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【食品】「支援ではなく、取引を」北欧人気No.1スムージー、FrooshのCSR 2015/03/26 事例を見る

 近年CSRに力を入れる企業の数は増えてきている一方で、未だCSRは一部の大手企業だけのものと考えている企業も多いのが現実だ。特に中小企業におけるCSRとなると、日本ではほとんど目立った取り組みは行われていない。しかし、視点を世界に向けてみると、少人数ながらもCSRをビジネスと上手に組み合わせ、前代未聞のやり方で社会に貢献している企業がある。それがfrooshだ。

 frooshはいくつものスムージーブランドが激しい争いを繰り広げている北欧においてNo.1の人気を誇るフルーツスムージーで、ストックホルム、コペンハーゲン、ヘルシンキ、オスロに拠点を構えるスウェーデン企業だ。同社の製品は他社と比べて2倍以上も価格が高いにも関わらず、北欧でトップシェアを誇り、本拠地のスウェーデンでは売上シェアが80%と市場を独占している。

 日本にも昨年の11月からナチュラルローソンで販売が開始され、2015年2月24日時点で、2,350店舗で販売されている。しかし更に驚きなのは、Frooshは社員数が合計42名という、非常に少人数の体制でグローバルに事業展開しているという点だ。同社は一体どのようにしてここまでの成功を果たすことができたのだろうか。

 成功の鍵と言えるポイントは主に3つある。

 一点目は、プレミアムな品質と価格だ。従来の「濃縮還元」という搾り取った果汁の水分を飛ばしてから再び水分を加える方法ではなく、「無添加・ストレート」という製法を用いている。これは、フルーツを圧搾してそのままビンに詰めるやり方で、風味が生きており、素材そのものなので安心して飲むことができる。その上、砂糖や保存料も一切加えていないにも関わらず保管期間も他社より長く、1年以上も品質を保つことができるという。

 二点目は、若者の支持を集めるファッショナブルなデザインだ。ガラスのビンを活用することで、他社との差別化だけではなく環境へも配慮している。そして、季節によって変わるラベルのメッセージ、フルーツの絵を一切活用していない点や、ポップな色を活用しているところなどが印象的だ。

 そしてfrooshの成功要因として欠かすことができない最後のポイントが、同社のCSRへの取り組みだ。frooshは原材料の50%以上にマラウイ、エチオピアなどの開発途上国で栽培されたフルーツを使用している。同社のCSRの特徴は、単に金銭的な援助をするのではなく、開発途上国とビジネスとして取引しているという点だ。同社のCSRの根幹には、フルーツ農家自らが稼ぎ、自活することが開発途上国の経済発展に寄与するという信念がある。実際に、開発途上国への金銭的な援助の多くは、盗難されたり、無駄に使用されたり、軍事拡張に使用されるなど、本来の目的とは異なった形で消費されているのが現状だ。このような理由から、同社は「支援ではなく、取引を」という理念を掲げている。

 グループコミュニケーション兼CSRマネジャーとして2年前にfrooshに入社したAnna Hagemann Rise氏は、入社以降、同社のCSR活動の核としてフルーツ農園プログラムを構築してきた。プログラムの主な内容は、従業員全員が開発途上国にあるフルーツ農家へ行き、1週間彼らと寝食を共にし、一緒に農作業をするというものだ。これによって従業員は原材料についての理解を深めることができるだけではなく、農家の人々とコミュニケーションすることで彼らの現状を理解し、自身の仕事がどのように農家の人々の役に立っているのか、その成果を実感できることができる。

 また、frooshはこのプログラムに従業員だけではなく外部の著名人や記者なども招待し、広報活動の機会としても活用している。招待された社外の人々はプログラムの参加後、frooshのストーリーに驚き、自らメディアでfrooshの話を紹介してくれるのだそうだ。

 こうしてfrooshの事例はヨーロッパの多くの新聞などで紹介され、NGOや政府の寄付では実現できなかった学校やインフラ建設を、ビジネス取引によって実現している同社の成功事例は既に北欧で広く知れ渡っている。もちろん、frooshはこれらの広報活動に一切お金を払っていない。これが同社の戦略なのだ。

 Sustainable Japanではfroosh のRise氏に対して同社の取り組みについてインタビューを実施したので、その内容を下記でご紹介したい。

Q: 42名という少人数でここまでのグローバル展開を実現できた要因は何か?

Rise氏:frooshは自社のサプライチェーンをアウトソーシングに頼っており、froosh自体は事務や意思決定に集中すればよい体制を構築している。この関係性を実現するためにはサプライヤーとの信頼関係が欠かせない。このようなサプライチェーンモデルが、供給容量だけではなく適切なサプライヤーを選定する柔軟性も実現している。

Q: 2008年にユニリーバに買収されて以降、frooshに大きな変化はあったか?

Rise氏:大きな変化はなかった。ユニリーバの買収よりも、我々の現在のCEOがかつてコカ・コーラ社でCEOを務めた経験から、開発途上国とのビジネス取引に対して明確なビジョンを持っていた点が大きい。その後、彼が私を雇用し、フルーツ農園プログラムがスタートした。

Q: ヨーロッパではfrooshのパンフレットにCSRの取り組みが強調されているが、なぜ日本のパンフレットではCSRについて一切取り上げていないのか?

Rise氏:ヨーロッパでは、企業がCSRを行うことは当たり前だと認識されている。おそらくニュースやメディアなどで、企業が社会に悪影響を与えている事例を見すぎたからではないか。だから、ヨーロッパの消費者は店頭で商品を買うという行為に責任を持ち、その商品が倫理的な形で製造されたのかどうかを知りたいのだ。

 インタビューの最後に、Rise氏は「フルーツ農園プログラムは我々にとって単なるマーケティングキャンペーンではない。多くの企業はCSRをブランド価値向上のための手段としているが、frooshではこのプログラムに従業員42人全員が携わり、サプライヤーとの関係性をとても重視している。CSRはビジネスそのものであり、サステナビリティに関わる部分でもあるからだ」と語ってくれた。

 このように、frooshは少人数の社員一人一人をビジネス戦略としてのCSRに関与させることによって、事業、CSRの両面で大きく成功している。日本の中小企業の多くはCSRに取り組めていないか、CSR部門のスタッフ不足を言い訳に十分な投資ができていない。しかし、frooshのようにCSR担当が一人しかいない小さな企業でも、取り組み次第でここまで影響力を持つことはできるのだ。frooshから学べる点は多い。

【企業サイト】froosh

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