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【閑話休題】「平成27年版厚生労働白書」について - 35年後、我が国人口は1億人割れ - 2015/12/01 ESGコラム

population

 2015年10月27日、厚生労働省は閣議で「平成27年版厚生労働白書(平成26年度厚生労働行政年次報告)を報告し、公表した。

 「厚生労働白書」は、2部構成で、第1部(テーマ編)は毎年テーマを決めており、今年は「人口減少社会を考える~希望の実現と安心して暮らせる社会を目指して~」としている。(ちなみに、昨年は「健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年~」であった。)

第2部(年次行政報告)「現下の政策課題への対応」では、厚生労働行政の各分野について、最近の施策についてまとめてある。

 我が国の人口は、2008年の1億2,808万人をピークに、人口減少局面に入り、2014年にはピーク時から100万人減少している。このままの減少ペースでいけば、2050年には1億人を割り込み、2100年には約5,000万人まで減少し、また、高齢化率も高くなり、現在65歳以上人口割合25%超が2060年には40%にまでなることが推計されている。(国立社会保障・人口問題研究所推計)

 人口減少問題については、2014年、民間有識者による「日本創成会議」において「消滅可能性都市」が大きく増加することが問題提起された。政府においても「まち・ひと・しごと創生本部」が設置され、人口減少の克服と地方創生に向けた施策を推進している。厚生労働省は、雇用対策、出産・子育て支援、仕事と家庭の両立支援など、人口減少問題に大きく関わっており、今年の白書において、人口減少問題を取り上げたものである。

 人口減少は、我が国の経済、財政、年金・医療および介護などの社会保障、そして地域社会等さまざまな問題を引き起こすものと考えられる。国、地方自治体および企業などが人口減少問題に対する施策に取り組むことは喫緊の課題であることは言うまでもないが、我々国民もこの問題に対しては認識を深めていかなければならない。

 白書のうち、第1部(テーマ編)「人口減少社会を考える~希望の実現と安心して暮らせる社会を目指して~」の概要は、次の通り。

 

第1部 人口減少社会を考える~希望の実現と安心して暮らせる社会を目指して~

序章 人口減少の見通しとその影響

第1節 人口減少の見通し

  • 我が国の人口は、今後減少していく見通しで、地域別にみると、地方で減少が加速し、2020年から2050年にかけてすべての都道府県で人口減少に転ずる。
  • 国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」によると、2060年の総人口は8,674万人(2014年 1億2,707万人)に減少し、65歳以上人口割合は約40%(2014年 25.9%)になる見込み。

第2節 人口減少がもたらす影響と長期ビジョンが目指す将来の方向

  • 人口減少・少子高齢化は、①経済(労働投入の減少、消費の減少)、②地域社会(地域経済社会の急速な縮小、都市機能の低下)、③社会保障・財政(社会保障の維持や財政健全化への影響)に影響を及ぼす。
  •  「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」では、人口減少克服の取組みにより、2060年に総人口1億人程度を確保し、2090年ごろに9千万人程度で定常状態を見込む方向性。(合計特殊出生率が2030年1.8程度、2040年に人口置換水準の2.07程度を前提とする)

 

第1章 人口減少社会

第1節 我が国の人口の概況

  • 我が国の出生数は、戦後直後の1940年代後半に急増(第1次ベビーブーム)したが、1950年代は急減し、その後、ひのえうま(1966年)を除き、合計特殊出生率も2前後の水準で安定的に推移。第2次ベビーブーム以降、出生率は、1974年に人口置換水準を下回り、その後低下傾向をたどる。
  • 平均寿命の急速な延伸もあり少子高齢化が急速に進展。人口は2008年をピークに減少

第2節 我が国の人口に関わる施策の変遷

人口問題の焦点は、人口増加抑制から高齢者対策に。

  • 1990年の「1.57ショック」を契機に、少子化について社会的に問題認識が高まる。
  • その後、様々な少子化対策が講じられる。
  • 出生率は、2005年に過去最低の「1.26」を記録、直近では「1.42」(2014年)

第3節 人口減少社会を取り巻く背景・現状と国民の意識

結婚をめぐる状況と意識

  • 我が国の未婚率は年々上昇(生涯未婚率 男子:20.1% 女子:10.6%)しており、将来推計では、男子:30%、女子:20%程度になることが予想されている。
  • 特に、非正規雇用労働者では、経済的理由から結婚していない人が多く、男性では正規雇用労働者と非正規雇用労働者では配偶者がいる割合は2倍以上の開きがある。

出産をめぐる状況と意識

  • 出生数の減少の要因は、親世代の減少、未婚率の上昇、晩婚化に伴う「晩産化」
  • 結婚時の妻の年齢が高くなると、出生児数も減少
  • 合計特殊出生率は都市部で低く、地方で高い傾向にある。(東京:1.15 沖縄:1.86)

