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【国際】人権分野の世界主要銀行格付、バンクトラック実施。邦銀3行いずれも低い評価

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 金融機関の環境・社会影響をウォッチしている国際NGOのバンクトラックは6月27日、報告書「Banking with Principles?」を発表、世界の主要銀行45社の国連「ビジネスと人権に関する指導原則」への対応度に関する格付を発表した。報告書では、5年前に策定された「ビジネスと人権に関する始動原則」に関し、主要銀行は対応が遅く、最も積極的な銀行でさえ取り組みに改善余地が大きいということをまとめた。

 今回実施した格付評価では、「ビジネスと人権に関する指導原則」の内容に基づき、社内ポリシー、デューデリジェンス・コミットメント、報告、救済措置へのアクセス提供という4カテゴリー、全12項目で実施状況がチェックされた。4カテゴリー毎に最大3点が与えられ、12点が満点。9.5点以上が「真のリーダー」、6.5点以上が「フロントランナー」、3.5点以上が「フォロワー」、それ未満が「遅滞者」と位置づけられた。

 「真のリーダー」を獲得できた銀行はなし。「フロントランナー」に位置づけられたのは、全部で8行。首位はオランダ・ラボバンクの8点。2位は米シティバンクの7.5点。その下は6.5点でタイで、オーストラリア・ニュージーランド銀行、バークレイズ、BNPパリバ、クレディ・スイス、ドイツ銀行、UBSという世界有数の銀行が名を連ねた。

 「フォロワー」は13行あり、最下位の「遅滞者」は24行にのぼった。日本の銀行としては、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルホールディングスの3社が対象となった。結果は、いずれも「遅滞者」の評価で、みずほフィナンシャルホールディングスは3点で邦銀トップ、三井住友フィナンシャルグループは0.5点、三菱UFJフィナンシャル・グループは全銀行中最下位タイの0点だった。三菱UFJフィナンシャル・グループと同じ0点だったのは、他に中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行の3社。その他、世界有数銀行では、ウェルズ・ファーゴ5点、JPモルガン・チェース4点、ゴールドマンサックス3点、HSBC3点、モルガン・スタンレー2点、バンク・オブ・アメリカ1点。

社内の方針、デューデリジェンス、報告、解決策の提供という4カテゴリーにおける進捗を12の基準で評価した。その結果、3つ以下の基準しか満たしていない銀行は半分以上の24社にのぼり、多くの銀行が人権に与えうる影響を十分に検討できていないことを示している。ゴールドマンサックス、モルガン・スタンレー、三菱東京UFJ銀行などがこの中に入っている。

 報告書では、45行中どの銀行も満たしていない基準を3つ特定。まず、デューデリジェンスにおいて、影響を受ける可能性のある地域住民との対話についての明記が全くなかった。次に、具体的な人権への影響についての報告が限定的で、銀行の取り組み状況について評価するだけの情報が不足。最後に、人権の侵害についての通報があった場合の救済に関する枠組の開発が未整備。

 バンクトラックの人権に関する銀行格付は今回が2回目。初回と今回の両方で対象となった銀行は30行。2014年12月に公表された初回と比べ15社の評価が高くなった一方、13社は横ばい、残り2社は評価が若干下がった。とりわけ米英の銀行は評価を挙げている。バンクトラックは、NGOながら発信力の強いNGOで、欧米の世界主要行は彼らの動向に気を使っている様子が伺える。

【参照ページ】Most banks failing to deliver on UN human rights principles: new research
【機関サイト】BankTrack

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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