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【国際】企業倫理・コンプライアンスに優れた企業の共通要素は? LRNが報告書を公表

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 世界100か国以上で倫理・コンプライアンス研修などを手がけるLRNが6月17日に公表した報告書、"The 2015 Ethics and Compliance Effectiveness Report"によると、企業が倫理的な企業文化を有しているかどうかを測る最も重要な指標の一つは、経営層がスタッフミーティングや業務評価といった日常のビジネスシーンにおいて倫理やコンプライアンス(Ethics & Compliance、以下E&C)に関する問題提起を行っているかどうかだという。

 同報告書はE&Cプログラムを実施している企業の実態を調査し、戦略上の優先順位や経営陣のリーダーシップ、社内のレポーティング体制などがプログラムの効果にもたらす影響を特定したものだ。調査は今年で8度目となる。

 LRNは、効果的なE&Cプログラムに共通する要素を特定するための指標、Program Effectiveness Index(PEI)をもとに各企業のプログラムを評価している。プログラムが「効果的」だと判断される条件は、事業目標の達成への貢献度、倫理性の向上、従業員の意思決定に影響を及ぼす教育やコミュニケーションの提供などだ。各企業はE&Cプログラムの有効性という観点から0-1の段階で相対的に格付けされる。全プログラムのPEIの平均スコアは0.57となっている。

 報告書の中で企業の倫理的な行動を推進するうえで重要な要素として挙げられているのは、大きく下記の3つだ。

  • アセスメントの活用、コーポレートバリューの策定、行動規範の作成
  • 経営層の日常における振る舞い
  • 社内のレポーティング体制

アセスメントの活用、コーポレートバリューの策定、行動規範の作成

 今年の調査ではスコアの上位20%と下位20%の企業に焦点をあて、アセスメントや評価手法がもたらす影響を分析した結果、上位20%の企業はアセスメントをより頻繁に実施しており、より多くの測定基準を設けていることが分かったという。特にサプライヤーやパートナー企業からのフィードバックをプログラムに取り入れている企業の場合、高スコアを獲得しているとのことだ。

 また、同報告書は企業が倫理的な価値観を持っていることの重要性も指摘している。上位20%の企業のうち半分以上が「行動規範」を発行しており、継続的に自社の価値観を共有しているほか、従業員が何らかの意思決定のジレンマに直面した際、「行動規範」に従おうと思うかどうかが、高スコアと大きく関連していることも分かった。

経営層の日常における振る舞い

 なお、同報告書はE&Cプログラムの効果を最大化し、組織の倫理的な文化を浸透させるうえでは経営層の担う役割が最も重要だとしている。報告書によると、経営層がスタッフミーティングや業務評価といった日常的なビジネスシーンの中でどれだけ頻繁にE&C課題に取り組んでいるかが最も重要な条件だという。

 この傾向がある企業は企業の方針と日々の業務を整合させることを重視しており、行動規範に自社の価値観を統合しているほか、従業員に対しては意思決定のジレンマに陥ったときには行動規範に立ち返るように指導しているとのことだ。

社内のレポーティング体制

 さらに、今年の報告書では、E&C部門の責任者がCEOまたは役員会に対して直接レポートラインを持つ企業の数はますます増えてきており、その場合、ゼネラルカウンシル(法務の責任者、以下GC)をレポートラインに持つよりもはるかにプログラムの効果が高まる点を挙げている。

 また、CEOに直接レポートラインを持つ場合、CECO(Chief Ethics & Compliance Officer)だけよりも、GCとCECOの双方を兼務している担当者が主導するプログラムのほうがより効果的であることが分かったという。LRNはこの理由として、GC兼CECOは倫理的なカルチャーの構築に関して主要な任務を担う場合が多く、また日頃からCEOや経営幹部との関わりがあり支援も受けやすいため、CECO専門の社員よりも影響力が大きいという点を挙げている。CECO専門の社員はGCのカルチャーや価値基準を採り入れ、ビジネスユニットや他部署との関係性を構築することが必要だとしている。

 LRNでE&Cソリューション責任者を務めるJean-Marc Levy氏は「LRNはE&Cの専門家が提供するデータを長期的に分析することで、プログラムのどのような実施事項や特徴が最も重要なのかを独自に考察している。本報告書では、大企業であれ中小企業であれ、戦略的かつ効果的なE&Cプログラムの展開に従事するE&C専門家にとって価値のあるツールとなっている」と語る。

 LRNによってE&Cプログラムの効果を高める具体的な条件が明らかにされたことで、各企業は自社の改善点をより明確にできるはずだ。社内外への影響力が大きい経営層がE&C問題に積極的に取り組むことで、さらに効果的なE&Cプログラムが展開されることが期待される。

【レポートダウンロード】The 2015 Ethics and Compliance Effectiveness Report
【参照リリース】LRN Releases 2015 Ethics & Compliance Effectiveness Report
【団体サイト】LRN

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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