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【アメリカ】米国環境保護庁、発電所からの大規模な温室効果ガス排出削減計画を発表 2014/06/04 最新ニュース

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EPA(米国環境保護庁)は6月2日、既存の化石燃料発電所から生じる二酸化炭素排出量の大幅な削減を目的とする気候変動対策案”Clean Power Plan”を公表した。

化石燃料発電所から排出される温室効果ガスは米国における排出量全体の約3分の1を占めており、国内最大の二酸化炭素排出源となっている。現状、ヒ素や水銀、二酸化硫黄、窒素酸化物など一部の大気汚染物質には既に排出規制が設けられているが、二酸化炭素の排出量に関する国としての規制は存在しておらず、発電所の二酸化炭素の削減を目的とする計画は今回が初めてとなる。

EPA長官のGina MaCarthy氏は、「二酸化炭素排出による気候変動は我々の健康や経済、生活スタイルにとって大きなリスクとなっている。EPAは、米国における発電所からの排出量削減を目指す”Clean Power Plan”の提案により、オバマ大統領が掲げる”Climate Action Plan”の重要な一核を担うことになる。」と述べた。

同氏はまた、「クリーンエネルギーの推進とエネルギー消費の削減を通じて、この計画は空気を綺麗にし、気候変動ペースを緩和し、次世代に安全で健康な将来を残すことができるだろう。我々は健全な経済と健全な環境を二者択一する必要はない。我々の行動は米国に競争力ををもたらし、イノベーションを促進し、新たな雇用を作り出すことになる。」と付け加えた。

今回の”Clean Power Plan”はオバマ大統領が昨年夏に発表した”Climate Action Plan”の中で定められている段階的な目標に従っており、EPAによれば、具体的には2030年までの目標として下記を定めている。

  • 2005年と比較して化石燃料発電所からの二酸化炭素排出量を30%削減する。これは米国内における1年間の家庭用電力から出る二酸化炭素排出量の半分以上に相当する。
  • 窒素酸化物および二酸化硫黄を25%以上削減する。
  • 930億ドルを気候変動対策、公衆衛生に投じ、若年死亡者数を6,600人、小児喘息数を150,000人、失業者および失学者数を490,000人減らす。
  • エネルギー効率を高め、電力システム需要を抑制することで、電力料金を約8%下げる。

このCean Power Planは各州と連邦政府の協力のもと進められる予定で、提供されたガイドラインに沿ってそれぞれの州が二酸化炭素排出量削減に向けた具体的な目標を定めることになる。今回の計画の特徴は、各州に対して個別の事情に応じて柔軟に計画を策定する裁量権が与えられている点だ。

再生可能エネルギーなどの電力源の構成比率、エネルギーの効率化、電力需要の抑制、キャップ・アンド・トレードプログラムなどを含めて各州が自身のニーズに応じて最適な計画を策定することが可能で、一つの州が単独で計画を策定することも、複数の州が協力して共同で計画を策定することも認められている。

また、今回の計画は各州が計画をEPAに提出するまでのタイムラインにも柔軟性が設けられており、2016年6月が提出の期限となっているが、計画策定により多くの時間が必要な場合、最終計画の提出までに2段階のプロセスを踏むオプションも用意されている。

米国では現在のところ、47の州が電力需要に応じてエネルギー効率性を高める設備を有しており、38の州が再生可能エネルギーに関する基準や目標を持っている。更に10の州は温室効果ガスに関する排出権取引プログラムを有しているが、今回の計画により今後これらの数字がどのように変化していくのかも見どころだ。

一方で、今回のEPAの発表により、今後米国内で規制がもたらす経済面への悪影響も含めて様々な議論が巻き起こることも予想される。特に化石燃料発電事業者や業界団体、発電所を多数保有する州の政治家など、今回の規制による経済コストの増加を懸念する人々からの反発により、州によっては予定通りに計画策定が進まないところも出てきそうだ。

【参考サイト】US Environmental Protection Agency

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