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【アメリカ】S&P100社とシリコンバレーにおけるジェンダー・ダイバーシティの違いとは? 2015/01/26 最新ニュース

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最先端のテクノロジー企業が集結するイノベーション拠点として知られるシリコンバレーと、米国を代表する大手企業らが名を連ねるS&P100社では、コーポレート・ガバナンスやジェンダー・ダイバーシティにどのような違いが見られるのか?

この問いに答えるべく、米国シリコンバレーに本拠を置く法律事務所のFenwick & West LLPは先月、”Corporate Governance Survey”およびそれに付随する”Gender Diversity Survey”という2つの大変興味深い調査結果を公表した。これらの調査は米国市場を代表するS&P100社と、テクノロジー・ライフサイエンス産業に特化しているシリコンバレーの150社(以下、SV150社)をガバナンスやリーダーシップなどの観点から過去10年以上に渡り比較・分析したものだ。

”Corporate Governance Survey”では、デュアル・クラス・ストック(2種類の株式を用意し持ち株比率と議決権比率を切り分ける方法。Googleなどが有名。)やクラシファイド・ボード(役員の選出時期を分散させることで敵対的買収などを阻止する方法)などコーポレート・ガバナンスにおけるS&P100社とSV150社の違いなどを分析しており、”Gender Diversity Survey”ではジェンダー・ダイバーシティの観点から両者の傾向を分析している。

ジェンダー・ダイバーシティにおいて見られた注目すべき傾向は下記の通り。

  • S&P100社はSV150社より女性役員比率が2倍高い(2014年度はSV150社の10%に対してS&P100社は21%)。また、SV150社における女性役員登用状況は2008年がピークだったものの、全体トレンドとしては両者ともに上昇傾向にある。
  • 予想とは裏腹に、S&P100社、SV150社の双方において、女性CEOの存在は女性役員、女性エグゼクティブ比率の増加にはつながらないことをデータが示している。
  • SV150社の中でも上位15社の女性President・COO比率はS&P100社のそれよりも高く、CEO比率よりずっと高い。これらの女性は既にリーダーとして活躍しており、将来はCEOとなる可能性がある(調査当時はCo-Presidentだったが、現在はオラクルのCo-CEOに就任しているSafra Katz氏などが好例)。また、S&P100社とは異なり、SV150社における女性President・COO比率は女性CEOの約4倍となっている。
  • SV150社における女性エグゼクティブの報酬は高く、S&P100社よりもNEOs(Named Executive Officers:CEOを含む報酬上位5人のCXO職)である傾向が高い。

上記のように、SV150社とS&P100社をジェンダー・ダイバーシティの観点から比較すると、S&P100社のほうがSV150社よりも女性役員比率は高い一方で、SV上位15社に限ってみればPresident・COO比率がS&P100社より高く、また報酬額に関してもポジティブな指標が出たことが明らかになった。女性CEOの存在がそのまま女性役員比率の上昇につながるわけではないという結果も興味深い。

同報告書の著者であるDavid A. Bell氏は「エグゼクティブポジションにいる女性の数が多くない現状においては、たとえ小さな変化でも統計的にはっきり確認することができ、その変化は他のガバナンス分野にも広がっていく」と語る。また「Fenwick Gender Diversity ScoreとCorporate Governance Surveyを同時にリリースすることで、読者が全体感から微細な傾向にいたるまで自身の求めるレベルのデータを見ることができるように、コンテクストとマクロな大局観の双方を提供したいと考えている」と付け加えた。

また、Aspect Venturesの創始者として知られる著名なベンチャーキャピタリストのTheresia Gouw氏は「Fenwick & WestのCorporate Governance SurveyとGender Diversity Surveyは大変優れた資料だ。テクノロジー業界や国全体における企業のガバナンス慣行やジェンダー構成分野のリーダーシップ発揮度合いを議論する上で強力なデータを提供してくれている」と語る。「ジェンダー・ダイバーシティは、私が深く関心を持っている問題であり、19年に渡り、シリコンバレーにおける女性リーダーらのトレンドを分析してきたDave Bell氏とShu White氏の仕事を賞賛したい。この報告書は、成長に向けた鍵となる領域に関する考察を提供しており、企業がジェンダー・ダイバーシティを改善する上で大いに役立つだろう」と付け加えた。

シリコンバレーでは、昨年GoogleやApple、FacebookやTwitterなど名だたるテクノロジー企業が自社のダイバーシティ状況を公開して話題になった。例えばGoogleでは全従業員の70%を男性が占めていることが明らかになるなど、ジェンダー・ダイバーシティに関する議論も盛り上がった。一方、シリコンバレーではYahooのCEOを務めるMarissa Mayer氏やFacebookのCOOを務めるSheryl Sandberg氏など女性エグゼクティブの活躍も目覚ましい。

シリコンバレーは世界を代表するイノベーション拠点として知られるが、イノベーションを生み出すための仕組みがどのようにコーポレート・ガバナンスやジェンダー・ダイバーシティに反映されているのかという視点からS&P100社とSV150社の傾向を比較してみるのも面白い。レポートは下記からダウンロード可能。

【レポートダウンロード】Corporate Governance Survey
【レポートダウンロード】Gender Diversity Survey
【企業サイト】Fenwick & West LLP

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