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用語集

ワシントン条約(CITES)

 ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)とは、1973年3月に米ワシントンで採択された、過度な野生動植物の国際取引規制により、採取・捕獲の抑制と絶滅の恐れのある野生動植物の保護を目的とする条約です。2017年3月時点で、183カ国が締約国となっています。日本は1980年に批准し、国内法として「輸出貿易管理令」と「輸入貿易管理令」を整備しています。

背景

 本条約が採択された背景には、1972年にストックホルムで開催された国連人間環境会議で、野生動植物の輸出入などに関する条約の必要性が勧告されたことがあります。人間は、食事や製品を作るために多くの動植物を利用しています。例えば、動物の羽や牙、毛、骨。しかし、利益追求のため過度の捕獲が行なわれ、絶滅の危機に瀕している野生動植物が少なくありません。

 この1972年の勧告を受けて、1973年にワシントンで「野生動植物の特定の種の国際取引に関する条約採択のための全権会議」が開催され、81カ国が参加、同条約が制定されました。1975年7月1日に発効。同条約第11条により、2年に一度、締約国会議が開催されることになっています。

条約の構成

 ワシントン条約は、規制対象の野生動植物について三段階に分けて管理しています。対象種はそれぞれ、附属書I、Ⅱ、Ⅲの中に掲載されています。新たに規制対象種が増加する場合は、それぞれの附属書の中に追記されていきます。

  • 附属書I:すでに絶滅のおそれのある種。商業目的の取引を禁止。学術研究目的の取引は可能。オラウータン、ゴリラ、ジャイアントパンダ、ウミガメなど
  • 附属書Ⅱ:絶滅の恐れは必ずしもないが、規制しなければ絶滅のおそれのある種。商業目的の取引は可能だが、輸出国政府の輸入許可証が必要。クマ、タカ、オウム、ライオン、サンゴなど
  • 附属書Ⅲ:締約国が自国内での保護のために他の締約国・地域に協力を要請する種。商業目的の取引は可能だが、輸出国政府の輸入許可証もしくは原産地証明書が必要。セイウチ(カナダ)、ワニガメ(米国)、タイリクイタチ(インド)、サンゴ(中国)など

最近の動向

 最近話題となっているのは象牙取引です。1989年にはワシントン条約に登録されており、輸出入が禁止されました。しかし、例外として認められている同条約登録前に採取された象牙の商業取引に、密猟による象牙が流通しる実態が報告されています。2016年10月のワシントン条約締約国会議では、締約国に対し国内市場を閉鎖を求める勧告決議案が採択されました。この勧告決議には法的拘束力はありませんが、2016年12月29日に中国政府の国務院は、中国国内における象牙の商業取引を禁止する命令を発表。2017年目末までに一切の国内取引が禁止されることになりました。一方、印鑑などでも需要のある日本においては、政府は禁止の必要性に対して否定説の立場をとっています。

 また、2016年9月27日にルクセンブルク証券取引所が創設した「ルクセンブルク・グリーン取引所(LGX)」では、グリーンボンドなど環境関連の金融商品が上場できますが、ワシントン条約に抵触する取引に係る証券は上場できないこととなっています。

本条約に関する日本の懸念

 現在、ニホンウナギを同条約の規制対象とするか検討されています。2016年9月に南アフリカのヨハネスブルクで開かれたワシントン条約締約国会議において、EUが提案した世界各地に生息するウナギの国際取引について実態調査を行う決議案が採択されました。日本政府はウナギ資源の持続的利用に鑑み、EUの提案に賛同。調査結果によっては、3年後に開催される次回の会議でニホンウナギが規制対象となる可能性があります。もし規制となった場合は日本の食卓への影響が予想されます。一方で、既に規制対象となっているEUのウナギの個体数が回復していないことから、ワシントン条約による輸出入制限の適否に関する議論もあります。

参考サイト

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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