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【閑話休題】人生90年時代の到来! 2015/08/12 ESGコラム

【閑話休題】人生90年時代の到来!

 厚生労働省は2015年7月30日、「平成26年簡易生命表の概況」を発表した。これは、日本にいる日本人について、2014年1年間の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるかという期待値などを、死亡率や平均余命などの指標(生命関数)によって表したものである。

 これによると、平成26年の平均寿命は、男:80.50年(昨年比+0.29年) 女:86.83年(同+0.22年)65歳の平均余命は、男:19.29年(昨年比+0.21年) 女:24.18年(同+0.21年)となった。平均寿命の年次推移では、70年を超えたのが、男は昭和50年、女は昭和35年、80年を超えたのが、男は平成25年、女は昭和60年である。

 生命表上で、出生者のうち半数が生存すると期待される年数を寿命中位数というが、平成26年で男:83.49年 女:89.63となっており、平均寿命に比べ、男は2.99年 女は2.80年上回っている。また、90歳まで生存する割合は、男24.2% 女48.3%であり、男は4人に1人、女は2人に1人が90歳まで生存することになる。

 ・死因別死亡では、男女ともに悪性新生物が高く、次いで心疾患、肺炎、脳血管疾患となっている。これらの死因を除去した場合の平均余命の伸びは、65歳では男5.88年 女4.83年である。

 ・平均寿命の国際比較は、国により作成基礎期間や作成方法が異なるため、厳密な比較は困難であるが、男は、香港、アイスランドに次いで前年の4位から3位に上昇、女は、3年連続世界1位を保ち、引き続き世界有数の長寿国であることが示された。

 以上から窺えることは、年金が受給開始される65歳まで生存された方は、90歳まで生存する割合が高く、年金制度に加入する約40年間に保険料を拠出し、約25年間年金を受給される方が増加し、今後も拠出期間に比べて受給期間が長くなるという年金財政上の問題が顕在化することである。また、将来的に公的年金の給付水準が「マクロ経済スライド」の実施に伴い、逓減することが確実な状況の中、長寿化に向けて、個人貯蓄の備えを十分する必要性は一層高まることであろう。さらに、平均寿命と健康寿命の問題がある。平成26年度厚生労働白書に記載されている「健康日本21」(第二次)では「健康寿命の延伸」が重要課題とされている。平均寿命と健康寿命の差、言い換えると、日常生活に制限のある「不健康な期間」は、2010年、男9.13年 女12.68である。

 この期間は、一人で生活するうえで様々な制約が生じるとともに、医療費および介護費など相対的に負担が多くなる。平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば、個人の生活の質の低下を防ぐことができるとともに、社会保障費の軽減ひいては国民の負担(社会保険料および消費税等の税金)を抑えることも期待できるのである。「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」は、持続可能な社会保障制度に資するものであり、生活習慣の改善、介護予防の取り組みなどが喫緊の課題である。

 以上のように、毎年、公表される「生命表」は、年金、医療、介護等についてさまざまな問題を示唆している。

(注)日本の生命表として、厚生労働省では、「完全生命表」と「簡易生命表」の2種類を作成・公表しており、「簡易生命表」は、人口推計などによる日本人人口や人口動態統計月報年計(概数)による死亡数、出生数を基に毎年作成している。また、「完全生命表」は、国勢調査による日本人人口(確定数)や人口動態統計(確定数)による死亡数、出生数を基に5年ごとに作成している。

 

【関連資料】平成26年簡易生命表の概況

 

 

執筆:QUICK ESG研究所 菅原 晴樹

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