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【アメリカ】インパクト投資はリターンを犠牲にしない。ウォートンスクール調査 2015/11/02 ESG

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 ペンシルバニア大学ウォートンスクールは10月7日、インパクト投資に関する新たな報告書、”Great Expectations: Mission Preservation and Financial Performance in Impact Investments(インパクト投資における社会的ミッションの確保と財務パフォーマンス)“を発表した。同報告書によると、投資先の市場セグメントによってはインパクト投資のリターンは株式市場の指数に近い成績を上げており、社会的インパクトと経済的リターンの両方を追求することは可能だとしている。

 同調査では、53のインパクト投資プライベートエクイティファンドの運用パフォーマンスを「ラッセル2000」やその他のベンチマーク指数の比較・評価した。また、同調査ではインパクト投資家が流動性を求める際に、投資先企業の社会、環境に関するミッションにどのような変化が起こるのかも研究している。検証は市場分析で用いられるデータを駆使したアプローチが使われており、インパクト投資にこの手法が利用されるのはまれだ。

 同報告書を監修した教授の一人、ペンシルバニア大学ウォートンスクールのChris Geczy氏は「我々の研究は非上場企業投資と社会的インパクトの成果を緻密に分析しており、良い行い(doing good)と良いリターン(doing well)の関連性を詳細に研究したことに大きな意義がある。」と語る。

 また、出版したウォートンソーシャルインパクトイニシアティブ(WSII)のシニア・ディレクターを務めるJacob Gray氏は「 この分野におけるデータ収集と分析に基づく研究は今後も必要だと認識している。インパクト投資は異なる社会的、財務的価値の提案を含んだ特徴的な市場セグメントだ。我々は多面的な要素を持つこの分野を単純に市場価値に基づいたパフォーマンス同様に一般化してしまわないよう細心の注意を払う必要がある」と話す。

 なお、WSIIはインパクト投資の財務パフォーマンスやミッションの永続性といった課題に対する理解を深めるために今後も長きに渡り研究を続けていくとしている。

 インパクト投資に対するデータ主義的な研究は、一見曖昧と思われる社会的・環境的ミッションの実践の有効性を測る上で非常に重要なアプローチとなる。また、グローバルのトップMBAスクールの一つであるウォートンはこれまで多くの卒業生を金融分野に輩出しており、同校によるインパクト投資の研究はこの分野に今後多くの優秀な人材を育成するための教育的側面からも非常に重要だと言える。

【レポートダウンロード】Great Expectations: Mission Preservation and Financial Performance in Impact
【参照リリース】New Wharton Research Shows “Doing Well While Doing Good” Is Viable Investment Strategy, Investors Seeking Social Impact Can Receive Comparable Returns
【団体サイト】Wharton Social Impact Initiative (WSII)

株式会社QUICK ESG研究所

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