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【アメリカ】変わるウォール街、投資家らが米国企業の気候変動対応を先導。CDP調査 2015/11/26 ESG

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 かつては短期利益至上主義というイメージが強かったウォールストリートの投資家らの行動が、大きく変わりつつある。気候変動に関する情報開示を求める機関投資家らによる国際NGOのCDPは11月16日、米国大手金融機関らの気候変動に対する取り組み状況や見解についてまとめた報告書、”CDP Climate Change Report 2015: The mainstreaming of low-carbon on Wall Street US edition based on the S&P 500 Index“を公表した。

 同報告書はウォールストリートを代表する大手金融機関数社らのインタビューなどに基づき、米国の投資家らの気候変動リスクに対する見解や対応状況、既に起こっている変化について詳細にまとめたものだ。CDPが先日公開したCDP Climate Change Report 2015の特別編集版となる。

 CDPは同報告書の中で、ウォールストリートの投資家らは低炭素・サステナビリティを重視した金融商品の開発を進めるなど投資ポートフォリオ内の炭素リスク低減に積極的に取り組んできた結果、今や企業の気候変動対応を促進する触媒となっていると指摘している。

 CDPはこれまで15年間に渡り、企業に対して気候変動が事業にもたらすリスクと機会について明確に情報開示するよう求めてきた。その結果、投資家らは気候変動リスクを考慮した様々な金融商品を開発できるようになった。ステートストリート社による初の低炭素上場投資信託(ETF)となるLOWCや、ブラックロック社のiShares CRBN上場投資信託などがその代表例だ。また、信用格付機関のStandard&Poor’sやMSCIも、新しい低炭素インデックスの開発などを通じて低炭素化への流れを牽引してきた。

 こうした投資家から企業への気候変動対応に関する圧力の高まりはCDPの回答結果にも明確に表れており、S&P500社の行動は過去5年間で劇的な変化を遂げた。具体的には、気候変動に対して役員レベルが責任を負っている企業の割合は2010年の67%から2015年には95%に増加したほか、エネルギー効率化や炭素排出削減目標に関連するインセンティブを設定している企業も49%から83%に増加している。さらに、温室効果ガスの排出削減に向けて積極的に活動している企業の割合は52%から96%へと増加しており、今やほぼ全ての企業が何らかの気候変動対応に取り組んでいる状況だ。

 CDPは、過去5年間でサステナビリティ投資が徐々にメインストリームになってきたことが、米国の企業風土に劇的な変化をもたらしたとしている。今後、機関投資家らは科学的な根拠に基づく温室効果ガス削減目標の達成に向け、さらなる変革を先導していく可能性がある。世界中の企業が喫緊の気候変動対応が求められる中、ウォールストリートにかけられる期待は大きい。

【レポートダウンロード】CDP Climate Change Report 2015: The mainstreaming of low-carbon on Wall Street US edition based on the S&P 500 Index
【参照リリース】Action on Wall Street to stem climate risk heralds tipping point in U.S. corporate behavior
【団体サイト】CDP

(※写真提供:Songquan Deng / Shutterstock.com

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