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【国際】マーサー、気候変動による投資リスクを浮き彫りに 2015/07/25 ESG

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 グローバルコンサルティングファームのマーサーは6月4日、気候変動が投資市場にもたらすリスクと影響を分析した報告書、”Investing in a Time of Climate Change“を公表した。マーサーは同報告書の中で、投資家は最も効果的にリスク管理を行うためには自身のポートフォリオに潜む気候変動リスクに目を向け、気候変動要因をリスク管理モデルに織り込む必要があると指摘している。

 今回の報告書はマーサーが2014年9月から開始した研究成果の集大成で、今年の年末にパリで開催予定のCOP21に先立ち公表された。同社は産業革命期前と比較して世界の気温が2℃、3℃、4℃(異なる物理的影響を想定した2パターン)上昇した場合という合計4パターンの気候変動シナリオおよび4つの気候変動リスク要因に基づき、2015年~2050年までの期間において気候変動がポートフォリオの収益、各アセットクラス、各業界に及ぼしうる影響について推定している。

 報告書の作成にあたっては合計1.5兆米ドルの運用資産を有する16の投資会社がマーサーと協働し、IFC(国際金融公社)およびドイツの経済援助省、英国の国際開発省が支援を行った。同報告書が指摘している主な調査結果は下記の通りだ。

  • 気候変動により投資家は勝者と敗者に分かれる。投資家は気候変動リスクを理解し、ポートフォリオ、業界、アセットレベルのそれぞれにおいてリスク低減および資産価値最大化を図る必要がある。
  • 業界別に見ると勝敗は最も浮き彫りになり、例えば、石炭業界の平均年間収益は今後35年で18%~74%減少見込みであるのに対し、再生可能エネルギー業界は同時期において最大54%増加する見込みとなっている。
  • 各アセットクラスへの影響は気候変動シナリオにより様々に変わる。成長株は大型株より気候変動リスクに影響されやすい。例えば気温上昇が2℃シナリオの場合、新興国の株式、インフラ、不動産、農業などは利益が期待できるが、4℃シナリオとなると逆に負の影響が見込まれる。

 今回の調査結果を受けて、マーサーにて責任投資部門の責任者を務めるJane Ambachtsheer氏は「苦戦しながらも、我々は気候変動による投資への影響の定量化に努めた。我々は、市場はいつも変化に敏感なわけではないことを認識している。既知の通り、市場は構造的な変化や長期のダウンサイドリスクを予期するのが苦手なのだ。我々の報告書は気候変動が投資リターンにもたらす影響という観点から『何が起きているのか』『それが何を意味するのか』、『今何をすべきか』を特定している。これらの洞察により投資家は不確実な未来のもとでポートフォリオのレジリエンスを高めることができる」と語った。

 気候変動のリスクが顕在化しつつある昨今では、投資家にはそれらのリスクを自身のポートフォリオに組み込んだ上での投資意思決定が求められている。サステナビリティの観点だけではなく投資リターンという観点からも、気候変動に関する深い理解は欠かせなくなっている。レポートは下記からダウンロード可能。

【レポートダウンロード】Investing in a Time of Climate Change
【参照リリース】Climate change: new investment risk demands action by investors, cautions new research 
【団体サイト】Mercer

株式会社QUICK ESG研究所

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