子育て・家族をめぐる状況と意識

  • 子育てへの負担・不安は、男子:7割弱、女子:8割弱
  • 出産・子育てへの前向きになれるためには、安定した雇用と収入、安心できる保育サービス・出産小児医療、仕事と家庭の両立環境の整備等
  • 理想の家族の住まい方として、三世代同居、近居

第4節 諸外国の動き

  • 諸外国の出生率の動きを見ると、日本・ドイツは1.4前後で推移、フランス・スウェーデンでは2前後まで回復
  • 政府の家族関係支出の対GDP比では、日本は諸外国に比べて低水準

第5節 まとめ~人口減少克服に向けた取組みのあり方

人口減少の克服に向けた必要な基本的姿勢

  • 人口減少に対する危機認識の共有
  • 人口減少の有効な対応策
  • 若者の結婚、出産、子育ての希望の実現に総力を挙げて取り組む。
  • 非婚化・晩婚化への一層のアプローチが重要
  • 人口減少の流れを変えていくことが重要
  • 一定程度の人口減少や高齢化の中でも安心して生活できる基盤を維持

人口減少克服のために必要な具体的施策の方向性

〔人口減少にはどめをかける観点〕

  • 若者の雇用の安定を確保すること。地方での雇用を拡大し、東京一極集中に歯止めをかける。
  • 待機児童の解消。地域での妊娠・出産・子育て期にわたる相談体制等の充実
  • 長時間労働の是正。両立支援。

〔人口減少やそれに伴う高齢化が進む中でも必要な生活基盤を維持する観点〕

  • 日常生活を支えるサービス基盤を確保、地域の支えあいの取組みを促進
  • 様々な福祉サービスの一体的な提供
  • 福祉サービスの提供の仕組み、総合的な福祉人材の育成の検討

 

第2章 人口減少克服に向けた取組み

序節 国の動きの全体像

  • 政府は、人口減少克服と地方創生の実現に向けて「まち・ひと・しごと創生本部」を設置。少子化社会対策大綱を閣議決定。
  • 厚生労働省も、検討推進本部を設置し、「まち・ひと・しごと創生サポートプラン」を策定するとともに、雇用制度・雇用対策、少子化対策および医療・介護・福祉サービスの基盤整備について取り組み方針を示す。

第1節 若い世代が新しい世代を希望どおり産み育てられるために

  • 子育て世代と女性・若者の支援のため、厚生労働省は、雇用の確保、妊娠・出産支援、子育て支援の充実および働き方の見直しについて取り組んでいる。

第2節 人口減少に応じて地域での生活を支えるために

  • 人口減少に応じた施策として、地域包括ケアシステムの推進、小さな拠点の整備および福祉サービスや神座に関する連携等の検討を進めている。

第3節 まとめ

 

【関連資料】

人口100人でみた日本人

厚生労働省は、毎年公表する「厚生労働白書」の巻末に、「人口100人でみた日本人」として、人口、雇用、年金および医療等について日本を100人の国に例えて掲載しています。以下、過去5年間の推移の抜粋です。なお、調査項目によって、数年ごとの調査のため、必ずしも毎年更新されていないケースもあります。

<人口について>

  調査年 23年 24年 25年 26年 27年
  推移

平成15年~平成22年

平成15年~平成23年 平成19年~平成24年 平成20年~平成25年 平成22年~平成26年
性別 男子 48.8人 48.7人 48.6人 48.6人 48.6人
  女子 51.2人 51.3人 51.4人 51.4人 51.4人
年齢 15歳未満 13.1人 13.1人 13.0人 12.9人 12.8人
  65歳以上 22.9人 23.2人 24.1人 25.1人 26.0人
  うち75歳以上 11.1人 11.5人 11.9人 12.3人 12.5人

 

<雇用について>

  調査年 23年 24年 25年 26年 27年
    平成15年~平成22年 平成15年~平成23年 平成19年~平成24年 平成20年~平成25年 平成22年~平成26年
仕事についている 雇われている 42.7人 41.0人 43.2人 43.6人 44.0人
  自営している 4.5人 4.2人 4.4人 4.4人 4.4人
雇われている 男子 24.5人 23.5人 24.7人 24.7人 24.9人
  女子 18.2人 17.5人 18.5人 18.9人 19.2人
フリーター   1.4人 1.4人 1.4人 1.4人 1.4人
失業者   2.6人 2.2人 2.2人 2.1人 1.9人

<福祉・年金について>

  調査年 23年 24年 25年 26年 27年
    平成15年~平成22年 平成15年~平成23年 平成19年~平成24年 平成20年~平成25年 平成22年~平成26年
障害者   5.8人 5.8人 6.2人 6.2人 6.2人
生活保護受給者   1.4人 1.5人 1.6人 1.7人 1.7人
介護サービス受給者   3.3人 3.4人 3.6人 3.8人 4.0人
国民年金被保険者 第1号(自営、学生等) 15.5人 15.2人 14.9人 14.6人 14.2人
 

