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【イギリス】アセットマネージャーは受託者責任を果たしているか?議決権行使の実態に疑問 2015/06/24 ESG

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 世界で最も名の知れたアセットマネージャーの多くが、企業の年次株主総会において経営陣側につく場合が多すぎる。年金業界における責任投資を推進するNGOのShareActionが、英国の大手アセットマネージャー33社が企業の年次株主総会で行った投票の記録を調査し、そう指摘した。

 ShareActionが公表した報告書”Asset Manager Voting Practices: In Whose Interests?“は、合計13.8兆ユーロにのぼる世界の年金管理者や慈善団体、大学や個人などの資産を運用するアセットマネージャーによる投票記録や投票の透明性について比較したものだ。調査対象となったアセットマネージャーは全て2010年に策定された英国スチュワードシップ・コードに署名しており、33社中31社はPRI(国連責任投資原則)にも署名している。

 ShareActionは、2014年の主要な企業の年次株主総会において30%以上の株主が反対する議案に対し、誰がどのように投票したのかを特定した。ほとんどの場合において、こうした議題は経営陣の給与や役員の再選に関するものだったという。また、ShareActionは環境や社会に関する4つの決議についても調査を行っている。

 ShareActionのCEOを務めるCatherine Howarth氏は「名の知れたアセットマネージャーを通して企業に投資する人々の多くは、アセットマネージャーが株主総会で思慮深く議決権を行使することを期待している。しかし、我々が行った調査によると、こうしたアセットマネージャーの中には世界の最大手企業に対して十分な受託者責任を果たしていないところがあるということが示された。今回のレポートを参考に、単に経営陣に賛成していると思われるアセットマネージャーに対しては特に、投資家が厳しい質問をぶつけていってくれることを期待している。投資家は基本的には企業の経営陣をサポートすべきである。しかし、企業のステークホルダーの長期的な利益を守るためにも、経営陣による議案に反対票を投じることを厭わないことが重要だ」と語った。

 また、今回の報告の作成者であるJo Mountford氏は、「アセットマネージャーによる投票の意思決定は、企業活動に大きな影響を与える。そのために、投資家はこうした意思決定がどのようにして行われるのかを理解することが重要だ。投票の透明性や合理性は、アセットマネージャーが自らの意思決定を説明し、より慎重な意思決定を行うために必要なのだ」と語った。

 世界に先駆けてスチュワードシップ・コードが導入された英国においても、その浸透に向けて課題が多く残っていることが明らかとなった今回の調査。日本でも昨年、日本版スチュワードシップ・コードが公表され、多くのアセットマネージャーが受入を表明している。単なる意思表明ではなく実態が伴った運用に、期待がかかる。

【レポートダウンロード】Asset Manager Voting Practices: In Whose Interests?
【参照リリース】ShareAction says asset managers side with company management too often on controversial votes
【団体サイト】ShareAction

株式会社QUICK ESG研究所

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