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【アメリカ】連邦政府、トリクロサン、トリクロカルバン含む薬用石鹸・洗剤の販売を禁止

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 米保健福祉省配下の食品医薬品局(FDA)は9月2日、特定の成分を含む抗菌石鹸(日本では薬用石鹸、除菌石鹸などとも呼ばれる)や抗菌洗剤の一般販売を全米で禁じる規則を発表した。含有を禁止される成分には、幅広く利用されているトリクロサンやトリクロカルバンも含まれており、メーカーは対応を迫られる。FDAは抗菌石鹸や抗菌洗剤の安全性をチェックするためメーカーに対して人体への安全性と通常の石鹸や洗剤に比べ感染被害を抑止する効果があるかの検証報告を求めていたが、FDAは今回禁止する19成分について納得いくものではないと判断した。抗菌効果のある成分は生活排水の過程で水系に流出し、農場への散布などを経て最終的に人体に摂取されたり、それ以外の生態系への影響が懸念されていた。

 禁止される19成分は、トリクロサン、トリクロカルバンの他、クロフルカルバン、フルオロサラン、ヘキサクロロフェン、ヘキシルレソルシノール、ヨウ素複合体(アンモニウムエステル硫酸とポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、ヨウ素錯体(アルキルアリールポリエチレングリコールのリン酸エステル)、ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールヨウ素、ポロクサマーヨウ素コンプレックス、ポビドンヨード5~10%、ヨード塩化ウンデコイリウム複合体、塩化メチルベンゼトニウム、フェノール(1.5%超)、フェノール(1.5%未満)、二次アミルトリクレゾール、ナトリウムオキシクロロセン、トリブロンサラン、トリプル染料。この他、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロキシレノール(PCMX)の3成分については、1年間の販売禁止猶予が与えられ、メーカーは安全性等を立証するためにデータ収集が義務付けられる。これら新規性は全て2017年9月6日から適用される。

 米国では、抗菌石鹸や抗菌洗剤が使用後に水で洗い流された結果、耐性細菌を誕生させたり環境ホルモン害に繋がる恐れがあるとして、FDAは2013年12月にメーカーに対して安全性と除菌効果の有効性を立証するデータの提供を義務付けていた。今回の措置は提出されたデータからの最終判断となる。2013年に制定されたFDA規制では、対象は水で洗い流す抗菌石鹸と抗菌洗剤のみであり、除菌ハンドジェルや医薬品は対象とならないため、今回の販売禁止の適用も受けない。FDAは、抗菌石鹸や抗菌洗剤の替わりに、通常の石鹸や洗剤、アルコール除菌剤、除菌ハンドジェルの利用を推奨している。

 トリクロサンやトリクロカルバンを含む石鹸や洗剤は世界的に広く使われており、日本で市販されている薬用石鹸の多くもトリクロサンやトリクロカルバンを用いている。米国以外では、すでにEUの専門機関、欧州化学機関(ECHA)が2015年6月にトリクロサンを成分とする抗菌石鹸や抗菌洗剤の販売を禁止する決定を下しているが、トリクロカルバンはまだ禁止されていない。今回のFDAの措置を受け、菅義偉官房長官は9月7日の会見で、厚生労働省も同様の措置の必要性を確認していく必要がある述べ、厚生労働省が検討に入っている。

【参照ページ】FDA issues final rule on safety and effectiveness of antibacterial soaps

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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