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【国際】持続可能な漁業「MSC認証」取得事業者が世界で増加。日本を含むアジア地域は依然少ない

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 漁業の持続可能性を高める活動を展開している国際NGOの海洋管理協議会(MSC)は10月12日、年次報告書「Annual Report 2015-16」発表、同NGOが提供する「MSC認証」が順調に世界の漁業に普及していることを発表した。MSC認証には漁業事業者に対する「漁業認証」と加工・流通事業者に対する「CoC認証」の2つで構成されているが、そのうち「漁業認証」取得事業者の捕獲量は前年比6%増加した。また「CoC認証」のもとでの流通量は前年比16%増加した。

 報告書によると、MSC「漁業認証」を取得した事業者は、36ヶ国286事業者。そのうち当期の新規取得事業者は38社。2015年度の「漁業認証」取得事業者の総水揚量は930万tで、これは世界の漁獲量全体の10%に相当する。とりわけ欧米でのMSC認証の普及率は高く、太平洋北東部の水揚量の83%(260万t)、大西洋北東部の水揚量の40%(300万t)がMSC認証を受けている。一方、世界的に水揚量の多いアジア地域では、太平洋北西部の水揚量の6%(120万t)、太平洋中西部の水揚量の5%(63万t)しかMSC認証を受けていない。日本では、京都府機船底曳網漁業連合会のアカガレイ漁業、北海道漁業協同組合連合会のホタテガイ漁業、明豊漁業株式会社の一本釣りによるカツオとビンナガマグロ漁業の3事業者のみがMSC「漁業認証」を取得している。このうち、明豊漁業は今年10月17日に認証を取得したばかり。同社は東日本大震災後に設立された新しい会社で、東北漁業の復興のため認証を取得している。また、世界的な漁業管理の必要性が叫ばれるまぐろ漁では、現在世界16%の水揚量がMSC「漁業認証」を取得している。

 流通・加工過程で認証水産物と非認証水産物が混じることを防ぐCoC認証については、取得事業者数が2,879社から3,334社に増加。現在82ヶ国37,121ヶ所の加工所、レストラン、仕出し屋などがCoC認証取得下で運営されている。またMSC認証の下で小売販売されている商品数は世界で2万品目を突破、商品販売総額にして約46億米ドル(約4,800億円)にも及ぶ。報告書の中では、英国スーパー大手ゼインズベリーや、仏スーパー大手カルフール、日本のイオンなどの取組事例が紹介されている。

 またMSCは、MSC「漁業認証」を取得した魚介類が、小売までのサプライチェーン上で適切にラベル管理されているかどうかについても検証を進めている。現在、一般的に食品認証の正確さは70%ほどだと言われているが、今回MSCはDNAレベルのサンプル抽出追跡調査を世界で256件実施。ドイツで1件のラベル不適格が発見された以外は、世界255件(そのうち5件は日本)の調査ではラベリングが適切だったという。

 持続可能な漁業の分野では、世界でたくさんの認証制度が生まれているが、今回取り上げたMSC認証と、FOS認証が世界の二強。それ以外にも養殖分野の認証制度、ASC認証などがある。

【参照ページ】New report shows accelerated growth in the sustainable seafood supply chain

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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