Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の96%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【中国】BBC、Appleのサプライヤーにおける過酷な労働環境の実態をスクープ

shutterstock_apple

英国BBCのドキュメンタリー番組、BBC Panoramaが公開した、Appleのサプライヤーにおける労働環境の実態をスクープした映像が話題になっている。

BBC Panoramaは12月18日、Appleのサプライヤー、Pegatron社の上海郊外にある工場内部を覆面取材したスクープ映像を公開した。映像の中では、12時間シフトで疲れきった従業員が作業中に居眠りしてしまう様子や「1日の休暇も許可してもらえずに、18日連続で働かなければならなかった。」「寮に帰るたびに、動きたくなかった。たとえ空腹でも、食べに行く気はしなかった。ただ横になって休みたかった。ストレスで眠ることもできなかった。」など過酷な労働環境に関する衝撃的などの証言が赤裸々に記録されている。



また、同番組では更にインドネシア、バンカ島のサプライチェーンにおける実態についても取り上げられ、Appleが鉱物の倫理的な調達を掲げているにも関わらず、実際にはバンカ島のサプライチェーンにおいては違法に採掘された鉱物が含まれており、加えて採掘現場ではきわめて危険な労働環境において児童労働が行われている実態が放映された。

上記の報道を受け、翌19日にはAppleのSenior Vice Presidentを務めるJeff Williams氏が英国で働く約5,000名の社員に向けてBBCの番組内容に対する反論を含んだEメールを送信し、その全文がThe Telegraphによって公開された。

メールの中で、William氏はBBCの報道に対して「Appleがサプライチェーンにおける労働者との約束を破り、顧客を欺いているという指摘により、皆さんの多くと同様にTim(Apple社CEO)と私も深く気分を害している」としたうえで、インドネシアおよび中国のサプライチェーンにおける実態についてコメントしている。

Williams氏のメールによれば、同社はBBC Panoramaが取材したインドネシアの採掘現場をAppleも既に訪問しており、その現状に愕然としたと同時に、Apple製品の中にインドネシア経由の鉱物が含まれており、その一部は不法に採掘されたものであることも既に把握しているという。

その上で、Appleは全てのサプライヤーに対しインドネシア以外から鉱物を調達することを徹底させるという選択肢をとることもできたが、それは問題から逃避する簡単な方法であり根本的な問題解決にはつながらないため、あえてその選択肢を取らず、インドネシアが抱える問題に立ち向かうことにしたと説明している。具体的には、同社が先頭に立って他のテクノロジー企業らと協働でIndonesian Tin(スズ) Working Groupを立ち上げ、問題解決に取り組んでいるとのことだ。

また、中国サプライヤー工場におけるBBC Panoramaの報道に対しても「Appleほど公正で安全な労働環境に尽力している企業はない」とした上で、1,400人以上の従業員がサプライヤー工場の管理のために中国に滞在している点や、同社の掲げるサプライヤーの労働環境に関する基準”Supplier Code of Conduct”を遵守してもらうことをミッションとする専門チームを設けていることなどを説明している。

具体的には、数年前まではサプライヤー工場における従業員のほとんどの週労働時間が60時間以上となっており、70時間以上の労働も常態化していたが、Appleはこの問題解決に向けて100万人以上の週労働時間のトラッキングを開始し、その結果を毎月ウェブサイトで公表するという、どの企業も実施していないレベルの取り組みをスタートし、その結果、現在では平均93%のサプライヤーがAppleの掲げる週の労働時間60時間以内という基準を遵守しているとのことだ。

このように、Appleはメールの中でBBCの放送内容に対して反論を展開しつつも、「我々はこの他にも多くの問題が存在することを知っており、我々の戦いは決して終わることがない」としており、未だ自社の取り組みに改善の余地があることも認めている。

Appleは、2010年に同社最大のサプライヤーであるFoxconnの中国工場で14人の労働者が自殺するという事件で世間の批判にさらされて以降、サプライチェーンにおける労働慣行基準を定めた”Supplier Code of Conduct”を公表し、積極的にサプライヤーの労働環境改善に取り組んできた。

サプライヤーの労働問題に対するAppleの積極的な取り組みや開示が目立っていただけに、今回のBBC Panoramaによるスクープは衝撃を持って受け止められている。まずは実態の正確な把握およびその報告が期待されるが、実際に問題が認識された場合には、その解決に向けてAppleがどのようなアクションを示すのか、今後の動向に注目が集まる。

BBC Panoramaの全編は下記から閲覧可能。

【参照動画】Apple's Broken Promises
【参照記事】BBC “Apple 'failing to protect Chinese factory workers'”
【参照記事】BBC “Apple 'deeply offended' by BBC investigation”
【参照記事】Telegraph ” Apple goes to war with the BBC”
【参考サイト】Apple “Supplier Code of Conduct”

(※写真提供:pio3 / Shutterstock.com

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。