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【北米コラム】プラスチック・バッグ使用禁止の法令化 2015/05/20 ESGコラム

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 スーパーマーケットなどでの「使い捨てプラスチック・バッグ」(通称レジ袋)は、1960年代にスウェーデンのセロプラスト社が発明した便利な品物だが、米国では、1年で1,000億個以上もの使い捨てプラスチック・バッグが使われているという。近年は、河川や海などの生態系への悪影響が注目され、昔ながらの布製買い物袋を推奨する動きが各国で盛んになっている。水中に生息する動物の中でも、特に海亀はくらげと勘違いしてレジ袋を呑み込んでしまうため、およそ半数がプラスチックを体内に抱えている。プラスチックが胃に溜まりすぎると食べ物を消化できなくなり、腸閉塞をおこし、餓死するという。[12]

 全米ではカリフォルニアが州としては初めて、使い捨てプラスチック・バッグの使用禁止を法令化し、今年の7月から施行されることとなった。紙袋や何回も使えるプラスチック・バッグを大手スーパーなどで利用する場合でも10セントの最低料金を定めている。ニュージャージー州、プエルトリコも法案を審議しており、ハワイでは州として禁止をしていないものの、全ての郡で禁止しているので実質的には州全体で使い捨てプラスチック・バッグの使用禁止が実行されている。115の郡や市町村で使い捨てプラスチック・バッグの使用禁止が法令化されているほか、州や自治体レベルでプラスチック・バッグの再利用や回収を促進する法令や規制を設けているところも出てきている。

 これだけ読むと、「アメリカという国はなんと環境に優しい、先進的な国だろう」という結論になりそうだが、今年に入り、使い捨てプラスチック・バッグの使用禁止を禁止する動きが相次いでおり、不可解な展開となっている。アリゾナ州議会は、今年4月に州内の市町村による使い捨てプラスチック・バッグの使用禁止を違法と決議した。その理由としては、使い捨てプラスチック・バッグの使用禁止を強制すると小企業には多大な経費負担となり、小企業の競争力を弱めることになることがあげられる。ただし、自治体による自主的なリサイクル及び廃棄物削減を妨げるものではないとしている。小企業の競争力を弱めるという公式理由の一方で、アリゾナ州には全国チェーンのスーパーマーケットをいくつも会員に持つ小売業協会や食品マーケティング協会があり、これらが強く違法決議を後押ししていることも事実である。

 また、7月から施行されるはずだったカリフォルニア州の使い捨てプラスチック・バッグの使用禁止も、アメリカン・プログレッシブ・バッグ・アライアンス(American Progressive Bag Alliance)の勧めた州民投票により施行が延期され、2016年の選挙で法令撤回の投票が行われることとなった。プラスチック・バッグ・メーカーを会員とする米国前進バッグ連盟の主張は、プラスチック・バッグの使用禁止令は環境という大義名分の下で買い物袋を売りつけることによって何十億ドルという売上げを見込んだカリフォルニア食料品店協会の陰謀だとしている。

 米国を中心に、有機栽培の食糧を売る高級スーパーマーケットのホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)は、自主的に使い捨てプラスチック・バッグの使用を廃止し、紙袋を使っている。紙袋の再利用をする顧客には一個当たり5セントの割引をしている。(Doing The Green Thing) 商品が高いことで定評のあるホールフーズ・マーケットなので、割引をしたところで、高い買い物には変わりはないが、企業理念を貫徹している点は、評価に値すると思う。

 40年前までは、買い物籠や布製の袋または、重い買い物をゴロゴロと引いて帰る荷車など良く街中で見かけたが、利便性を追求した高度成長期の産物ともいえる使い捨てプラスチック・バッグをめぐる産業が誕生し、市場が拡大してきたという発展を評価する面と、期せずして環境に悪影響をもたらしてきたという面のバランスのはかり方は難しい。そして、一度確立した産業を撤廃するとなると、人々の生計や企業の利益に関わることなので、抵抗勢力との交渉がまた、難しい。

 日本のスーパーでも「プラスチック・バッグ不要」を奨励してポイントを付与したり、必要な場合には有料とする動きもあり、エコバッグはかなり普及してきた印象はある。しかしコンビニでの買い物で、エコバッグを取り出している人はあまり見かけない。消費者の意識もまだ、エコバッグを常に持ち歩く事が「当然」とはなっていないが、できるところから取り組んで行くことが一つの方法なのだろう。

【関連サイト】 American Progressive Bag Alliance
【企業サイト】 Whole Foods Market, Inc

執筆:QUICK ESG 研究所 Mari Kawawa

編集:QUICK ESG 研究所 松川 恵美

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