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【国際】世界銀行、気候変動がもたらす深刻なリスクについて警鐘 2014/12/22 最新ニュース

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気候変動による悪影響は避けられないが、まだ最悪のシナリオは回避可能。これが今の地球の現状だ。

世界銀行グループは11月23日、気候変動が将来にもたらす影響とリスクについてまとめた最新の報告書“Turn Down the Heat: Confronting the New Climate Normal.”を公表し、現状のまま気候変動が進めば各地で起こっている100年に1度と言われるような異常気象が新たな気候の標準となり、リスクや不安定性を生む可能性があると警鐘を鳴らした。

同報告書は、地球の大気システムは中世の産業革命以前のレベルと比較して1.5℃も上昇しており、既に起こっている農作物への収穫減や海水面上昇、水資源リスクなどの気候変動に伴う影響は、今日のどんなに野心的な温室効果ガス削減目標を持ってしてももはや防ぎきれない状況となっているとする一方で、温度上昇を2℃以下に抑えることができれば、最悪の状況は回避できる可能性があるとしている。

世界銀行グループのJim Yong Kim総裁は「希望は残っている。気候変動の速度を落としつつ経済成長を促進することも、また最終的にこの危険なシナリオにストップをかけることもまだ可能だ。世界のリーダーや政策担当者は、炭素価格制度のような現実的な解決策を採用し、さらにクリーン輸送やクリーンエネルギー、工場や建物、電化製品の省エネ化に投資をシフトする政策を進めるべきだ」と語った。

世界銀行は2012年に公表した報告書の中で、世界がただちに気候変動に向けて協調した行動をとらなければ、今世紀末までに世界の気温は産業革命前のレベル(0.8℃)より4℃上昇するだろうと指摘していた。今回の報告書ではさらに踏み込み、2℃上昇と4℃上昇のパターンを想定したうえで、ラテンアメリカ・カリブ海地域、中東・北アフリカ地域、そしてヨーロッパ・中央アジア地域の一部について、農作物、水資源、生態系サービス、沿岸地帯が受ける可能性がある影響について詳細に分析している。

上記3地域においては気温が1.5℃?2℃上昇すると、農産物生産量の減少リスクも増大するとしており、さらに農業生産性の低下は、主たる生産地域にとどまらず、食糧安全保障にも深刻な影響をもたらすことになり、ひいては経済成長と開発、社会の安定、人々の暮らしにも悪影響を与える可能性があると指摘している。

世界銀行グループのRachel Kyte副総裁は「今回の報告書は、増加の一途を辿る温室効果ガスの排出をこのままにしておく訳にはいかないということを明確に指摘している。世界のリーダーらは、クリーンな成長とレジリエントな発展に向けて、どのように経済の舵取りを行なうか、決断を下さなければならない。現在の状況を好転させるためには、技術、経済、組織・制度、行動面における根本的な変化が喫緊で必要となっている。経済成長と気候変動対策は互いに補完し合うことが可能であり、我々にはその実現に向けた政策上の強い意思が求められている」と語った。

気候変動という言葉は問題の規模が大きすぎてなかなか実感が湧かないという方も多いと思うが、気候変動の影響が実際に現れるのはローカルであり、天災や資源リスクなどを通じて地域の経済に多大な悪影響を及ぼすシナリオが想定されている。政府、企業ともに、未来の話ではなく今から何ができるかを考えなければいけない状況にきている。

【レポートダウンロード】Turn Down the Heat: Confronting the New Climate Normal.
【参照リリース】New Climate Normal” Poses Severe Risks to Development?World Bank Report
【団体サイト】世界銀行グループ

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