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【政府・レギュレーション動向】政府初の「気候変動の影響への適応計画」(案)策定について 2015/11/04 ESGコラム

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 気候変動の影響への適応に関し、関係府省庁が緊密な連携の下、必要な施策を総合的かつ計画的に推進するため、2015年9月11日、「気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議」(以下「連絡会議」という。)の設置が、承認された。 連絡会議の構成は、内閣官房、金融庁、総務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省および環境省の11の府省庁に及び、議長は、内閣官房副長官補(内政担当)、連絡会議の庶務は環境省において行うこととなった。

1.第1回連絡会議

 2015年9月11日に開催された第1回連絡会議の冒頭、内閣官房より次のような発言があった。
 『温室効果ガス(GHG)の排出の抑制とともに適応にも注力する必要性や、2014年9月の国連気候サミットにおいて安倍総理から「適応イニシアチブ」が発表されたこと、2015年11月に開催予定のCOP21(国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国 第21回締約国会議)でも適応は主要課題の一つであること等を踏まえ、COP21に向けた我が国の貢献となるよう、連絡会議を通じて、政府の適応計画の取りまとめを行いたい』

次に、環境省から気候変動の影響への適応計画について、次のような説明が行われた。

 『2013年9月から2014年11月にかけて承認・公表された「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書」において、 気候変動は全ての大陸と海洋にわたり、自然及び人間社会に影響を与えていること、将来、温室効果ガスの継続的な排出によって、気候変動がさらに進行し、人々や生態系にとって深刻で不可逆な影響が生じる可能性が高くなること、このため、気候変動に対し、緩和とともに適応を進める必要があることが示された。

 我が国においては、第四次環境基本計画(平成24年4月閣議決定) において、「影響の把握・科学的知見の収集に努めるとともに、それらの情報の共有を図っていく。また、短期的影響を応急的に防止・軽減するための適応策の取組を推進するとともに、中長期的に生じ得る影響の防止・軽減に資する適応能力の向上を図るための検討を行い、その成果 を関係府省・地方公共団体で共有し、活用すること等により、適応策の取組の支援を図っていく。」こととした。

 その後、「政府全体の適応計画策定に向けて、専門家による温暖化影響予測評価のための会議を設置し、我が国の温暖化とその影響の予測・ 評価を実施」(平成25年版環境白書(平成25年6月閣議決定))するとされたことを受け、環境省中央環境審議会での議論が行われ、2015年3月「日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について」(以下「気候変動影響評価報告書」という。)が取りまとめら、環境大臣に意見具申が行われた。

 国際的には、安倍総理が、2014年9月に開催された国連気候サミットにおいて「適応イニシアチブ」を発表し、「我が国の適応計画の経験を踏まえ」途上国を支援していくことを表明した。

 こうしたことを踏まえ、「平成27年夏頃をめどとして、政府全体の適応計画策定を予定」(平成27年版環境白書(平成27年6月閣議決定))しているところ、気候変動影響評価報告書で示された様々な分野における気候変動の影響を踏まえつつ、政府全体として、整合のとれた取組を総合的かつ計画的に推進するため、できるだけ早期に、「気候変動の影響への適応計画」を取りまとめる必要がある。』

 環境省から今後の進め方について、次のような説明があった。

 『我が国の気候変動の影響に関する評価結果を踏まえ、様々な分野における気候変動の影響に対し、政府全体として整合のとれた取組を総合的かつ計画的に推進するため、気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議において、「気候変動の影響への適応計画」(以下「適応計画」 という。)について検討を行い、取りまとめることとする。 なお、適応計画に関する構成・内容、策定スケジュール等について具体的に検討を進めるため、別添の関係府省庁の課長で構成する課長級会議「気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議課長会議」を設置したい。』

2.第2回連絡会議

 2015年10月23日に開催された第2回連絡会議では、「気候変動の影響への適応計画(案)」が提示された。

 気候変動の影響は幅広く多様であることから、全体で整合のとれた取組を推進するため、 政府の適応計画を策定し、統一した考え方・方向性を提示することが必要である。このことから、関係府省庁において行われた検討結果を踏まえつつ、政府全体として気候変動の影響への適応策を計画的かつ総合的に進めるため、目指すべき社会の姿等の基本的な方針と、基本的な進め方、分野別施策の基本的方向、基盤的施策および国際的施策を定めた、政府として初の気候変動の影響への適応計画を策定した。

 適応計画(案)では、「農業、森林・林業、水産業」、「水環境・ 水資源」、「自然生態系」、「自然災害・沿岸域」、「健康」、「産業・経済活動」および「国民生活・都市生活」の7つの分野における我が国の気候変動の影響評価結果の概要と適応の基本的な施策を80ページにわたってまとめている。

 今後のスケジュールとして、2015年10月23日(金)から2015年11月6日(金)まで同案に対するパブリックコメントを求め、11月下旬頃、第3回連絡会議を開催し、「気候変動の影響への適応計画(閣議決定案)」の取りまとめを行うこととしている。
(なお、適応計画(案)の詳細については、第3回連絡会議で閣議決定案を取りまとめた結果、最終的に閣議決定後に続報とお知らせする予定である。)

<補足>
COP21は2015年11月30日(月)から2015年12月11日(金)までパリで開催される。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国は、COP21の合意に向けて、2020年以降の気候変動対策を事前にUNFCCC事務局に提示することから、日本をはじめとして、アメリカおよびEU各政府が、削減目標を約束草案として提出した。2015年7月17日、日本は温室効果ガス(GHG)排出量を2030年までに基準年2013年比26%削減する目標を掲げた。

【参考資料】
気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議
第1回 気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議議事次第
第2回 気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議議事次第
気候変動の影響への適応計画(案)に関する意見の募集(パブリックコメント)について(お知らせ)(環境省)
地球温暖化対策推進本部「日本の約束草案」
国連気候サミット(概要と評価)(外務省)

QUICK ESG研究所 菅原 晴樹

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