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【戦略】急速に進展する中国企業のサステナビリティ・CSR報告

中国北京

経済力を急速に高める中国。今やGDPの国別ランキングで世界第2位になっただけでなく、証券取引所の時価総額合計でもアメリカに次ぐ世界2位の規模を誇っています。その中国経済を担う中国企業に対する関心は世界中で高まっています。世界有数の石油企業であるペトロチャイナ、時価総額で世界の金融機関のトップを争う中国工商銀行、昨年ニューヨーク証券取引所に上場して話題を集めたアリババは、いずれも時価総額が20兆円を超え、日本企業で時価総額トップのトヨタ自動車を上回る評価を得ています。

中国企業にも、この10年で欧米を初め世界中に浸透してきたコーポレート・サステナビリティの波は押し寄せています。先日ご紹介した「【ランキング】2015年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能性のある企業100社」にも、初めて中国大陸の企業としてレノボ・グループがランクインしました。急速にキャッチアップする中国企業のサステナビリティへの取組、今回はその姿をご紹介していきます。

国連グローバルコンパクトの加入数は中国が逆転

国連グローバルコンパクト加入数(日本・中国)
(出所)UNGCホームページよりニューラル作成。加入数は進展報告書を提出していない企業・団体も含む2014年12月末までの数値。

こちらは、国連グローバルコンパクトに加入している日本と中国の企業・団体数の推移を示した図です。両者はほとんど同じ数ずつ増加してきましたが、2012年以降日本が増加スピードが減退したのに対し、中国は引き続き毎年大きく増加しており、グローバルコンパクトへの関心の高さが伺えます。もちろん、加入企業・団体の全てが年次の進展報告書を提出している企業というわけではありません。未提出の企業数は日本で24社(全体の10.5%)、中国で43社(同15.6%)ありますが、提出した企業だけに絞っても加入数は、日本が204社、中国が233社で、中国が上回っています。意外かもしれませんが、このように中国企業の環境や社会に対する関心は年々高まってきています。

中国企業のサステナビリティ報告書発行企業数は大きく増加

国務院(内閣に相当)が管轄する研究機関である中国社会科学院の企業社会責任研究センターが、2015年1月に発表した「2014年版中国企業社会責任報告」によると、中国企業のサステナビリティ発行企業数は2014年で1,526社にのぼります。

サステナビリティ報告書発行企業数(中国)の推移
(出所)中国社会科学院ホームページ

同報告書が詳細分析をした1,007社のレポートのうち、大都市圏である北京・上海・広州地域の企業が全体の40.1%を占めており、大都市の企業がサステナビリティ報告書の発行により積極的であることがわかります。一方で、発行企業のうち60.4%が国有企業、75.3%が上場企業であり、発行企業の業態にはまだまだ偏りがあります。

最も参照されているガイドラインはGRI

中国企業がサステナビリティ報告書作成で参照しているガイドライン
(出所)中国社会科学院ホームページ

同報告書が分析対象とした1,007社のサステナビリティ報告書のうち、参照したガイドラインを明記しているものは681社(67.6%)あります。そのうち、456社は複数のガイドラインを参照しています。最も参照されているガイドラインはGRI。GRIは欧米や日本でもサステナビリティ報告書で多数参照されており、この傾向は中国でも同じだということがわかります。その他、証券取引所や政府機関が推奨しているガイドラインも用いられています。一方、日本では参照されることが多い、ISO26000や国連グローバルコンパクトの参照は低位に留まっています。

コンテンツは社会貢献とガバナンスが中心

サステナビリティ報告書の内容(中国)
(出所)中国社会科学院ホームページ

サステナビリティ報告書に記載されている内容については、70%を超える報告書が「社会貢献」と「ガバナンス」を盛り込んでおり、この2つが中心と言えます。それ以外にも、腐敗防止や従業員対策など社会的な内容がメインとなっており、環境を中心に発展してきた日本の報告書とは大きく異なっています。一方で、最近中国で深刻な課題となっている大気汚染や水汚染に対する政府の関心も高まっており、今後環境に関する報告は増えていきそうです。

