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【北米コラム】ミツバチの危機 2015/05/29 ESGコラム

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 ミツバチはアーモンドやブルーベリー、イチゴ、ブロッコリなどの授粉に欠かせない重要な昆虫であり、これらの開花時には出張受粉サービスをするミツバチ業者が大活躍する。ところが近年ミツバチの激減する蜂群崩壊症候群が欧米で問題となっている。

 米国農業省によれば、今年4月末までの一年間にミツバチの群れが42.1%も減っている。昨年の34.2%減少に続く史上最大の減少率である。ミツバチの群れが激減するこの現象は今に始まったことではなく、100年以上前から定期的に観察されている。その理由としては色々な説があり、確定されていないが、2007年から観察されている今回の蜂群崩壊症候群では、ネオニコチノイドという農業用・園芸用殺虫剤が原因ではないかと環境保護者や商業用ミツバチ業者は言う。人工ニコチンの一種であるネオニコチノイドは、園芸用殺虫剤として簡単に手に入り、庭のバラなどの根から吸収され、植物全体に吸収されるため、蜜や花粉にも含まれる。これをミツバチが集めているわけである。環境保護者はこぞってネオニコチノイドを製造・販売しているバイエル(Bayer)社を非難している。米国環境保護局は5月28日、農作物の開花・授粉期間中の殺虫剤使用禁止を提唱し、ミツバチの減少を食い止める趣旨を発表した。(Proposal to Protect Bees from Acutely Toxic Pesticides)
 一方、カリフォルニア州立大学サンディエゴ校の生物学者チームは、単細胞真菌病原体の一種であるノゼマ微胞子虫が蜂群崩壊症候群の原因ではないかと発表している。「ミツバチ全滅の4年後には人類も全滅する」とアインシュタインが断言したというのは、噂でしかないようだが、そもそも、ミツバチの貢献はどの程度なのか?米国農業省によれば、ミツバチの受粉活動は花をつける作物の8割をカバーしており、これは人間の食べる食物の3割に相当するという。コーネル大学の研究によれば、ミツバチの受粉活動は米国で年間140億ドル相当の種子や農作物を支えているという。ミツバチがいなくても授粉は可能な作物もあるが、柑橘類やアーモンドはほぼ100%ミツバチに依存している。[1]今日スーパーに行けば450種類もの野菜や果物が陳列されいるが、ミツバチのいなくなった世界を想定すると、200種類程度に減るという模擬実験を高給スーパーのホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)社と非営利団体のゼルシーズ・ソサエティ(Xerces Society)が共同で行った。[2]
 EC欧州委員会は2013年に昆虫の神経を麻痺させる薬品3種の2年間の使用禁止を導入した。スイスに本社のあるシンジェンタ(Syngenta)社は、農薬製造大手であり、ミツバチの保護キャンペーンを展開している。その一方で、EC欧州委員会によるネオニコチノイド使用禁止を違法として訴えている。ドイツに本社のあるバイエル(Bayer)社やBASF社も同様の訴訟を起こしている。昆虫学者、生物学者、環境学者らが、賛否両論と研究を行っているが、蜂群崩壊症候群の原因の真相はまだ誰も確定できていない。

執筆:QUICK ESG研究所 MARI Kawawa 

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