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【フランス】ミシュラン、森林破壊ゼロ・コミットメントを表明 2016/07/04 最新ニュース

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 タイヤメーカー大手の仏ミシュラングループは6月21日、天然ゴムの調達において森林破壊ゼロを目指す方針「Sustainable Natural Rubber Policy」を発表した。方針には、「森林保護関連の国内法の遵守」「原生林の完全な保護と保全」「保護価値の高い森林(High Conservation Value Forests:HCVF:)の保護と保全」「高炭素貯蔵(High Carbon Stock:HCS)アプローチによる森林の保護と保全」を定め、天然ゴム供給者に対して遵守を要望していく。近年、サプライチェーン上で森林破壊に繋がる活動がないかを配慮する企業が増えてきている。

 方針の中で定められている「保護価値の高い森林」とは、以下の、6つのカテゴリーの特徴を一つ以上有している森林を指す。

1. 世界的、地域的または国ごとにみて生物多様性の価値が集中している森林で、下記の4つの要素に分けられる
  a)保護地域 
  b)脅威にさらされている種および絶滅危惧種が存在する森林
  c)固有種が存在する森林
  d)重要な一時的な利用:繁殖地、越冬地、移動ルート、季節に応じた重要な生息地等
2. 世界的、地域的または国ごとにみて、重要で広大な景観レベルの森林
  ・広範囲に生息する種(例えば、クズリ、トラ、ゾウ)の重要な群れが存在する森林
  ・生態系としての機能が、近年の人間活動によって全くあるいは比較的影響を受けていない森林
3. 希少で、脅威にさらされているまたは危機に瀕している生態系の中にあるか、またはそれを含む森林地域。
4. 重要な状況において自然の基本的なサービスを提供する森林(水源保護、土壌浸食制御など)  
  a)集水域にとって重要な森林
  b)土壌浸食制御に重要な森林
  c)破壊的な森林に対して重要なバリアーを提供する森林
5. 地域コミュニティの基本的ニーズを満たすために欠かせない森林
6. 地域コミュニティの伝統的文化的アイデンティティに重要な森林

 「高炭素貯蔵」アプローチとは、森林がもつ二酸化炭素貯蔵性と生物多様性を保護、保全する仕組みで、2011年にパーム油のプランテーションの拡大に向けた方策として導入された森林破壊ゼロを進めるための効果的、実践的な取り組みだ。具体的には森林および土地全体を高密度、中密度、低密度、再生後の若い樹木が多い森林、低木林、整地済みの土地という6種類に分け、前者4種類に関しては高炭素貯蔵森林地域として特定し、保護・保全の対象とする。その上でパーム油、パルプ・紙、ゴムのプランテーションの拡大に際しては後者の2種類がその可能性をもつ地域として、法的規制の遵守と当該地域住民の事前かつ自由裁量によるインフォームドコンセント等の必要な措置を満たす場合に限り協議の機会が得られるというもの。従って「高炭素貯蔵」アプローチは先述の「保護価値の高い森林」と重なり合う部分が多い。

 今回のミシュランの発表を受けて、国際環境NGOグリーンピースのフランス支部は、同社の主要なサプライヤーであるSocfin(本社:ルクセンブルク)との取引を止めるように警告している。その背景には、グリーンピースが、コンゴ、サントメ・プリンシペ、カメルーン、リベリア各国の協力の下で実施した、Socfinグループによる森林開発に関する調査がある。Socfinグループの契約プランテーションが、原生林だけでなく多量の二酸化炭素を貯蔵できる二次林(原生林が伐採あるいは焼失した後、自然に発生した樹林)にも及んでいることを問題視する2つの報告書を、グリーンピースは今年2月と5月に発表している。

 Socfinは森林破壊ゼロへのコミットメントを拒否しており、グリーンピースはSocfinの天然ゴムやパーム油の購入企業に対し、同社が方針を改めない限り、取引を停止すべきだと呼びかけている。最近の調査によると、2024年の天然ゴムの需要を満たすには、新たに430万から850万ヘクタール分のプランテーションが必要だという。パーム油のプランテーションに匹敵するような広さが求められるようになれば、ゴム業界の森林破壊ゼロへのコミットメントが重要性を増すのは必然。ミシュラン、Socfinそして仏グリーンピースの今後の対応が注目される。

【参照ページ】Greenpeace France’s reaction to Michelin Zero Deforestation Commitment
【新方針】A Sustainable Natural Rubber Policy
【参考ページ】What are High Conservation Values
https://www.hcvnetwork.org/about-hcvf
【参考ページ】保護価値の高い森林(HCVF)
【参考ページ】The High Carbon Stock Approach

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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