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【国際】海洋の資産価値は24兆米ドルだが、資産は急激に減少中。WWF調査

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 世界自然保護基金(以下、WWF)は4月22日、地球の海洋が持つ資産価値を算定した報告書、"Reviving the Ocean Economy: The Case for Action"を公表した。同報告書によると、地球上の主たる海洋資産の価値は少なく見積もっても24兆米ドル以上にのぼり、海洋がもたらす商品・サービスの価値は年間2.5兆米ドルに相当し、世界の経済大国上位10カ国のGDPと比較すると第7位にランクインするという。一方で、それらの資産は気候変動や乱獲などが原因で急速に減少しているとのことだ。

 同報告書はWWFがクイーンズランド大学のThe Global Change Instituteおよび、戦略コンサルティング大手のボストン・コンサルティング・グループと共著で作成したもので、環境破壊の科学的証拠と経済的な観点を組み合わせ、環境保護に向けた早急な行動の必要性を訴えている。革新的な経済分析手法を用いて海洋が提供する商品・サービスの評価に基づき海洋資産を定量化しており、最終的に資産の総額に加えて各国のGDPと比較できるように年間あたりの提供価値も算出している。

 また、同報告書はこのように大規模な価値を生み出している海洋資源が現在急速に減少傾向にあると警鐘を鳴らしている。具体的には、海水温度の上昇をこのまま放置すれば、数億人の人々の食料や雇用などを支えているサンゴ礁が2050年までに完全に消滅してしまう可能性について触れているほか、過剰な漁獲が海洋資産現象の主要な原因となっている点などを指摘している。同報告書によれば、現在世界の漁業資源の90%は過剰に漁獲されているか、既に漁獲され尽されてしまったとのことだ。例えばクロマグロの数は以前と比較して96%も減少しているという。

 このような状況を踏まえつつも、WWFは今であればまだ状況の回復は可能だとしており、海洋資源の回復に向けた8つのアクションプランを提示している。その中でも最も急を要するアクションとして挙げられているのは、グローバルな気候変動対策、国連の持続可能な開発目標を通じた海洋の回復、沿岸地域の保全だ。

 WWFの海洋担当副社長を務めるBrad Ack氏は「海洋は地球の自然資本であり、数え切れないほどの商品・サービスを提供する「工場」である。しかし、日に日に我々の過剰消費、汚染と破壊によって、海洋がもたらしてくれる収穫が逓減してしまっている。海洋は、我々が現金を引き出すだけのグローバル預金口座となってしまっている。このままの行動を続ければ、行きつく先は一つしかない。破産だ。今こそ再投資を行い、この世界共通の資産を保護するべきときだ」と語った。

 我々が日々関わっているあらゆる経済活動が海洋資源をはじめとする生態系サービスがもたらす資本を基にして展開されている以上、海洋資源の減少は環境面だけではなく経済面からもそのリスクを考慮されるべきであることは言うまでもない。WWFの指摘する通り、我々に残された時間は多くない。レポートの詳細について知りたい方は、下記からダウンロード可能。

【レポートダウンロード】Reviving the Ocean Economy: The Case for Action
【参照リリース】Ocean Assets Valued at $24 Trillion, but Dwindling Fast
【団体サイト】World Wildlife Fund

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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