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【アメリカ】四半期の業績予想開示から脱却し、長期志向を実現するためのフレームワークが公表 2015/12/05 ESG

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 米国に本拠を置くKKS Advisors(以下、KKS)とGeneration Foundationは11月11日、企業の長期的な事業価値創造に向けた新たなコーポレート・コミュニケーション戦略についてまとめた報告書、”Implementing Integrated Guidance Case studies in communicating value-relevant“を公表した。

 同報告書の中で、KKSらはショートターミズム(短期志向)の温床となる四半期業績予想開示を廃止し、企業と投資家が長期志向に基づいてコミュニケーションをとるための新たなフレームワーク、”Integrated Guidance”と、その具体的な実行策を提示している。

 KKS Advisorsは企業や投資家、NGO、公的機関に対してサステナビリティ・アドバイザリー業務を展開している企業で、Generation Foundationは元米国副大統領のAl Gore氏およびDavid Blood氏が率いるGeneration Investment Management LLPのアドボカシーグループだ。

 報告書の前半部分では「四半期の業績予想開示は本当に投資家にとって必要か?」「四半期開示を廃止すると企業に何が起こるか?」という2つの問いを基にして、いかに企業が四半期の業績予想開示を脱却するべきかについて述べられている。そして後半では、既に長期の事業戦略を重視して同様の取り組みを展開しているコカ・コーラやグーグル、ユニリーバら先進企業の事例なども踏まえつつ、”Integrated Guidance”の詳細について議論されている。

 KKSらは、四半期業績予想開示の廃止は、投資家に提供する情報量を減らすということではなく、むしろその本質は企業の長期的なビジョンや事業戦略を反映したマテリアルな情報を提供するということだとしている。

 米国や英国では以前から四半期の業績予想開示による投資家の過剰反応や企業経営者の対応コストなどついて様々に議論されてきた。その背景にあるのは四半期の開示は経営者のショートターミズムを生み出し、長期的な事業価値を損なうという考え方だ。

 一方で、情報開示については透明性も重要だ。報告書にもあるように、四半期開示の廃止が単なる直近の業績悪化の隠れ蓑とならないように、企業は投資家に対してESGも考慮して長期的な事業価値創造に向けた進捗状況を図るためのKPIを設定・共有し、その指標に基づいて透明性の高いコミュニケーションを図っていく必要がある。

 企業と投資家とのコミュニケーションのあり方を変えることは、企業のガバナンスや事業活動に大きな影響をもたらす。今後は投資家、企業だけではなく規制当局も含め、様々な側面を考慮したより包括的な議論が展開されることを期待したい。

【レポートダウンロード】Implementing Integrated Guidance Case studies in communicating value-relevant
【企業サイト】KKS Advisors
【団体サイト】Generation Investment Management

株式会社QUICK ESG研究所

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