Sustainable Japan QUICK ESG研究所

【アメリカ】米国大手企業ら、クリーンエネルギー推進で年間10億ドル超を節約 2014/07/30 最新ニュース

shutterstock_190883234

NPOのCeresらが6月19日に発表した調査報告書によれば、世界を代表する米国大手企業の多くが、今や温室効果ガス削減、エネルギー効率改善、再生可能エネルギーの増産という3つの分野のうち、少なくとも1つを自社の目標として掲げているという。

Power Forward 2.0: How American companies are Setting Clean Energy Targets and Capturing Greater Business Value(パワーフォワード2.0:米国企業はどのようにしてクリーンエネルギー目標を設定し、大きなビジネス価値を手にしているのか)』というタイトルの本報告書は、サステナビリティ投資のリーディングカンパニーCalvert Investments、サステナビリティ分野のアドボカシー団体として世界的に有名なNPOのCeres、サステナビリティ専門コンサルティング会社のDavid Gardiner & Associates、そして世界自然保護基金(WWF)らの協力のもと調査・作成されたものだ。

同報告書によれば、フォーチュン100(米フォーチュン誌による全米総収入上位100社のランキング)のうち60%の企業は既に再生可能エネルギーまたは温室効果ガス削減に関する目標を設定しているという。また、それらの大手企業は大幅なコスト削減にも成功している。

例えばUPS社は年間2億ドル超、シスコシステムズ社は1億5千万ドル超、ペプシコ社は1億2千万ドル、ユナイテッド・コンチネンタル社は1億4千万ドル、ゼネラルモーターズ社は7千万ドル超のコスト削減に成功しており、計53社が成功したコスト削減の金額は、年間で総額11億ドルに相当するとのことだ。

さらに、これら53社によるCO2削減量は年間約5,830万トンに相当し、これは石炭火力発電所を15箇所廃止するに相当するCO2の削減量となり、経済、環境の双方において多大なインパクトを生み出していることが分かる。

このように米国の大企業を中心とした成功事例が増える傍らで、クリーンエネルギーに対する米国企業の投資はまだ十分な状況にあるとは言えない。未だに数多くの企業は、再生可能エネルギーと化石燃料エネルギーとの間に横たわるコスト・パリティ問題や投資の優先順位、州政府の定まらない方針などを理由に明確な目標を打ち出せないでいる。

そのため、同報告書では、米国内の政策立案者に向けた様々なアドバイスも紹介されている。例えば、再生可能エネルギーに関する税額控除制度の促進、特に風力発電の生産税額控除(PTC: Production Tax Credit)の延長、再生可能エネルギー利用割合基準(Renewable Portfolio Standards)の維持および基準を設けていない州への拡張、最低価格の再生可能エネルギーの購入や再生可能エネルギー発電設備の敷地内建設などに関わる制約の緩和、従来の発電方法による環境汚染に対する課金制度などが挙げられている。

Ceresで公共政策担当責任者を務めるAnne Kelly氏は、「環境保護やエネルギーに関する政策が不十分な州では企業の投資が活発にならず、経済成長の妨げになっている」と語り、各州が気候変動対策に向けて明確な方向性を示すことの重要性を訴えた。

また、Calvert社サステナビリティ・リサーチ・アンド・ポリシー担当副社長のBennett Freeman氏は、「世界最大規模の企業が、クリーンエネルギーへの投資が大きなリターンへとつながることを証明している。再生可能エネルギーに関する目標を設定し、それを達成することによって、企業およびステークホルダーは気候変動という明らかなリスクへ取り組むことを可能にし、具体的なチャンスを獲得することができる」と語る。

2014年6月のはじめにEPA(米国環境保護庁)が米国内の石炭火力発電所から出るCO2排出量を2030年までに2005年比で30%削減するという「クリーンパワープラン」を発表して以降、米国内では、州政府、企業、電力事業者らによる議論が大きな高まりを見せている。

温室効果ガスの削減、エネルギー効率の上昇、再生可能エネルギー増産という3つの分野に対する企業投資を更に加速させるためには、企業の努力だけではなく各州政府のインセンティブ施策なども欠かせない。今回のクリーンパワープランは各州に対して目標の達成方法などについて大きな裁量が委ねられているため、今後は各州がどのような戦略を遂行していくかが鍵を握る。その意味で、今回Ceresらが発表したレポートは一つの大きな指針となりそうだ。

【報告書ダウンロード】Power Forward 2.0: How American companies are Setting Clean Energy Targets and Capturing Greater Business Value
【企業サイト】 Calvert Investments / Ceres / David Gardiner and Associates
【団体サイト】World Wildlife Fund

Facebookコメント (0)

ページ上部へ戻る