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【アメリカ】有力医学論文、「飽和脂肪酸とトランス脂肪酸は人体に悪影響」と発表 2016/07/19 最新ニュース

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 AFP通信は7月6日、バター、ラード脂、牛や豚の赤身肉に多く含まれている飽和脂肪酸や、牛や山羊などの反芻動物の肉や乳に多く含まれているトランス脂肪酸が、人体の早期死亡リスクを増大させるという科学的な研究が発表されたことを報じた。発表は、米国医師会が発行する学術誌『JAMA Internal Medicine』でなされたもの。JAMA Internal Medicineは、世界六大医学雑誌の一つとも称され、権威ある論文雑誌。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の人体への悪影響については、医師コミュニティの中でも意見が分かれていたが、今回は「悪影響がある」という内容を示す重要な論文となった。

 今回の発表は、ハーバード大学の公衆衛生大学院博士課程に在籍しているDong Wang氏が筆頭著者を務め、12万人を対象とし、30年にわたり行われた研究の内容。調査対象は医療従事者で、2年から4年ごとに各自の健康、食生活、生活様式についてのアンケートに最長で32年間回答を得続けた。

 研究では、まず、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸と炭水化物の比較が発表され、摂取カロリーが同じでも、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸を摂取した人の方が炭水化物によって摂取した人より死亡率が高くなることを示した。また、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸と、他の植物由来の不飽和脂肪酸(シス型)との比較では、バター、ラード、牛や豚の赤身肉から摂取された飽和脂肪酸の替わりに、菜種油のような植物由来の不飽和脂肪を摂取すると、「かなりの健康効果をもたらし、食生活への勧告に含め続けるべきだ」と主張した。

 とりわけ、最も健康に悪影響を及ぼすのは、マーガリンのようなトランス脂肪酸含有の食物で、トランス脂肪酸摂取量が2%増加すると、早期死亡の確率が16%高くなると発表。また、飽和脂肪酸については、摂取量が5%上がると、早期死亡確率が8%高くなるという。一方で、不飽和脂肪酸(シス型)は大量摂取したとしても、同カロリー数の炭水化物を摂取した場合よりも、早期死亡確率が11%から19%下がる結果となった。この人体への悪影響が少ない不飽和脂肪酸(シス型)には、魚介類、亜麻仁油、しそ油、えごま油、魚油に多く含まれるω3脂肪酸や、高リノール紅花油、高リノールひまわり油、大豆油、菜種油、クルミに多く含まれるω6脂肪酸など多価不飽和脂肪酸(シス型)についても当てはまるという。外部の専門家は、今回の研究結果が観察調査をもとにし、バイアスをもたらす可能性のあるアンケート調査方法を用いているものの、今までの他の健康、食生活についての大規模研究結果と概ね一致しているとしているという。

 日本には、まだ飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を規制する法律はないが、海外先進国では飽和脂肪酸やトランス脂肪酸に関する規制をかけている国も少なくない。日本でも厚生労働省がかつてトランス脂肪酸に関する規制を検討したことがあったが、医学的根拠がないという食品関係業界からの反発もあり、法律化には至らなかった。今回医学会で新たな有力論文が登場したことで、日本でも再び規制に向けての議論が活発化してくるかもしれない。

【参照ページ】Three-decade study confirms saturated fats are bad for health
【論文】Association of Specific Dietary Fats With Total and Cause-Specific Mortality
【学術誌】JAMA Internal Medicine

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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