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【スリランカ】政府、国営電力会社の石炭火力発電所新設を2037年まで原則禁止。環境・社会コストを重視


 
 スリランカの電力関連当局であるスリランカ公益事業委員会(PUCSL)は7月20日、スリランカ国営電力会社のセイロン電力庁(CEB)が提出した2018年から2037年までの長期電源開発計画となる「最少費用長期電源開発計画(LCLTGEP)」を一部修正し、国の電力計画として最終承認した。国内の発電シェア90%以上を誇るセイロン電力庁は、同計画のもとで石炭火力発電所建設を2037年まで原則停止することが決まった。

 セイロン電力庁は当初、国内電力需要を満たす最も費用を抑えられる電源開発計画として、石炭火力発電所6ヶ所の新設を盛り込んでいたが、PUCSLがこの計画を却下した経緯がある。PUCSLは、セイロン電力庁の石炭火力発電所のコスト算出について、2015年と2016年の燃料価格平均をベースとした価格推定が長期計画としては不適切であり、さらに社会や環境へのインパクトという外部コスト(Externality)が考慮されていない点を指摘し、今回修正を行った。

 PUCSLは、石炭火力発電所建設を前提とした電源コストは、外部コストを考慮しないと119億米ドルだが、外部コストを含めると150億米ドルに増加すると試算した。一方、石炭火力発電所建設を伴わなければコストを124億米ドルに抑えられるとした。また、燃料価格を、海外の長期燃料契約価格に基づき計算し直した場合でも、石炭火力発電所建設を行う場合の電源コストは、外部コストを考慮すると109億米ドルから140億米ドルに増加し、一方石炭火力発電所建設を伴わなければ107億米ドルに収まるとした。PUCSLは、スリランカ国内での石炭火力発電所の外部コスト算出に実データがないことを欠点と認めながらも、海外での研究をもとに比較を行った。

 今回の計画が承認されたことで、セイロン電力庁は2037年までに、天然ガス火力4,800MW、バイオマス太陽光1,389MW、風力1,205MW、石油火力330MW、大型水力242MW、小型水力215MW、ガスタービン105MW、バイオマス85MWの電源開発を進めていく。一方、600MW以上の超臨界石炭火力発電については2025年以降は状況を見据えオプションとして再検討する姿勢を見せながらも、超臨界石炭火力発電を建設する場合は、揚水発電建設も同時に行わなければいけないと定めた。

 現在スリランカでは、石炭火力発電所1ヶ所が稼働中で、国の需要の40%を賄っている。同発電所は6年前に竣工しており、今後20年間稼働予定。新興国での電源開発では、安価な石炭火力発電所が不可欠との声もあがっているが、スリランカ政府は外部コストを重視し、石炭火力発電を却下する決断を下した。

【参照ページ】PUCSL APPROVES CEB’S ALTERNATE PLAN AS 20 YEAR ELECTRICITY GENERATION PLAN
【計画】DECISION ON LEAST COST LONG TERM GENERATION EXPANSION PLAN 2018-2037

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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