定量データの情報開示が進んできている

サステナビリティ報告書の定量比較(中国)
(出所)中国社会科学院ホームページ

中国企業のサステナビリティ報告書で大きく進展してきているのが定量情報の開示です。定量情報の開示によって、当該企業がどのぐらいサステナビリティ分野で改善しているのかがより見えやすくなりました。定量情報の開示には、他の企業に比べて自社がどのぐらい努力しているのかを示す「同業他社比較」と、自社の前年の実績に対して今年の改善度合いを示す「対前年比較」があります。中国企業では、特に外資企業と国有企業で「対前年比較」の定量情報開示が進んでいます。

ネガティブ情報の開示もある程度進んでいる

ネガティブ情報の定量開示
(出所)中国社会科学院ホームページ

従来、サステナビリティ報告書・CSR報告書というと、「企業の良い活動をアピールするレポート」という見方も強くありましたが、中国では社会的責任を果たし、サステナビリティ度合いを向上するための将来課題ともなる、ネガティブ情報の定量開示がある程度進んでいます。特に国有企業では、70%近くの企業が報告書の中で定量的なネガティブ情報を開示しています。

サステナビリティ報告の国際化への意識も高い

中国企業はサステナビリティ報告書において、国際化を意識している動きも見せています。例えば、多言語発行。複数の企業が母国語である中国語の報告書だけでなく、英語を始めたとした多言語で報告書を発行しています。また、海外に事業拠点を置く企業では、報告書の読者を意識し、現地国での状況や影響を意識した話題選びを行っています。中国企業の海外展開が予想される中、このように国際化を意識した報告書の発行は今後急速に増えていく見込みです。

第7回中国企業社会責任サミットで優良企業が表彰

中国社会科学院の企業社会責任研究センターは、「2014年版中国企業社会責任報告」の発行と同時に、北京で「第7回中国企業社会責任サミット」を開催し、優良企業に対して表彰が行われました。受賞企業には、中国を代表する国有企業の他にも、外資企業が数多く選出されました。

◯特別貢献賞: 中国銀行(Bank of China)
◯特別成就賞: 北汽集団(BAIC Group)
◯ベストグリーン環境保全賞: 倍杰特(Bestter)・豊田中国(Toyota China)
◯ベスト社会貢献模範賞: 三星電子(Samsung Electronics)・海爾(Haier)・默沙東(MSD)・碧生源
◯ベスト信用力賞: 中国農業銀行(Agricultural Bank of China)
◯ベスト影響力賞: 中国建設銀行(China Construction Bank)
◯ベスト科学技術イノベーション賞: 美的(Midea)・長虹(Changhong)
◯ベスト社会発信賞: 輝瑞(Pfizer)・飛利浦(Philips)
◯ベスト社会貢献創造賞: 宜信(CreditEase)・蘇寧雲商(Suning)
◯2014年中国企業社会責任傑出企業賞:松下(Panasonic)・広州汽車豊田(Toyota)等24社

総括

コーポレート・サステナビリティでは欧米の企業が特に注目されますが、一方でアジア企業も着実に力をつけてきています。なかでも経済大国となった中国では、経済力だけでなくサステナビリティの側面でも中国内外から中国企業に対する大きな期待が向けられています。

イギリスやアメリカ、さらに日本よりもサステナビリティの浸透が後発であった中国では、まだサステナビリティの分野で「リーダー的なポジション」にいるとは言えません。しかしながら、Gダボス会議のGlobal 100で中国大陸から初めてレノボ・グループがランクインしたように、年々存在感は増しています。日本企業にとっても大きな市場である中国。今回優良企業として表彰された企業のリストには、日本のトヨタ自動車やパナソニックも名を連らねました。ますますコーポレート・サステナビリティの側面でも競争が激しくなる中国、日本企業にはさらなる努力が必要となりそうです。

文:サステナビリティ研究所所長 夫馬賢治

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