第2号(サラリーマン、公務員)

29.5人 29.7人 29.7人 29.8人 30.2人
  第3号(第2号配偶者) 8.0人 7.9人 7.7人 7.5人 7.4人
老齢年金受給者   21.6人 21.9人 22.5人 23.3人 24.1人

<医療について>

  調査年 23年 24年 25年 26年 27年
    平成15年~平成22年 平成15年~平成23年 平成19年~平成24年 平成20年~平成25年 平成22年~平成26年
健康状態が「良くない」「あまりよくない」と感じている(6歳以上)   13.0人 12.2人 12.2人 12.2人 13.4人
日常生活の悩み・ストレスを感じている(12歳以上)   48.2人 46.5人 46.5人 46.5人 48.1人
健診・人間ドック受診(20歳以上)   61.5人 64.3人 64.3人 64.3人 62.3人
生活習慣病   11.5人 11.5人 12.6人 12.6人 12.6人
タバコを吸う 男子 15.1人 12.7人 12.8人 13.5人 12.8人
  女子 4.6人 3.6人 4.1人 3.8人 3.5人
生涯でがんになる 男子 26.4人 26.8人 27.2人 28.3人 29.2人
  女子 21.0人 21.5人 21.2人 22.1人 23.0人
習慣的に運動(20歳以上) 男子 12.7人 13.7人 13.8人 14.3人 13.4人
  女子 11.5人 12.1人 12.5人 12.0人 12.1人
健康保険加入者 組合健保・協会けんぽ 51.0人 50.4人 50.5人 50.6人 50.9人
  国民健康保険 31.0人 30.3人 30.0人 30.0人 29.5人

出所:厚生労働白書「人口100人でみた日本」より抜粋

 

日本の1日

厚生労働省は、毎年公表する「厚生労働白書」の巻末に、「日本の1日」として、人口、育児、結婚および医療等について1日に起こる出来事の数を掲載しています。以下、過去5年間の推移の抜粋です。なお、調査項目によって、数年ごとの必ずしも毎年更新されていないケースもあります。

<人口について>

  調査年 23年 24年 25年 26年 27年
  推移

平成17年~平成22年

平成17年~平成23年 平成22年~平成24年 平成22年~平成25年 平成23年~平成26年
誕生   2,935人 2,879人 2,834人 2,821人 2,746人
死亡   3,280人 3,434人 3,432人 3,475人 3,488人
  がん 968人 979人 986人 999人 1,008人
  心疾患 518人 534人 543人 538人 539人
  脳血管疾患 338人 339人 332人 324人 313人
人口の減少数   ▲345人 ▲555人 ▲598人 ▲654人 ▲739人

<成人について>

  調査年 23年 24年 25年 26年 27年
  推移

平成17年~平成22年

平成17年~平成23年 平成22年~平成24年 平成22年~平成25年 平成23年~平成26年
平均野菜摂取量  

295g

282g 277g 287g 283g
平均歩数 男子 7,214歩 7,136歩 7,233歩 7,139歩 7,099歩
  女子 6,352歩 6,117歩 6,437歩 6,257歩 6,249歩
歯磨き 2回以上 70,40% 73.5% 73.5% 73.5% 73.5%

<結婚について>

  調査年 23年 24年 25年 26年 27年
  推移

平成17年~平成22年

平成17年~平成23年 平成22年~平成24年 平成22年~平成25年 平成23年~平成26年
結婚   1,918組

 

1,813組 1,827組 1,810組 1,764組
離婚   689組 646組 643組 634組 609組

<育児について>

  調査年 23年 24年 25年 26年 27年
  推移

平成17年~平成22年

平成17年~平成23年 平成22年~平成24年 平成22年~平成25年 平成23年~平成26年
育児・家事時間(6歳未満) 1時間 1時間 1時間7分 1時間7分 1時間7分
  7時間27分 7時間27分 7時間41分 7時間41分 7時間41分

<介護・医療について>

  調査年 23年 24年 25年 26年 27年
  推移

平成17年~平成22年

平成17年~平成23年 平成22年~平成24年 平成22年~平成25年 平成23年~平成26年
介護保険給付費/人   3,763円 3,884円 3,940円 3,969円 3,994円
入院患者   1,392,400人 1,392,400人 1,341,000人 1,341,000人 1,341,000人
通院患者   6,865,000人 6,865,000人 7,260,500人 7,260,500人 7,260,500人
国民全体の医療費   953億円 986億円 1,025億円 1,057億円 1,074億円

出所:厚生労働白書「日本の1日」より抜粋

QUICK ESG研究所 菅原 晴樹

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