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【ドイツ】メルケル連立政権、2050年までの二酸化炭素排出95%削減で合意 2016/11/27 最新ニュース

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 英紙ガーディアンおよびインディペンデントの報道によると、ドイツのメルケル連立政権は11月11日、二酸化炭素排出量を2050年までに95%削減する気候変動アクションプランの合意に至った。ドイツの当初削減目標は、先進国間合意と同じく2050年までに80%削減。今回その目標を大きく引き上げた。この計画に基づき、2030年までにドイツ経済界は二酸化炭素排出量を20%削減し、またエネルギー業界は排出量を50%削減する必要がある。一方、合意には、雇用や社会へのインパクトを勘案し2018年に再度削減目標を見直すことも盛り込まれた。

 このタイミングでの目標引き上げには、同時並行で開催されていたCOP22マラケシュ会議への意識がある。米国の大統領選挙でのトランプ氏の勝利の後、同国の気候変動政策への懸念も示される中、ドイツには気候変動分野での大きなリーダーシップが期待されており、それを受けての政権内合意発表となった。

 しかしまだまだ難航も予想される。ドイツのバーバラ・ヘンドリックス環境・自然保護・原子力安全大臣は昨年、大規模な産業改革による大幅な二酸化炭素削減を計画したが、交通・デジタルインフラ大臣、食糧・農業大臣からの大きな抵抗にあい、またガブリエル副首相兼経済エネルギー大臣からも二酸化炭素排出量の多い褐炭の消費を抑える政策は褐炭産地地域の失業につながると否定的な見解が出ていた。そのため、今回の合意では、削減目標そのものは引き上げられている一方、エネルギー業界での削減目標を当初案より引き下げ、EUの排出権取引制度上で排出権を各企業・機関に付与される際に無料ではなく最低価格制度を導入する政策についても撤回された。ガブリエル副首相は、この最終合意案について、「とてもよい。バランスのとれた解決策だ」とし、「エネルギー集約型の産業分野でさえも、雇用を守りつつ気候変動と闘うことができれば、各国も我々の野心的な気候対策の後に続くに違いない」と述べている。

【参考】連邦環境省「気候変動アクションプラン2050」、経済界の反発を受け内容大幅後退(2016年9月25日)

 ドイツ産業連盟(BDI)のウルリッヒ・グリロ会長は、早速今回のアクションプランを批判、「ドイツの気候政策を世界のスタンダードとして樹立しようとするならば、ドイツの産業にとって無理がなく、かつ競争力を維持できるものであるべきだ。今回のプランは個々の分野から見ると、恣意的で高すぎる目標になっており、それが我々が拒否する理由だ」と見解を述べている。

 今後メルケル連立政権が一枚岩でこの難局を乗り切れるか、さらには2017年秋の総選挙で支持を集められるか。ブレグジットや米国のトランプ候補勝利で欧米の政局が見通しづらくなっている中、ドイツの環境政策の行方から目が離せない状況が続く。
 
【参考ページ】German coalition agrees to cut carbon emissions up to 95% by2050
【参考ページ】Germany to cut carbon emissions by 95%

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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