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【スウェーデン】H&Mの考えるサステナビリティとファッション

今回ご紹介するのは、スウェーデンに本拠を置くグローバルファッションブランド、H&Mのサステナビリティ動画。同社は”Fashion and quality at the best price.”をビジネスコンセプトに置いており、ファスト・ファッションのリーディングカンパニーとして知られているが、サステナビリティの分野でもその先進的な取り組みは高く評価されている。

今回は動画の内容に沿って、H&Mがどのような意識でサステナビリティに取り組んでいるのかをご紹介していく。

H&Mの考えるサステナビリティとファッション

「我々は、サステナブルなファッションを世界中のより多くの人に、よりお手頃な価格で提供し、より身近な存在にしていきたい」と語るのは、デザイン責任者のAnn-Sofie Johansson氏だ。

H&Mは自社のサステナビリティ活動について”making fashion sustainable and sustainability fashionable(ファッションをサステナブルにし、サステナビリティをよりファッショナブルにする)”というコンセプトを持っている。同社にとって「ファッション」と「サステナビリティ」は切り離せるものではなく、お互いにどちらにとっても欠かせない要素なのだ。

サプライチェーンにおける取り組み

また、「H&Mはファッション業界においてサステナビリティの最先端を走っている」と語るのはサステナビリティ責任者のHelena Helmersson氏だ。

同社は既に1997年からCode of Conductに基づきサプライチェーンにおける労働慣行や環境のサステナビリティ改善に取り組んできた。同社のCode of ConductはILO(国際労働機関)の定める国際労働基準および国連の定める児童の権利に関する条約に基づいており、2009年にはCodeの改定もしている。

Helmersson 氏によると、現在ではH&M社の中で約100名の社員がCSR分野で働いており、そのうち約70人は監査担当なので、日々サプライヤー工場を訪問し、親密な関係を構築しているとのことだ。

コットンのサステナビリティ向上

また、同氏は「H&Mのビジネスは綿や水などの天然資源に依存しているため、これらのテーマは我々の重点課題だ」と語る。同氏によれば、H&Mは2010年にオーガニックコットンを世界で最も多く利用した企業であり、2011年以降はBetter Cotton Initiative(コットンのサステナビリティ向上に取り組む国際NPO)の活動に積極的に取り組んでいるとのことだ。

Better Cotton Initiativeでは、他のファッションブランドやWWFなどのステークホルダーと協力し、コットンの生産過程において水と農薬の使用量を削減し、利益を増やす方法を農家に教えているという。

H&Mは2020年までに持続可能なコットンの調達を100%にするという目標を掲げており、2013年時点での進捗は15.8%となっており、毎年着実に比率を高めている。

また、同社は2009年からユニセフと共同で綿花の主な生産地であるインドのTamil Nadu州に住む子供たちの生活向上を目指す5年計画に取り組んでおり、子供たちの教育機会の確保や医療・ヘルスケアへのアクセス改善を進めているとのことだ。

まとめ

上記の動画を見ると、H&Mにとってはサステナビリティがブランド価値と強く結びついていることがよく分かる。

ファッション業界のメインストリームは、かつて業界をリードしていた伝統や品質を重視するラグジュアリーブランドから、大量生産・大量消費型のファスト・ファッションへとこの20年で大きく移り変わった。その結果、低コストを追求する多くのブランドが東南アジアや中国などへ生産拠点を移し、サプライチェーンにおける社会・環境面の問題が表面化してきた。

近年ではそうした消費スタイルへの反省から、より倫理的で持続可能なファッションを目指す「エシカル・ファッション」といった新しいジャンルも徐々に浸透しつつあるが、現状では一部の意識が高い消費者にしか受け入れられていないのも実情だ。

こうした業界全体を取り巻く変化の中で、H&Mは高品質なファッションをお手頃な価格で、というファスト・ファッションとしてのコンセプトを貫きつつも、よりサステナブルでエシカルなブランドへと進化を遂げようとしている。

動画の最後に、Johansson氏は「私は、お客様に罪悪感を覚えずにファッションを楽しんでほしい。そして衣料品をサステナブルな形で生産、輸送、そして販売するのが我々の目標だ」と語る。

H&Mが今後どのように従来のファスト・ファッションが抱える問題を乗り越えつつ、既存のエシカル・ブランドではリーチできないようなより多くの人々に対してサステナブルなファッションを提案していくのか、今後が楽しみだ。

なお、同社は上記の動画以外にも自社のYou tubeチャンネルでサステナビリティに関する動画を数多く掲載しているので、興味がある方はぜひ見て頂きたい。H&Mの目指すブランド観がより理解できるはずだ。

【サステナビリティサイト】H&M Sustainability
【You tube】H&M
【企業サイト】H&M
【参考サイト】Better Cotton Initiative

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