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【アジア】アジア太平洋地域のサステナビリティを高める金融システムとは?UNEP調査 2015/06/03 ESG

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 国連環境プログラム(UNEP)は5月13日、アジア太平洋地域における持続可能な金融システムについてまとめた報告書”Aligning the Financial Systems in the Asia Pacific Region to Sustainable Development“を公表した。同報告書は、アジア太平洋地域が持続可能な成長と繁栄を実現するためには資金の流れを効率的かつクリーンでインクルーシブな経済活動へと転換し、汚染や資源集約的な活動から脱却することが重要だと指摘している。

 世界人口の半数以上の人々が居住していながら、世界の半分より遥かに少ない天然資源しか保有していないアジア太平洋地域にとって、インクルーシブで持続可能な経済発展ができるかどうかは環境の状態にかかっている。しかしながら、同地域では再生不可能な資源や森林、農地や漁場といった自然資本は年々減少しており、ほとんどの国において過去5年間で自然資本の量は3分の1から2分の1になってしまっているとUNEPは警告を鳴らしている。

 また、同報告書ではアジア・太平洋地域が基本的なサービスとインフラにおけるギャップを埋めながら、環境保護、エネルギー効率の向上、気候変動に取り組んでいくためには年間2.5兆米ドルの投資が必要だとしている。

 一方で、アジアでは持続可能な開発のための民間資本の資金の流れを促す規制や基準が徐々に生まれつつあり、融資・株式市場の双方にユニークな機会が生まれつつある点も指摘されている。環境に関する情報開示義務づける動き資本市場や、融資の際にグリーン信用ガイドラインを設ける銀行なども増えてきており、サステナビリティ格付や気候変動リスクを投資判断に適用する動きも増えている。また、モバイルファイナンスなどマイクロフファイナンスの普及も金融へのアクセスギャップ解消に貢献している。同地域でこうした構造的なアプローチにおいてリーダーシップを発揮しているのは中国やインドネシア、日本などだ。

 しかし、16億人の人々が依然として貧困状態にあり、8億人の人々が電気へアクセスできない状況にあるアジア・太平洋地域では、若年層の雇用創出とインフラ整備が急務となっており、持続可能な開発に向けた投融資はいまだ十分とは言えない状況だ。同報告書では、地域ごとの多様性に考慮しつつ、金融システムデザインに関する今後のイノベーション、改善余地として下記の点を挙げている。

  • 持続可能な銀行、グリーン信用リスク管理、報告
  • 事業上の目標と政策目標を融合させた政策主導の融資・投資
  • グリーンボンドの発行および環境に配慮したインフラ開発・企業の発展
  • 社会・環境指数・ベンチマーク、トラッカーファンドによる持続可能な証券取引所の実現
  • 環境デュー・ディリジェンスと危機管理を促進する金融機関・投資家の責務
  • 生産性の高いインフラおよび企業への長期投資を促す金融政策
  • 金融機関における環境ストレステストとマクロレベルの健全性の確保
  • 国境を越えた投資に対するサステナビリティ監視の強化

 アジア太平洋地域は国によって経済、社会、環境の状況は大きく異なるものの、ほとんどの国が気候変動や大気汚染、森林破壊、貧困、人権問題といったサステナビリティ課題に直面しており、それらの課題の解決として、金融システムを通じた構造的なアプローチが期待されている。その意味では、持続可能な金融の分野でもアジア太平洋地域は大きな可能性を秘めていると言える。

【レポートダウンロード】Aligning the Financial Systems in the Asia Pacific Region to Sustainable Development
【参照リリース】Redirecting Financial Flows Worth $2.5 Trillion Annually towards Green Investment Crucial to Sustainable Growth in Asia Pacific
【団体サイト】UNEP

株式会社QUICK ESG研究所

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