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【アメリカ】認定BコーポレーションのEtsy、ナスダックへ上場へ

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 ハンドメイド製品のオンラインマーケットプレイスを運営しているEtsyが4月16日、いよいよ米国ナスダック証券取引所に株式上場する。同社はNPOのB Labが運営する認証制度に基づき、社会・環境に配慮した事業展開をしている認定Bコーポレーションでもある。

 認定BコーポレーションのEtsyが株式公開するにあたり、関係者らの間では様々な懸念や今後の未来予測が議論されてきた。EtsyはこれまではBコーポレーションの理念に基づき社会・環境を重視した事業経営を行ってきたが、ひとたび株式公開を行い上場企業となれば、社会的な使命の追及と同時に、事業拡大と利益の最大化を要求する株主からの期待や米国証券取引委員会の要求に応えなければならなくなる。議論されている懸念のほとんどは、Bコーポレーションの理念とウォールストリートのロジックがどこまでマッチできるのかという点だ。

 このEtsyの上場に際し、ジャーナリストのGina Vodegel氏がCSRニュースメディアのTriple Pundit上に"Etsy Takes Its Social Mission to Wall Street"と題して独自のポジティブな見解を提示している。

 記事の中で、同氏はEtsyの上場に向けた経営体制の変更について触れている。Etsyは昨年の12月、長らく取締役会長を務めたCaterina Fake 氏の退任後、Michele Burns氏を取締役に抜擢した。EtsyのCEOを務めるChad Dickerson氏は、Burns氏のことを「小さな事業の成長や起業家精神を育成し、人の力による経済を構築するという熱意を理解した、強い女性リーダーだ。そして、販売者の大多数が女性である当社のオンラインマーケットプレイスにおけるミッションを十分理解している」と評価する。

 そして今年の4月、Etsy社は新たにMelissa Reiff氏を取締役に迎えた。同氏は収納整理用品の販売を手がけるThe Container StoreのCOOだ。同社はEtsyの理念と近しい考えを持つ企業で、社会への価値創造しながら経済的発展を遂げていく"Conscious Capitalism"の考えを共有できる人物だ。

 Vodegel氏は、EtsyのCEOを務めるDickerson氏が社会的ミッションに忠実であり続けながらも株式公開企業としてのEtsyの未来に対して楽観主義を貫くことができる理由として、同社のこれらの人材戦略を挙げている。いわゆるトリプルボトムライン(People、Planet、Profit)のPeopleにあたる部分だ。

 また、Vodegel氏はEtsyのビジネスモデルそのものについてもポジティブな見方をしている。同氏は、トリプルボトムラインの考え方ではProfitは決してPeople、Planetの後にくるものではないとしたうえで、Etsyのオンラインマーケットプレイスの特徴として、Etsyはあらゆる芸術や手芸品に開かれており、海外で取引するも地元で取引するも自由、商売としてきっちり受け渡しをするのか、友情の芽を育てるのかも自由に選択できる点を挙げている。同氏は、職人の才能に対する評価や感謝の後についてくる利益は、このコミュニティーベースの経済モデルにおいては単なるチップのようなものだとしている。

 つまり、Etsyが現在の世界観に基づいて購入者と出店者に魅力的な市場を提供し続ける限り、お金は後からしっかりとついてくるというのが同氏の考えだ。そこには、People、Planet、ProfitoのトリプルボトムラインはEtsyにとっていずれもが切り離せない要素である以上、People、Planetを重視する同社の姿勢とProfitを重視するウォールストリートの考えは矛盾するものではないという考え方が垣間見える。

 認定Bコーポレーションが株式上場するとあって米国では様々な議論が飛び交っているが、環境、社会への利益と株主への利益は両立するものであるということを証明する成功事例として、Etsyの今後にかかる期待は大きい。4月16日の上場後、同社が市場からどのような評価を受け、上場後の資金調達を通じて同社がどのように成長を遂げていくのか、今後が楽しみだ。

【参考サイト】Etsy Takes Its Social Mission to Wall Street
【企業サイト】Etsy

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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