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【政府・レギュレーションの動向】「SS及びCGのフォローアップ会議」(第3回)の開催について 2015/12/16 ESGコラム

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 2015年8月7日 金融庁と東京証券取引所は、スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードの 普及・定着状況等を検証するため、共同で有識者会議を設けると発表したが、その第3回会合が2015年11月24日に開催された。

 会議の座長は、池尾和人 慶應義塾大学経済学部教授、メンバーは、総勢16名で企業経営者、 内外投資家および学識者等から構成されている。オブザーバーとして、法務省民事局および経済産業省経済産業政策局、 事務局は金融庁総務企画局企業開示課および(株)東京証券取引所上場部である。

 第3回会合では、「政策保有株式」に関する議論が行われた。

 まず、「金融庁監督局」から 資料1 に基づき、3メガバンクグループの政策保有株式の状況と先だって公表された各グループの削減方針について説明があった。

「金融モニタリングレポート」(抄)( 2015年7月3日公表)では、3メガバンクグループは、欧米G-SIFIs (グローバルなシステム上重要な金融機関)と比較して政策保有株式の自己資本に対する保有割合が高く、株価下落時の 自己資本に及ぼす影響が無視できない状況であり、 困難な時期における企業の経営支援ニーズの高まりにも十分対応できるよう、 株価変動リスクの縮減を含め財務基盤のさらなる強化が必要であるとされている。

「日本再興戦略」改訂2015(抄)では、株価変動リスクの縮減を求めている。

3メガバンクグループの「コーポレートガバナンス報告書(抄)」および「2015年度中間決算概要(抜粋)」 では、3~5年間で削減する方針が示されている。

ヒアリングで招聘されたコニカミノルタ株式会社取締役会議長の松崎正年氏からは、 資料2 に沿って同社の政策投資に対する取り組みが紹介された。

同社は、コーポレートガバナンス・コード(以下、CGCという。)の原則1-4への対応として、 取締役会メンバーに諮り、「Comply」することを確認している。

政策保有に関する基準を策定し、「企業価値の向上に資する」ことをポイントと決め、9月末までに2社の 株式について政策保有株式を解消したことが報告された。現在は、簿価ベースで純資産の3.25%であり、中長期投資家に とって優先度の高い関心事ではないと考えており、問われた場合に説明責任を果たしていく姿勢だ。

 同じくヒアリングで招聘された機関投資家の自主的な集まりである「投資家フォーラム」は、 資料3 に基づいて投資家同士の話し合いの中で議論に上がった政策保有株式に関する論点を説明した。

CGCの原則1-4の真意は、政策保有の継続を前提としてエクスプレインすることではなく、 構造的な問題に取り組むことであり、

①「保有させている」側の問題

②「保有している/させられている」側の問題

③ 解消へのインセンティブが働かない構造問題

④ 保有目的と経済合理性の論理矛盾

⑤ 資本生産性上の問題

⑥ 一般株主との利益相反問題

であることから、現状における政策保有の非合理性を説明した。そして、提言として、政策保有株主の地位 を濫用した営業活動により一般株主の利益を損なっていないことを監視する仕組みなどを作ることを示した。

 その後、フリーディスカッション形式で議論が行われ、政策保有解消を阻む問題点として具体的に 次のような指摘があった。

①政策投資から純投資に変更した企業があったこと

②実質2000社を超える企業全てを対象にすることは難しいこと

③銀行は有価証券発行時の幹事が選定される時に政策保有割合を元に決定する企業があり売却が難しいこと

④売却後の受け皿がアクティビスとにならないか

 他方、政策保有株式の削減を促す手法として次のような意見が出された。

①企業に議決権行使結果の開示

②ドイツのような政策パッケージとして売却時の税制優遇

③1-4に保有されている側の補充原則をつくる事

④政策保有売却社を保護する政策をとること

⑤1割などの数字目標を掲げること

 なお、「フォローアップ会議」は、当面、月1回のペースで開催される予定である。

 

【関連資料】 

1.配布資料

2.コーポレートガバナンス報告書開示の最新状況(作成:株式会社QUICK)

【コーポレート・ガバナンス】<12/14更新> 東証「改正規程」に基づき報告書を開示した上場会社

・改正東証上場規程に基づきガバナンス報告書を提出した企業が1000社を突破

・東証「改正規程」に基づき報告書を開示した513社<6/1~11/13発表分>

※2015年6月に適用開始されたコーポレート・ガバナンスについては、改正規程(新様式)に基づく 「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」を開示している会社は、2015年12月14日時点で1,149社である。

 

【関連コラム】

【政府・レギュレーションの動向】「SS及びCGのフォローアップ会議」(第1回)の開催について

【政府・レギュレーションの動向】「SSC及びCGCのフォローアップ会議」(第2回)の開催について

QUICK ESG研究所 菅原 晴樹

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