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【中国】環境保護政策、省政府の責任を明確化。大気汚染状況は昨年より改善

shanghai

 中国共産党中央委員会弁公庁と国務院弁公庁(内閣である国務院の事務局組織)は9月22日、「省以下の環境保護機関の観測・監察・法執行垂直管理制度改革の試験的運用に関するガイドライン(关于省以下环保机构监测监察执法垂直管理制度改革试点工作的指导意见)」を公布した。中国では、環境保護部(環境省に相当)が中央レベルの環境保護政策を扱う一方で、地方政府である省政府、市政府、県政府(市の下に位置する)にも環境保護担当部署が設置されている。地方分権が色濃い中国では、中央政府の意向が地方政府の末端まで浸透しないことが課題となっており、環境保護政策についても同様の問題が指摘されてきた。「省以下の環境保護機関の観測・監察・法執行垂直管理制度改革試験的取組」とは、省より下の市レベルや県レベルの環境保護担当部署を、省の環境保護部が直接マネジメント(垂直管理制度と呼ばれる)する新たな取組で、現在試験的に運用が行われている。現在試験的運用を実施している省および直轄市は、河北省、上海市、江蘇省、福建省、山東省、河南省、広東省、重慶市、貴州省、陜西省、青海省の12省及び市。今回、中国共産党と国務院は、この垂直管理制度をさらに一歩進めるための改革を発表した。

 新たに発表されたガイドラインでは、試験運用を実施している省内においては、環境保護に対する全責任を省政府が負い、省政府が省内の統一的なルール制定と運用を行うことが明確にされた。まず、省の下の市政府レベルの環境保護局局長及び副局長は省政府によって任命され、省政府の出先機関として位置づけられる。市の下の県レベルの環境保護局は市レベルの環境保護局の出先機関として位置づけられ、省政府が定める法の現地出先機関の役割に変更される。また、省政府は市や県の環境保護局を監察する権限を与えられ、省内の環境観測や環境アセスメントや取締は市や県が実施しつつも省政府が最終責任を負うことになる。この新たな組織体制は、試験運用実施省は2017年6月末までに、それ以外の省も2018年6月末までに整備を完了させなければならないと期限も定められた。省政府が全責任を負うことが明確になったことで、省が市や県に責任を押し付ける言い訳ができなくなり、環境保護の実施レベルが強化されることが期待されている。

 それに先立ち、環境保護部(環境省に相当)は8月30日、大気汚染や水質汚染防止のための5つの新たな環境に関する中国標準規格(GB)を発表した。発表されたのは、「船舶発動機排気汚染物排出制限及び測量方法(GB 15097―2016)」、「二輪車汚染物排出制限及び測量方法(GB 14622―2016)」、「小型二輪者汚染物排出制限及び測量方法(GB 18176―2016)」、「軽型ハイブリッド電動自動車汚染物制限及び測量方法(GB 19755―2016)」、「苛性ソーダ、ポリ塩化ビニル産業汚染物排出標準規格(GB 15581―2016)」。いずれの標準規格でも、大気汚染の原因となるPM、窒素化合物(NOx)、硫黄化合物(SO2)の排出基準が新設もしくは改訂されており、大気汚染の改善が期待されている。

 大気汚染の状況については、全国重点地域として74都市が指定され、定点観測が実施されている。環境保護部は9月12日に8月の観測結果を発表、多くの都市で昨年同月と比べ改善が見られていることがわかった。京津冀(北京・天津・河北省)地域の13都市は、優良日数割合は昨対比21.6%増加し83.6%となった。PM2.5濃度やPM10濃度もそれぞれ30%以上減少した。しかしながら、北京市に関しては、優良日数割合は昨対比と同等で、PM2.5濃度は4.4%上昇し、47マイクロg/m3と、北京市では依然大気汚染が深刻な状態が続いている。

 上海市、江蘇省南部、浙江省北部を含む長江デルタ地域では、優良日数割合は昨対比0.2%増加し76.6%となった。PM2.5濃度は33.3%減少、PM10濃度は23.2%減少していた。特に上海は74都市中8番目に状態が良い状況となっており、大きく改善が進んでいる。一方、香港、深圳市、広州市を含む珠江デルタ地域では、優良日数割合は昨対比3.5%増加し76.6%となった。PM2.5濃度は30マイクロg/m3で横ばい、PM10は4.3%減少し45マイクロg/m3と、こちらも状況がよくなっていることがわかった。

【参照ページ】中共中央办公厅 国务院办公厅印发《关于省以下环保机构监测监察执法垂直管理制度改革试点工作的指导意见》
【参照ページ】环保部发布五项排放新标准 将大幅削减污染物
【参照ページ】环境保护部发布2016年8月重点区域和74个城市空气质量状况

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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