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【製造業】変わりつつある従業員の要求と、富士ゼロックスシンセンのEAP(従業員支援プログラム) 2014/02/27 事例を見る

今回ご紹介するのは、富士ゼロックスシンセンのEAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)の取り組みだ。2011年1月、CNBC Asia・CNBC USA・CNBC Europeで放送されているCSR専門番組「RESPONSIBLE BUSINESS」で、同社の取り組みが紹介された。

中国は、数多くの外資系企業の進出によりこの30年で世界の工場として急速に成長した。そして、この経済成長の原動力となっているのは、地方部から沿岸部にある工業地区へと出稼ぎに来た若い労働者たちだ。

しかし、最近では工場における労働環境や管理方法などをめぐって従業員のストレスに関する問題が深刻化しており、各地の工場でストライキなどが頻繁に起こっている。中国に生産拠点を置くグローバル企業にとって、工場で働く従業員の労働環境を改善し、良好なコミュニケーション環境を整えておくことは喫緊の課題となっているのだ。

富士ゼロックスはこうした従業員側の要求の変化にいち早く気づき、現地のNPOと連携してコミュニケーションに関する講座を開講した。従業員にアンケートをとったところ、出稼ぎに来た若い従業員の多くが仕事に自信を持てず、孤独を感じていることが分かったという。

それから本格的に従業員環境の改善に取り組み始め、CSR意見箱の設置や、カウンセリングのためのホットラインの設置、セミナーの実施など、経営者と従業員がコミュニケーションをとることができる仕組みを導入した。

中国で労働者の人権問題に取り組んでいるNGOのICO(ICOInstitute of Contemporary Observation)のExecutive Directorを務めるLiu Kaiming氏は、同社のEAPについて「富士ゼロックスの従業員支援プログラムの特長は、従業員を 売上を上げるための単なる労働力ではなく、人として尊重している点だ。従業員の声を聞き、成長や目標を達成できるよう支援している。 」と高く評価している。

中国では昨今の社会情勢の変化により心のケアに対する関心が高まっており、中国衛生部によると総人口13億人のうち7%もの人が、心の問題を抱えているとのことだ。一方で、工場には商品の品質やコスト、納期に対する厳しいプレッシャーがかかっており、従業員へのカウンセリングなどの取り組みはより重要性を増してきている。

かつては工場における人権問題や労働慣行問題というと工場内の安全衛生や児童労働・強制労働、低賃金・長時間労働などが代表例として挙げられたが、中国ではそうした問題からさらに一歩進み、従業員のメンタルヘルスやキャリア開発などが今後の主要なCSR課題となりつつある。

このような従業員側の要求の変化にいち早く気づき、自社のCSRに反映させることは、中国国内で高い評価を受け、競争優位性を構築する上で非常に重要だ。その意味で富士ゼロックスシンセンが実施しているEAPの取り組みはとても参考になる。

【企業サイト】富士ゼロックスシンセン(中国語)
【企業サイト】富士ゼロックス(日本語)
【CSRページ】CSRの取り組み(日本語)

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