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【国際】世界の大手銀行、気候変動対応の取り組みに大きな遅れ 2015/11/06 ESG

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 SRI運用を手がける米ボストン・コモン・アセット・マネジメントは10月22日、世界の大手銀行61社の気候変動リスク対応状況を調査した報告書、”ARE BANKS PREPARED FOR CLIMATE CHANGE?“を公表した。

 同報告書は、一部の銀行を除きほとんどの大手銀行が依然として気候変動に向けた戦略的な取り組みを推進できておらず、低炭素社会への移行を支援する金融業界のポテンシャルと、現行の銀行の取り組みとの間には非常に大きなギャップがあると指摘している。

 報告書によると、銀行業界全体として情報開示は不十分な状態にあり、今回調査対象となった銀行の多くが融資や債券引受時に適切なカーボンリスク評価をできておらず、気候変動関連のストレステストも実施していないという。また、現在自身のカーボンフットプリントを測定している銀行は一社もないとのことだ。

 さらに、低炭素経済への移行には巨額の資金が必要となるにも関わらず、ほとんどの銀行がエネルギー効率化や再生可能エネルギープロジェクトへの投融資に関する具体的な数値目標を設定していないという。

 今回の調査は合計運用資産が5,000憶米ドルにおよぶ世界80の機関投資家らからの支援を受けてボストン・コモン・アセット・マネジメントが実施したものだ。調査を支援した機関投資家はAustralian Ethical Investment(オーストラリア)、 Bâtirente(カナダ)、スウェーデン国教会(スウェーデン)、Cometa年金基金(イタリア)、Ethos Foundation(スイス)など。また、調査対象となった銀行61社の中には二酸化炭素排出量が極めて多い、石油・ガス、パイプライン、石炭産業の債権引受機関も含まれている。

 調査を担当したボストン・コモン・アセット・マネジメント社でマネージング・ディレクターを務めるLauren Compere氏は「パリ気候変動会議が近づく中、今回の分析は主要な銀行の多くにおいて気候変動リスクに関する戦略的かつ長期的なアプローチが欠如しているという懸念すべき結果となっている。我々は、銀行は気候変動に関するリスクを適切に測定、管理、公開できていないと考えている。COP21は、世界を低炭素経済へ移行するための投資の必要性を強調するものであり、銀行は重大な役割を担っている。イングランド銀行総裁が10月初旬に述べたように、行動する時間はまだ残されているが、そのチャンスの窓は有限で、小さくなってきている」と語った。

 既にシティグループやバンク・オブ・アメリカなど一部の大手銀行は石炭からのダイベストメントなど低炭素社会の実現に向けたコミットメントを公表しているものの、これらの動きは未だ業界全体のメインストリームにまではなっていない。加えて銀行が自身のカーボンフットプリントについては測定・開示できていないというのも大きな課題の一つだ。

 銀行は金融システムを通じて世界の資金の流れを変えうる大きな力を持っている。その力を活用して世界をどのように持続可能な方向へ舵取りしていくのか。各社には一日も早いアクションが求められている。

【レポートダウンロード】ARE BANKS PREPARED FOR CLIMATE CHANGE?
【参照リリース】UNBANKED POTENTIAL :New report finds largest global banks failing to play long game on climate change
【企業サイト】Boston Common Asset Management

株式会社QUICK ESG研究所

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