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【EU】持続可能な金融についてのハイレベル専門家グループ(HLEG)、中間報告書発表。改革案示す

 欧州委員会が昨年10月設置した「持続可能な金融についてのハイレベル専門家グループ(HLEG)」は7月13日、EUのサステナブルファイナンスの促進に向けた中間報告書「Sustainable Finance Interim Report」を発表した。報告書には、EUのサステナブルファイナンスの現状分析と欧州委員会に対する提言案が記載されている。HLEGは、中間報告書に対するフィードバックを幅広い関係者から集め、今年9月から再度検討を開始。今年12月には最終報告書を発表する予定。

【参考】【EU】 欧州委「持続可能な金融についてのハイレベル専門家グループ」委員を決定(2017年1月9日)
【参考】【EU】欧州委、持続可能な金融分野で諮問機関グループ設置を発表。NGOにも参加を要請(2016年11月17日)

 EUにとってサステナブルファイナンスは、EU域内での単一資本市場を構築する資本市場同盟(CMU)構想の中で優先順位高く推進されている政策分野。資本市場同盟構想の中では、欧州債務危機等のマクロ金融システムの安定化に大きな主眼が置かれてきたが、こちらではすでに一定の成果が挙げられたとして、次なる目標としてサステナブルファイナンスに関する政策議論が活発に展開されている。

 EUが定義する「サステナブルファイナンス」とは、投資ポートフォリオの選定においてESG要素を考慮するESGインテグレーション型投資だけでなく、持続可能な発展に資する分野への資金提供、さらには安定的かつ教育、経済、社会、環境テーマに長期的に対応できる金融システムの構築までを視野に入れる広範囲の概念。EUは、社会・環境分野での長期的目標を複数掲げているが、目標を実現するために民間資金を導入することにも大きな関心がある。中間報告書では、不可欠な金融改革要素として2つを掲げた。一つは、ESG関連を含む長期的な重大リスクを適切に評価・マネジメントすることを通じた金融安定化と資産価値評価の実現というリスク管理の側面。もう一つは、持続可能な成長やインクルシーブな成長に対する金融セクターの貢献という機会追求の側面。これらを実現するの提言案を8つにまとめた。

  1. サステナブル・アセットの分類:EUやOECDの既存の分類を基にサステナブル資産を明確に定義する分類手法を確立する
  2. グリーンボンドや他のアセットのEU認証:国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)等を基にしたEUグリーンボンド基準と、他のサステナブル・アセットやサステナブル・ファンドのEU基準を制定する
  3. フィデューシャリー・デューティ:短期的リターンの追求という誤ったフィデューシャリー・デューティの理解を是正するため、EUの金融ルールであるAIMFD、MiFID II、PRIIPs、UCITS、EuVECA、EuSEF、CRD V等重大なESG要素と長期的サステナビリティを明確に盛り込む
  4. サステナビリティ情報開示:EUの非財務情報開示(NFD)指令の中に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークを導入する
  5. 金融規制のサステナビリティテスト:EUが進める規制システム改革「ベター・レギューレーション・ガイドライン」でESG要素を明確に組み込む
  6. インフラプロジェクト改革:EU加盟国地方政府にサステナブル・インフラプロジェクトを助言し、投融資金融機関とマッチングするための機関「 「Sustainable Infrastructure Europe」を創設する
  7. 欧州監督機構(ESAs)の強化:ESAsの金融機関監督項目の中にサステナビリティ情報開示を導入し、競争上の公平性(レベル・プレイング・フィールド」を創出する
  8. エネルギー効率に関する公会計基準の変更:EU統計局「ユーロスタット」が定める省エネルギー契約(Energy performance contracts)による公的機関投資の会計基準を変更し、公的機関の財務諸表上の負担が軽減できるようにする

 HLEGは今後、これら8つの提言案の他にも、銀行、保険、格付機関、投資インデックス、証券取引所、財務報告頻度、企業会計基準、情報開示など様々な分野での提言を検討していく。

【参照ページ】High-Level Expert Group on Sustainable Finance delivers early recommendations
【報告書】Sustainable Finance Interim Report

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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