧米でも日本でも新興国でも注目されており、いわば実質的な国際基準といえます。GRIでは「レポート作成」のためのガイドラインなので、レポート作成にはまさにうってつけです。ガイドラインは必要に応じて更新されており、最新の第4版(G4)は2013年に発表されたばかりです。

[GRIガイドライン 第4版(G4)] 英語原文 日本語訳
[GRIガイドライン 第3.1版(G3.1)] 英語原文 日本語訳
[G4の要点] GRI G4ガイドラインのポイントと変更点

ISO26000

ISO26000は、世界的なNGOである国際標準化機構(ISO)が定めるCSRに関するガイダンスです。実際にはISOの規格名称は英語では、”Guidance on social responsibility”となっており、企業以外にも使えるようにCSRのC (Corporate)の文字が省かれている。ISO26000に書かれている内容は、平たく言えば、Social Responsibility(社会的責任)とは何か、具体的にはどういうことを指すのか、というもの。「人権」「公正な事業慣行」などひとつひとつの言葉が細かく定義されています。レポート作成の上では、GRIに比べて、ISO226000は正直使いにくいが、自社でCSRとしてやる内容が一般的な認識と合っているかを確認するときには役に立ちます。

[ISO26000]英語原文(有料)
※残念ながらISO26000は無料資料がなく、書店やISOのHPで有料版を購入しなければなりません。

国連グローバル・コンパクト(UNGC)

国連グローバル・コンパクトは、1999年に当時国連事務総長だったコフィ・アナン氏が提唱した10の原則です。そして、現在、各企業や組織が自発的にこの国連グローバル・コンパクトへの参画を表明し、CSRレポートの中でも10原則に掲げられている内容の開示を行っています。実際には10原則は、GRIガイドラインやISO26000に網羅されており、国連グローバル・コンパクトの参照はどちらかというと、国連グローバル・コンパクトに賛同していることをアピールするために使われている感があります。

[国連グローバル・コンパクト] 英語原文 日本語訳

環境報告ガイドライン

日本の環境省が発行し推奨しているガイドラインです。2003年に誕生し長らく日本企業のガイドラインとして定着していましたが、最近では影が薄くなっています。理由は、?環境面のガイドラインしかなく、GRIなどがカバーしている人権、労働慣行、腐敗防止などがない、?国際的な知名度がなく対外的にアピールできない、というものです。従来CSRレポートを作成したことがなく、まず環境レポートから作成しようという企業では役に立ちます。

[環境報告ガイドライン(2012年版)]日本語

GRIガイドラインはどのぐらい使われているの?

日本の大企業ではGRIガイドラインは非常に浸透しています。日本代表する企業(日経225)の中で、90%以上がすでにGRIを参照しています。

GRIの参照割合
※出所:KPMG

また、GRIはガイドラインを参照する場合に、アプリケーションレベル(どのぐらいガイドラインの基準に則っているか)を開示するよう求めていますが、実態としては、そもそも開示している企業は少なく、A+レベルはGRI参照企業204社のうち2社のみです。

GRIアプリケーションレベル
※出所:KPMG

CSRレポート(サステナビリティレポート)は第三者保証が必要なの?

CSRレポートの第三者保証は必須ではありません。日本の金融庁や証券取引所も特にルールを定めておらず、現状日本では第三者保証を受けるか否かは企業の判断に任されています。ちなみに、第三者保証を受けている企業は、全体の2割弱ですが、保証を取得する企業の数は年々増加しています。また、保証機関は監査法人が多くの割合を占めています。

報告書の第三者認証
※出所:KPMG

レポート作成準備はいつぐらいから始めるの?

CSRレポート作成に必要な期間は一般的に6ヶ月。レポートは漠然と作るではだめで、「誰に何をどのように伝えたいのか?」というゴール設定が必要です。もちろん、サステナビリティが社内のマネジメントとして定着している企業では、年間のKPI目標などもあり、その結果がわからなければゴールが設定できないということもあるでしょう。ただ、それでもやはりレポート作成において、読者であるステークホルダーの関心事を早めにキャッチし、そのステークホルダーに対して経営者がレポートの中でどのようなメッセージを発信していくのかは、先に先に準備しておく必要があります。

サステナビリティ報告書作成スケジュール
※出所:PwC

また、レポートの発行時期は、6月が最も多く、次に7月、そして8月と、株主総会の前後に集中しています。

サステナビリティ報告書の発行月
※出所:シータス&ゼネラルプレス

文:サステナビリティ研究所所長 夫馬賢治

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