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【イギリス】高級レストランで食品廃棄削減のためにメニューからアラカルトを外す動きが活発化

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 英国では、かつては豪華な料理の象徴だった「アラカルト」メニューがミシュランレストランから姿を消しつつある。より持続可能な食品の利用と廃棄物の削減を目指して、一流シェフらが用意するメニュー数を制限しているのだ。

 英紙The Telegraphの1月19日付の報道によると、ウェールズ地方のモンゴメリーにあるミシュランレストラン、The Checkersでは最高級レストランの間で広まっている新たなトレンドに同調し、アラカルトを廃止したという。同レストランを経営するKathryn Francis氏は「長年にわたって考えてきたコンセプトだ。調理場での食品廃棄物の管理がいろいろな面で容易になるし、作業量もより予測しやすい」と語っている。

 アラカルトのメニューがある場合、レストラン側は顧客の注文に柔軟に対応するために常に各メニューに必要な食材を十分な量用意しておく必要があり、結果としてより多くの食品廃棄につながってしまうという問題がある。

 セットメニューのみの提供とすればこの無駄な食品在庫と廃棄の問題が解決でき、環境に配慮したレストラン運営につながるだけではなく、ロス削減による仕入コスト削減にもつながる。このトレンドは多くの種類の料理が少量ずつ提供されるテスターメニューにも波及して行くことが予想されている。

 The Telegraphの記事の翌日には、The Guardianがこのテーマに関する論説記事を掲載している。同紙によると、英国では食品の無駄を避ける意識の高まりと共に、高級レストランのシェフらが量よりも質に重点を置き、より質の高い食材、確実に使用する食材をストックする動きが高まっているという。

 また、食品廃棄物の削減に向けた取り組みはレストランだけではなく小売業界にも広まっている。英国では2015年1月、大手スーパーのテスコが無駄の削減による商品の低価格化と陳列スペースの確保を目的として、品揃えを30%カットした。

 一方で、こうした動きは消費者の目にはどう映るのだろうか?The Guardian紙は、心理学者でノーベル経済学賞受賞者のHerbert Simon氏や、Barry Schwartz氏の研究事例を引き合いに出しながら、選択肢を少なくすることは人々の満足度を向上させる可能性について触れている。

 あえてメニューの種類を減らすことが食品廃棄の削減、店側のコスト削減、そして顧客の満足度向上につながるのであれば、まさに三方よしの取り組みと言える。持続可能な生産と消費はSDGs(国連持続可能な開発目標)で掲げられた重要なサステナビリティ課題の一つでもある。同様の動きが英国に限らず世界全体の小売・外食業界で広がることを期待したい。

【参照記事】A la carte is off the menu as top restaurants cut down on waste The Telegraph 19 Jan..2016
【参照記事】The Guardian view on limited choice: à la carte should be off the menu The Guardian 20 Jan. 2016

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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