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【国際】自然資本連合(NCC)、ついに「自然資本プロトコル(NCP)」初版を発行

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 自然資本分野における国際基準作りを進める自然資本連合(NCC)は7月13日、「自然資本プロトコル(NCP)」の初版を発行した。自然資本とは、企業活動や社会生活に不可欠な水、土壌、鉱物、大気、動植物や、それら全体としての生態系や生物多様性などを指す。近年、環境破壊や人口増加などを背景として、自然資本の有限性が認識されてきており、経済活動における自然資本の適切なマネジメントを求める声が上がってきていた。自然資本プロトコルの草案は昨年11月に公表され、その後パブリックコメント募集を経て、今回正式に初版として発行された。

 自然資本連合は、自然資本分野で活動をする数多くの企業やNGO、国際機関が集まる集合体で、2012年に設立されたTEEB for Business Coaltion(ビジネスのための「生態系と生物多様性の経済学」連合)を前身とし、2014年に設立された。立ち上げメンバーには、サステナビリティ報告基準を定めるGRI、企業経営者の連合体WBCSD、国際環境NGOのWWFなどが加わっている。また、今日までに企業参加メンバーも増加しており、コカ・コーラ、ダウ、H&M、マークス・アンド・スペンサーの他、世界銀行、クレディ・スイスなど金融機関、デロイト、EY、KPMG、PwCなど大手監査法人が積極的に参加している。

 今回発表された「自然資本プロトコル」は、全16ページと比較的コンパクトな内容(2016/8/22修正。基本原則をまとめた文書は全16ページほど。「自然資本プロトコル」本編は約130ページ)。経営の中に自然資本マネジメントを取り入れるための標準的な考え方と手順がまとめられている。そのため、GRIのような報告内容をまとめた基準ではなく、自然資本会計基準をまとめたものでもない。「自然資本プロトコル」が定めたマネジメント手順は、目標設定、アセスメント対象設定、影響測定、実行など一連のプロセス全体に渡る。一見すると、従来の環境アセスメント手順やISO14001シリーズのような環境マネジメントシステムと同質のものに感じるが、「自然資本プロトコル」のユニークな点は、事業活動が環境に与える影響だけでなく、自然資本が事業活動に与える影響や依存度などにも焦点を当てているところ。自然資本連合は、自然環境が大きく変化している現在において、自然環境が自社に与える影響を適切に把握しなければ事業活動の持続可能性(サステナビリティ)は確立され得ないと考えており、「自然資本プロトコル」誕生の根幹にも、この考え方がある。

 また、「自然資本プロトコル」を補完する文書として、業種ごとの手引書となる「セクターガイド」も同時に発行された。今回は、アパレル業界と食品・飲料業界の2業界だけだが、今後他の業界のセクターガイドも発行されていく予定。セクターガイドは、各業界について推奨される手順が丁寧に解説されており、文量も多く読み応えがある。さらに、自然資本連合は、「Protocol Application Program」というプログラムも同時に開始し、プロトコルに興味にある企業に対して導入コンサルティングサポートも提供していく。

 「自然資本プロトコル」創設に当たっては、昨年10月から今年2月にかけ、企業が試験導入を行うパイロット運用も行われた。パイロット運用に参加した企業は、コカ・コーラ、ダウ、ロシュ、ネスレ、シェルなどが「Deep Dive Pilots」という実施程度の強いプログラムに参加し、よりライトなパイロットプログラムには、フィリップス、LVMH、H&M、アクゾノーベル、ジャガーなどが加わった。日本を始めとして東アジア企業からのパイロット参加はなかった。

【機関サイト】自然資本連合(NCC)
【プロトコル】自然資本プロトコル
【セクターガイド】SECTOR GUIDES
【プロトコル開発】Protocol Development

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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