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【国際】2030年までに風力で総電力の20%を賄うことは可能。世界風力会議レポート

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 風力発電の国際的連携機関、世界風力会議(GWEC)は10月18日、2016年度の「Global Wind Energy Outlook」を発表し、2050年までの風力発電の成長予測を更新した。GWECは2年毎に同レポートを発表している。今回のレポートでは、風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーの発電コストが劇的に減少していることを挙げ、2030年までの風力発電の伸び率予測を上方修正した。とりわけ、アフリカ、アジア、南米など新市場で風力発電は急速に進展しており、現地での持続可能な発展を支える電力源となっていくという。

 Global Wind Energy Outlookは毎回、複数のシナリオを用意して、それぞれのシナリオに基づく風力発電導入量、発電コスト、雇用創出数などを予測している。前回の2014年度レポートでは、世界29ヶ国が加盟する国際エネルギー機関(IEA)のベースシナリオで現在の政策レベルで2030年までに3.5℃上昇するとみる「新政策シナリオ(NPS)」、NPSを基にしつつ風力発電コストは今後大幅に下ると見るGWECの独自ベースシナリオ「中庸シナリオ」、中庸シナリオより各国政府が原子力や炭素回収貯留(CCS)に頼らず再生可能エネルギーを一層推し進める「発展シナリオ」の3つを基に数値予測をしてきた。今回は新たに、IEAが2℃上昇に抑えるために大気中の温室効果ガス濃度を450ppmに留めるシナリオ「450シナリオ」に基づく数値予測も行い、4つのシナリオ全ての2020年、2030年、2050年時点の風力発電状況を定量分析した。

 このシナリオ分析の結果によると、2030年までの累積風力発電導入量は、NPS、中庸シナリオ、発展シナリオのいずれにおいても前回予測時より上方修正。NPSでは1,260GW、中庸シナリオでは1,676GW、発展シナリオでは2,110GWとした。また450シナリオでは1,454GWとした。発展シナリオで算出された2,110GWはその時の世界全体の発電総量の20%に相当し、GWECは各国が真剣になれば2030年までに風力発電が世界全体発電量の20%を賄うことも可能だと熱弁している。風力発電コストの低下を見込む中庸シナリオや発展シナリオでは、とりわけ中国、南アジア、アフリカ、中南米での導入が大きく進むという数値となっており、これが実現できれば持続可能な発展に大きく貢献できる。

 実際に風力発電コストはここ数年大きく下がってきている。風力タービンの価格は2009年以降、約3分の1削減し、価格競争力を高めている。レポートでは、風力発電の中でも陸上風力発電が最も価格が下がっていると言い、米国では原子力発電コストは陸上風力の3倍。欧州、アフリカ、中東では石炭火力発電やガス火力発電は陸上風力より30%高いとした。GWECは風力発電コストは今後さらに下がると見立て、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)を紹介。2025年までに陸上風力発電コストは26%、洋上風力では35%下がっていくという。さらにGWECは、米国での風力発電分野の雇用は、2015年だけで21%増加し、全米平均より12倍も高いと雇用創出効果も強調。また今後、水資源の希少価値が高くなる中、水を一切使わない風力発電の意義は大きいとした。

 レポートは無料で誰でもオンライン上でダウンロードできる。

【参照ページ】Wind Power to dominate power sector growth
【レポート】Global Wind Energy Outlook 2016

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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