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【機関投資家】3共済の平成26年度運用状況 その1~国家公務員共済組合連合会 2015/08/19 ESGコラム

【機関投資家】3共済の平成26年度運用状況 その1~国家公務員共済組合連合会

 国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会および日本私立学校振興・共済事業団の3共済は、2015年7月までに平成26年度運用状況について公表した。以下、3回に分けて、各共済年金制度の運用状況について概説する。

1.国家公務員共済組合連合会

 国家公務員共済組合連合会(以下「KKR」という。)は、国家公務員共済組合法に基づき設立された法人で、現在は、国家公務員等で組織される20の共済組合をもって組織されている。KKRでは、国家公務員共済年金にかかる長期給付事業、医療事業および宿泊事業などの福祉事業を行っている。主務大臣は財務大臣である。

 

2.国家公務員共済年金について

 国家公務員共済年金は、国家公務員等を対象とする公的年金の一つである。長期組合員数は、1,061千人であり、年金受給権者数は、1,262千人となっている。長期組合員数は減少傾向にある中、年金受給者数は増加している。成熟度は年々高まっており、119.0%に達している。年金積立金は、2015年3月末現在、7兆1285億円となり、その全額をKKRが運用している。

(注)公的年金制度には、国民年金、厚生年金保険と3つの共済年金がある。

 

3.国家公務員共済年金の財政状況

 国家公務員共済年金の平成26年度の財政状況は、保険料等の収入1兆7498億円から給付金等の支出2兆1133億円を差し引いた金額3635億円の赤字となった。運用収入2244億円を充当した結果、最終的に1391億円の赤字を計上し、年金積立金から取り崩しが発生している。

 

4.国家公務員共済年金の資産運用

(1)積立金等の運用の基本方針

 国家公務員共済年金の資産運用に関しては、国家公務員共済組合法、同施行令第9条の2および同施行規則第85条の2の2等に依っており、積立金及び長期給付の支払い上の余裕金(積立金等)の管理及び運用についての連合会の基本的な方針を定めた「積立金等の運用の基本方針」に基づいて、自家運用ならびに信託、投資顧問および生命保険会社による委託運用を行っている。

 KKRでは、2001年4月に「積立金等の運用の基本方針」を策定し、それに基づく基本ポートフォリオに沿って資産運用を進めてきた。基本ポートフォリオは資産運用の実態に合わせて改正されている。これまで8回の改正があった。直近では、2015年2月25日に平成26年度財政再計算の新たな経済前提等を踏まえるとともに、2015年10月の被用者年金制度一元化への円滑な移行をも見据え、基本ポートフォリオを見直し、現在に至っている。

 

(2)基本ポートフォリオ

 平成26年度改正の基本ポートフォリオは、国内債券35%(±30%)、国内株式25%(±10%)、外国債券15%(±10%)、外国株式25%(±10%)と、改正前の国内債券74%(±16%)、国内株式8%(±5%)、外国債券2%(±2%)、外国株式8%(±5%)、短期資産4%(±4%)、貸付金等4%(±4%)と比較して大きく見直されている。運用スタイル別資産配分構成は、内外債券はパッシブ100%、国内株式はパッシブ70%、アクティブ30%、外国株式はパッシブ80%、アクティブ20%と定められている。

(注1)( )内数字は、乖離許容幅を表す。

(注2)改正後の基本ポートフォリオにおいて、貸付金等は国内債券に含まれ、短期資産は各資産の乖離許容幅の中で管理することとなった。

 

(3)平成26年度の市場動向

 国内株式は、日銀による追加金融緩和策の決定等を好感し、上昇基調を辿った。また、外国株式については、堅調な米国経済に加え、欧州中央銀行(ECB)による追加金融緩和策等を背景に、株価は上昇基調で推移した。日本の長期金利については、日銀の追加金融緩和策が導入されたことを背景として低下した。また、海外の長期金利は、米国において、低金利政策の長期化観測、欧州でもECB による追加の金融緩和により低下基調で推移した。為替については、円/ドル相場は、日米金融当局の緩和政策におけるスタンスの差異等により円安が進行する一方、円/ユーロ相場は、ECBによる量的緩和策導入等の影響により円高が進展した。

 

(4)平成26年度の運用状況

① 運用実績

A. 時価利回り(修正総合利回り):7.45%

B. 評価益:6713億円、運用収入:2244億円

 評価益は、時価が簿価を上回る状況の時価と簿価の差額をさす。運用収入は、年金積立金の運用で得た利息収入や配当収入の「インカムゲイン」と資産の売却益である「キャピタルゲイン」からなる。

C. 平成26年度末の運用資産額は7兆8,013億円

D. 年金財政上求められる運用利回りとの比較:物価上昇を加味した実質的な運用利回りは4.75%と、財政上の前提である実質的な利回り0.40%を上回っている。

 

② 資産時価構成割合(平成26年度末)

資産区分 時価 構成割合

基本ポートフォリオ

構成比

国内債券 5兆1822 億円 66.5% 35% (±30%)
国内株式   9791 億円 12.5% 25% (±10%)
外国債券   2053 億円 2.6% 15% (±10%)
外国株式   9553 億円 12.2% 25% (±10%)
短期資産   1796 億円 2.3%
不動産   1546 億円 2.0%
貸付金   1453 億円 1.9%
合計 7兆8013 億円 100%

(注1)  右欄の基本ポートフォリオは2015年2月25日に改正したもの。

(注2) 2015年3月31日付で乖離許容幅を超過しているが、2月の基本ポートフォリオの見直しに際して、資産の大幅な移動が必要であることから、当面、乖離許容幅を超過することがあるとしている。

 

③ 委託運用状況

 リスク資産の運用について、信託銀行および投資顧問会社計25社(46ファンド)に運用を委託している。委託運用額は、平成26年度末で2兆2172億円(パッシブ74.1% アクティブ25.9%)、と総資産額の28%となっている。内訳は、国内株式1兆82億円(パッシブ70.3% アクティブ29.7%)、外国債券2118億円(パッシブ100%)、外国株式9973億円(パッシブ72.5% アクティブ27.5%)と、各アセットクラスの70%以上がパッシブ運用である。

 

(5)資産運用における今後の課題

 2015年上期は、新たな基本ポートフォリオを踏まえた資産運用を実施する。また、2015年10月の被用者年金制度一元化に伴い、財務大臣の承認を受けて3つの積立金(①いわゆる1・2階部分に相当する「厚生年金保険給付積立金」、②旧3階職域年金部分に相当する「経過的長期給付積立金」および③新たな公務員制度として創設される新3階年金部分に相当する「退職等年金給付積立金」)に係る「管理運用の方針」を策定する。2015年下期は、「管理運用の方針」の定めるところに従い、 また、市場動向を十分に注視しつつ、3つの積立金のそれぞれの特性に応じた運用を行う。

 

出所: 国家公務員共済組合連合会「年金積立金等の運用状況<平成26年度版>」より、QUICK ESG研究所にて編集

【関連サイト】 国家公務員共済組合連合会

QUICK ESG研究所 菅原 晴樹

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