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【中国】北京を襲った大気汚染。2016年の当局の対策は如何に

pm2.5

 昨年末に北京を襲った深刻な大気汚染。12月7日から10日までの4日間、そして18日から22日までの5日間、大気汚染警戒レベルで最も深刻な「赤色警報」が発令された。これは健康被害をもたらすため外出を控えるようにという程のレベルだ。学校は休校になり、屋外工事なども休業となった。2015年1月から10月までは北京の大気汚染レベルは昨年より改善していたため、当局も油断していた気配がある。その後当局はどのような対応をとったのだろうか。

 年越し間もない1月4日、共産党中央政治局常務委員(チャイナセブン)の一人、張高麗・国務院常務副総理(第一副首相)が北京市で関係者を集め座談会を開催した。北京市幹部に対し、直ちに厳格な対応策をとるように指示し、もし環境目標を達成できない場合は問責を行うとまで言及した。張氏は、具体的な措置として、石炭煤煙汚染取締の強化、自動車規制の強化、コーポレートガバナンスの強化、大気汚染警報発令時の対応強化、周辺地区との連携強化を挙げ、各関連当局が一丸となって事に当たることを言明した。

 その10日後の1月13日、北京市政府常務会は「北京市2016年クリーン空気行動計画」を発表した。2016年中に他の市から北京市に入境する大型ディーゼル車は北京市首都高速道路である北京六環路以内に侵入することを禁止するという内容だ。さらに2020年までに同越境大型ディーゼル車は北京市への侵入を禁止することを目指す。また、違反者の取締を強化し、とりわけ同国が定める国Ⅲガソリン車、国Ⅳディーゼル車と偽る車両に対しては高額の罰金を課していく。さらに、2016年末までにハイブリッド車やEV車の累計台数目標を5万台とし、EV小型バス車両に対するEV充電ステーションの割合が70%となるようインフラ設備を設置、北京六環路以内では5km圏内ごとに公共EV充電ステーションを設置する。

 ハイブリッド車、EV車、FCV車など新エネルギー車両については、中央政府も大規模に支援していく発表を昨年末にしていた。12月16日、国務院財政部、科学技術部、興業情報化部、国家発展改革委員会、国家エネルギー局の5部門は協働で「第13次5ヵ年計画・新エネルギー自動車充電設備奨励政策及び新エネルギー自動車普及通知」を発布し、全国省・市の新エネルギー車両普及助成金が総額2億元(約36億円)に達することを発表していた。さらに前日の12月15日には、国家発展改革委員会、住宅都市農村建設部、交通運輸部により、新エネルギー車両には駐車料金を割安にするなどの政策の方向性が示された。中国の自動車市場で、新エネルギー車両に対する需要は大きく拡大しそうだ。

 また同行動計画では、石炭煤塵対策として2〜3年をかけて主要地区の「無煙化」を実施し、農村部では5年をかけて燃焼コンロの無煙化を進める。また、企業取締では、煤塵規制を遵守しない企業には対応を迫り、改善されない場合は北京市からの立ち退きを実施する。立ち退きは2016年だけでも2,500社に上る見通しだという。煤塵対策に関しては、9月30日に国際NGOのグリーンピースが中国の電力事業者26社の煤塵、二酸化硫黄、窒素酸化物排気量に関する調査をまとめ、主要12社全てがいずれかの排気量規制に実態として違反していることを明らかにしていた。グリーンピースは法規制の穴を指摘し、短時間に排気量を大幅に増やすオペレーションをすることで、「合法的に」違法行為を行えてしまうことに警鐘を鳴らしていた。煤塵については中央政府も北京市当局も目下規制強化の必要性を感じており、グリーンピース調査が大きな貢献をもたらしたと言えそうだ。

 12月22日を最後に今日まで「赤色警報」は出ていないが、ひとつ手前の「黄色警報」は12月31日から1月2日にも発令されている。北京市、天津市、河北省のエリアは中国でも最も大気汚染が深刻なエリアだと言われている。改善が急を要しているものの時間はまだまだかかりそうだ。

【当局サイト】北京市環境保護局
【参照URL】新能源汽车产业2015年12月获9项政策支持
【参照URL】【新闻摘要】国内12家“超低排放”燃煤电厂的实际排放情况调查

 

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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