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【国際】持続可能なインフラ分野への投資が急務。経済と気候変動分野の国際イニシアチブ報告書 2016/11/09 最新ニュース

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 気候変動と経済に関する国際イニシアティブのThe Global Commission on the Economy and Climate(経済と気候変動に関するグローバル委員会)は10月6日、持続可能なインフラの分野への投資を呼びかける新たなレポート「The Sustainable Infrastructure Imperative: Financing for Better Growth and Development(急務な持続可能インフラ:より大きな成長と発展のためのファイナンス)」を発表した。レポートによると、持続可能な発展や世界的な経済成長のためには、インフラ分野への投資が急を要しており、今後2、3年間の投資選択により、今後数十年の方向性が、環境や社会と配慮した成長に向けたものとなるか、高炭素、非効率、持続不可能なものとなるか、道筋が分かれるという。

 この委員会は、2013年9月に、当時の政府首脳や国際機関トップらが立ち上げたイニシアチブ。設立時から現在まで、委員長はフェリペ・カルデロン前メキシコ大統領が務めている。委員には、Nicholas Sternロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授兼英国学士院会長、中尾武彦アジア開発銀行(ADB)総裁、Suma Chakrabarti欧州復興開発銀行(EBRD)総裁、Helen Clark前ニュージーランド首相、Stuart Gulliver HSBCグループCEO、Angel Gurría OECD事務総長、Chad O. Hollidayシェル会長、ポール・ポールマン・ユニリーバCEO、Sri Mulyani Indrawatiインドネシア財相、Sharan Burrow国際労働組合総連合(ITUC)事務局長らが就いている。

 レポートでは、今後15年間で、世界全体の現インフラ資産より多い、総額90兆米ドル相当の投資がインフラ部門に必要となるという。今後、先進国の古いインフラを修繕し、新興国や途上国で高度な経済成長と構造的変化を実現していくのにこれだけの金額が必要となる。グローバル・サウスにおけるエネルギーおよび輸送分野が必要な投資のおおよそ3分の2に相当する。このためには、現在の投資額である年間3.4兆米ドルから年間6兆米ドルへと大幅な増額が求められる。レポートの中では各業種や各地域ごとに必要となる分野や金額がまとめられている。全体の投資需要のうち3分の2は、南半球の発展途上国の交通、エネルギーインフラ分野だ。

 同時にレポートはパリ協定による投資影響にも言及。パリ協定で各国がコミットした目標(INDCs)を達成するためにエネルギーや費用が節約することで、この分野への投資財源の多くは確保できるとの楽観的な見通しを示した。投資を実現させるためには、官民両面からの投資が必要で、とりわけ公的機関の投資は、民間資金をうまく引き込めるよう戦略的な使い方が必要だと提言した。持続可能な大規模インフラプロジェクトには、単体でも複数金融機関からの投資を受けるプロジェクト型となることがほとんどで、完成までに10数年を要する。プロジェクト準備期間だけでも、総投資額の2.5%から5%ほどのコストがかかり、民間投資を引き出すためには、リスクを低減させるための公的投資が不可欠となる。同委員会委員のCaio Koch-Weser元ドイツ銀行副総裁は、投資促進のためには、グリーン投資の定義と透明性の確保が握ると話す。

 これらを受け、同委員会は、行動指針として4項目をまとめた。

  1. 化石燃料への助成金引き下げとカーボンプライシングを導入し、インフラの分野の基本的な価格の歪みを是正する
  2. 適切なプロジェクトと投資を実現するため、政策フレームワーク及び組織の計画能力とガバナンスを強化する
  3. グリーンボンドやグリーン融資とともに、企業の気候変動リスク情報開示を含め既存の投資手法をグリーン化する
  4. 再生可能エネルギー分野に投資し、持続可能なインフラを実現するためのコストを引き下げる

【参照サイト】Transform the financial system to deliver sustainable infrastructure and reignite growth, says Global Commission

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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