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【政府・レギュレーションの動向】水循環基本法 第1回 2015/08/10 ESGコラム

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 2014年3月27日に成立し、2014年7月1日に施行された「水循環基本法」(以下、「法」という。)に基づき、内閣総理大臣を本部長として設置された水循環政策本部(水循環政策担当相:太田昭宏国土交通相 事務局:内閣官房水循環政策本部事務局)が、法第13条に規定された「水循環基本計画」の骨子を2014年10月14日公表した。
 その後検討を進めた結果、2015年7月10日水循環政策本部会合(第2回)で「水循環基本計画」(案)が提出され、その後、直ちに閣議決定された。流域ごとに地方自治体、国および有識者等が参加する「流域水循環協議会」を設置することが織り込まれた。水循環基本法成立から水循環基本計画が決定されるまでの経緯を3回にわたり辿っていきたい。
水循環基本法の成立
 現状、水に関する所管官庁としては、上水道は厚生労働省下水道・河川・水資源は国土交通省農業用水は農林水産省水質汚濁に係る環境基準は環境省等と分かれている。また、上水道事業は、従来、地方公共団体が飲料水を供給していたが、2002年の改正水道法の施行により、民間への業務委託が可能となった。下水道事業については原則、地方公共団体が行っている。

 水循環基本法が成立し、水循環基本計画の骨子が公表されたことは、水循環に関する施策を集中的かつ総合的に推進することが期待される。さらに、昨年9月ニューヨークで国連気候変動サミットが開催され、10月にはIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書の統合報告書が承認される総会がデンマークで開催されており、気候変動対策において国際的協調を進めることがますます重要となっている状況から今後の動向を注視していきたい。

「水循環基本法」の構成は次の通りである。
1.「水循環基本法」の施行
(1)目的(第1条)
  水循環に関する施策を総合的かつ一体的に推進し、もって健全な水循環を維持し、又は回復させ、我が国の経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上に寄与すること
(2)定義(第2条)
【水循環】水が、蒸発、降下、流下又は浸透により、海域等に至る過程で、地表水、地下水として河川の流域を中心に循環すること。
【健全な水循環】人の活動と環境保全に果たす水の機能が適切に保たれた状態での水循環
(3)基本理念(第3条)
① 水は、水循環の過程において、地球上の生命を育み、国民生活及び産業活動に重要な役割
② 水が国民共有の貴重な財産であり、公共性の高いもの
③ 健全な水循環の維持又は回復のための取り組みの推進
④ 流域として総合的かつ一体的な管理
⑤ 水循環に関する国際的協調
(4)水循環基本計画(第13条)
政府は、水循環に関する施策の総合的かつ計画的に推進を図るため、水循環基本計画を定める。
(5)基本的施策(第14条~第21条)
  ① 貯留・涵養機能の維持及び向上
  ② 水の適正かつ有効な利用の促進等
  ③ 流域連携の推進等
  ④ 健全な水循環に関する教育の推進等
  ⑤ 民間団体等の自発的な活動を促進するための措置
  ⑥ 水循環施策の策定に必要な調査の実施
  ⑦ 科学技術の振興
  ⑧ 国際的な連携の確保及び国際協力の推進
(6)水循環政策本部(第22条~第31条)
① 水循環に関する施策を集中的かつ総合的に推進するため、内閣に水循環政策本部を置き、当該本部の長には、内閣総理大臣を充てる。
② 組織としては、本部長:内閣総理大臣、副本部長:内閣官房長官及び水循環政策担当相(国土交通相)、本部員:全ての国務大臣
(7)その他
① 年次報告(第12条) 国会報告
② 水の日(第10条)  8月1日を「水の日」とする。
注) 水循環基本法により、毎年8月1日は、国民の間に広く健全な水循環の重要性についての理解や関心を深める日として「水の日」と定められた。同法により国および地方公共団体は、水の日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努めなければならないとされている。
第2回では、水循環をめぐる課題について整理する。
出所:水循環基本法より、QUICK ESG研究所編集

【関連資料】水循環基本法

執筆:QUICK ESG研究所 菅原 晴樹

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