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【国際】国際環境法センター、格付機関は気候変動リスクを過小評価していると指摘 2015/07/20 ESG

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 Center for International Environmental Law(国際環境法センター、以下CIEL)は6月24日、格付機関らの企業評価の信頼性に関する報告書、”(Mis)Calculated Risk and Climate Change – Are Rating Agencies Repeating Credit Crisis Mistakes?(気候変動と誤算のリスク-格付機関は金融危機の過ちを繰り返すのか)“を公表した。

 同報告書は、気候変動は世界の金融システムを崩壊させる可能性があるとした上で、格付機関による気候変動リスクの過小評価は世界的な金融危機 の再来につながると警告している。

 CIELによると、格付機関らは気候変動リスクを評価に織り込まずに化石燃料産業は継続するという前提で格付を行っており、4℃以上の地球温暖化を招くと想定しているという。しかし、現状既に世界約200ヶ国が地球温暖化を2℃以内に抑制することに合意しており、中には1.5℃以下へ抑制を要求している国々もあるのが現状だ。CIELは、このギャップを考えると格付機関らは化石燃料関連企業に対して過剰な信用格付をしているのではないかと指摘している。

 また、CIELは地球温暖化を招く可能性のある企業の格付や財務価値は格付機関らによって人為的に高騰させられている可能性があり、投資家に甚大なリスクを負わせることになるのではないかと懸念している。また、もし格付機関が投資家や個人、金融規制当局を欺いたとすれば、潜在的に甚大な法務リスクを背負うことになると警告している。

 CIELで気候とエネルギープログラム部門のディレクターを務めるNiranjali Amerasinghe氏は「化石燃料分野はもはや斜陽産業だ。過剰評価に基づく格付は投資家や市場のみならず世界経済をも脅威にさらすだけではなく、気候変動の要因となる活動に過剰投資を促すことで地球環境や人々の生活を脅かす」と語る。

 同報告書ではオーストラリアの石炭積出港、アボットポイントのケースを取り上げ、格付機関のムーディーズが気候変動リスクを十分織り込まず、潜在的に過剰な格付を行っているとしている。CIELの上席弁護士Muriel Moody Korol氏によると「ムーディーズはアボットポイントを他のごく普通の債権と同様に格付しているが、サブプライムが金融危機の中で無価値に陥ったのと同様、近年の激しい気候変動により、化石燃料分野の事業価値は急激に下落する可能性がある」と述べた。

 気候変動は直接的に自然災害をもたらすのみならず、金融システムを含め間接的に広範囲に影響を及ぼし得る。一方で、同報告書が指摘する通り、気温の上昇が世界的な信用不安を招くほどのリスクになりうるのか、この分野の研究が多角的に進められることが望まれる。また、投資家やその関係者は事業評価の前提や投資環境の変化を見誤らないためにも、環境分野の動向を冷静かつ継続的に見守る必要がある。

【レポートダウンロード】(Mis)Calculated Risk and Climate Change – Are Rating Agencies Repeating Credit Crisis Mistakes?
【参照リリース】Credit Rating Agencies Miscalculating Climate Risks – Report Warns that Business as Usual Could Repeat Global Credit Crisis
【団体サイト】Center for International Environmental Law

株式会社QUICK ESG研究所

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