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【アメリカ】拡大するインパクト投資、より合理的な選択に。メリルリンチ調査 2015/12/01 ESG

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 メリルリンチ・グローバル・ウェルス・マネジメント(以下、メリルリンチ)は11月9日、インパクト投資のパフォーマンスの実態について分析したホワイトペーパー、”Impact Investing: The Performance Realities“を公表した。メリルリンチは同報告書の公表に際し、資本市場の構造的な変化および年金運用におけるESG投資戦略の採用に関する米労働省の方針変更(参考記事:【アメリカ】米労働省、ETIsおよびESG投資戦略に関するIB 2015-01を公表)という2つの大きな要因により、インパクト投資の広がりを阻害していた障壁は取り除かれつつあるとの認識を示した。

 同報告書は実際のパフォーマンスデータなどに基づいて、環境・社会に好影響をもたらしている組織への投資は財務リターンの観点から考えても経済合理性があるとする証拠を提示している。また、インパクト投資市場が急拡大している背景として、顧客からの需要の増加、およびESGデータの質の向上を挙げている。

 報告書によると、インパクト投資の多くはリスクを高めることなく市場ベースのポートフォリオに用いることができ、ポートフォリオ全体のボラティリティ低下をもたらすことができるとのことだ。また、社会へのインパクトを重視した多様な上場株式や債券戦略のほとんどが市場と同様のリターンを実現可能で、中には市場をアウトパフォームするものもあるという。そして、これらの運用を実現できるようになった背景には、より質の高いESGデータを従来の財務分析と合わせて活用できるようになり、投資家らが十分な情報に基づく投資意志決定をできるようになったことがあるとしている。

 また、メリルリンチはインパクト投資市場の継続的成長に向けた鍵として、インパクト投資に関する認知の向上と教育の重要性を指摘している。同社によると、35歳以下のミレニアル世代では特にインパクト投資に対する需要が高く、59%が自身と価値観を共有できる企業への投資に関心があり、それにより十分な財務リターンも達成できると考えているという。また、ミレニアル世代の47%は財務リターンよりも自身の関心がある社会課題のことを重視しているとのことだ。さらに、調査に回答した1,500名の投資家のうち約半数に相当する48%が、もしインパクト投資が収益を犠牲にしないという確信があればインパクト投資戦略をよりポートフォリオに統合する意志があることも明らかになった。

 一方で、投資家の約半数はESG投資についての理解が深まれば、それらに投資をするだろうと考えているにも関わらず、実際にインパクト投資という選択肢があることを認識している投資家の割合は25%に満たなかった。

 米労働省の方針変更に代表される通り、社会・環境を考慮した投資は財務リターンを犠牲にするという考えはもはや過去のものとなりつつある。むしろ、運用資産が内包しているリスクを正しく把握し、長期的に安定した収益を維持ししていくためには良質なESG・ガバナンスデータが欠かせないという認識が急速に広がっている。

【レポートダウンロード】Impact Investing: The Performance Realities
【参照リリース】Impact Investing Cleared for Take-off
【企業サイト】Bank of America Merrill Lynch

株式会社QUICK ESG研究所

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