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【チリ】鉱山開発が進むアントファガスタ地方のマイポ川、生態系破壊の懸念

マイポ川

鉱山産業が盛んなチリ北部のアントファガスタ地方で、河川の自然破壊の懸念が出ている。舞台はアンデス山脈から流れるマイポ川。安価で豊富な資源開発や水力発電所建設により、生態系に対して深刻な影響を与えているという。

専門家によるとマイポ川流域での鉱石採掘量は推定で年間750万立方メートル。うち500万は砂利、残りは安定材(舗装基盤)とポゾラン(セメント製品)とに分けられる。住宅都市開発省都市開発部(Minvu)のデータによる、既存の17万ヘクタールの都市部に加え、2030年までにさらに14万ヘクタールが都市開発されるというチリ政府の計画を考慮すると、マイポ川での堆積物の自然形成が損なわれていくという。以前、マイポ川上流水力発電計画(PHAM)が検討された際にも流域への悪影響が指摘されており、特に懸念が強かった堆積物の運搬機能の減衰については、チリ大学工学部は約300万立方メートルの堆積物が減少すると算出していた。

周囲の住民からも反対運動が起こってきている。マイポ川流域住民代表記者Marcela Mellaは、マイポ川の主な3つの支流が危機に晒されると、水量が減少し、約100キロにわたり河川による自然運搬機能が停止することを説明した。さらに、従来採掘に従事してきた地元の事業者からも非難の声が上がっている。マイポ川の事業者を代表するLuis Bahamondes氏は、大企業が大量採掘を始めたことにより、採掘の対象となる堆積物が自然に支流に流れなくなってきていると語っている。

大規模な鉱山開発は社会生活に大きな影響を与えそうだ。まず、粒子状物質の排出による大気汚染、肥沃な土壌の損失、採掘場付近に住む住人の健康状態の悪化や生活の質の低下、地下水汚染といった潜在リスクが挙げられる。また、マイポ川の河川としての機能低下により、マイポ川が鉱物資源を運搬してくれなくなると、資源を他の都市から運ぶ必要性が生じ、結果的にサンティアゴの不動産価格の値上がりにも繋がるという。

チリは資源が豊富な国家として世界から注目を集めている。日本の商社や資源会社も資金を大量にチリに投じており、建機メーカーもチリで事業を行っている。持続可能な資源開発を実現しない限り、事業会社にとっての事業リスクとなるだけでなく、資源を活用している生活者の持続可能性も損なわれていく。中南米は日本から遠く意識が及ばないことも多いが、人々の生活を支えるこの地の状況に注視していきたいと思う。

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