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【国際】世界銀行ら26金融機関、銀行のための気候変動対応原則に署名 2015/12/17 ESG

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 世界銀行グループは12月7日、総資産総額11兆米ドルに相当する世界26の開発銀行・民間銀行らが、金融機関のための自主的な気候変動対応原則、”Principles to Mainstream Climate Action within Financial Institutions“に署名したと公表した。

 同原則に署名した金融機関には、世界銀行、国際金融公社、アフリカ開発銀行、アジア開発銀行、フランス開発庁、ラテンアメリカ開発銀行、南アフリカ開発銀行、欧州復興開発銀行、欧州投資銀行、米州開発銀行、JICAなどの開発系金融機関に加え、HSBC、クレディ・アグリコル、BNBパリバ、イエスバンク等、民間銀行も含まれる。先進国から途上国にいたるまで幅広い金融機関が参画しているのが特徴だ。

 原則は「気候戦略宣言」「気候リスク管理」「気候スマート目標の促進」「気候パフォーマンスの改善」「気候変動アクションの情報開示」の5つで構成されており、銀行が気候変動を投融資や事業運営に統合する上での指針を提示している。

 これら5原則は過去20年間にわたる銀行業界の気候変動への取り組みを基にしてまとめられたもので、銀行らが短期・長期業績をより持続可能な形で、開発面・財政面の双方において向上させることを目的としている。

 また、同日に5原則に関連した既に始まりつつある取り組みについてまとめられた文書も公表された。現在、金融機関が気候変動をどのように業務活動の中核に位置付けているかについての事例とともに、気候変動リスクをスクリーニングする有用性、リスクを緩和し資金を活用するための共通の測定基準の開発など、経験から得られた知見・教訓が盛り込まれている。

 世銀グループの副頭取兼気候変動対策特別代表を務めるRachel Kyte氏は「今回の原則を適用する管理資産総額11兆米ドルの金融機関の一つとして、この原則が官民の顧客に対するサービス向上につながると考えている。気候変動リスクを意思決定のプロセスにより十分に統合し、クリーンエネルギーやレジリエントなインフラに投資することは極めて重要だ」と語った。

 現在、銀行業界では石炭からの投資引揚げなど気候変動リスクを考慮した低炭素投資へのシフトが活発化しているが、取り組み内容や情報開示状況には未だ統一性がないのが現状だ。また、投融資先の気候変動リスクだけではなく、自社の事業運営におけるカーボン・フットプリントの管理・情報開示についてはほとんど進んでいない。今回の原則の公表をきっかけとして、銀行業界における気候変動対応への取り組みや情報開示が大きく進展することを期待したい。

 原則で掲げられた5項目は下記の通りだ。

  1. 気候戦略宣言:気候変動対策を戦略的に行う。経営陣がリーダーシップを発揮し、明確な戦略的優先順位を設定し、目標に対する方策へのコミットメントを強化し、気候変動を金融機関における投融資やアドバイザリー業務に統合的に位置づける。
  2. 気候変動リスク管理:積極的に気候変動リスクを理解し、管理する。ポートフォリオ、輸送経路、新たな投資を査定し、気候変動に対するレジリエンスの強化や投資の長期的な持続可能性の向上について適切な方法で顧客と共に取り組む。
  3. 気候スマート目標の促進:低炭素でレジリエントな投資を行うにあたって、リスクや障壁を乗り越えるための手段、ツール、知識を生み出すようなアプローチを促進する。グリーンボンドやリスク分散の仕組み、官民双方からの資金投入など、新たな資金の導入や触発的な投資方法などが含まれる。
  4. 気候パフォーマンスの改善;気候変動対策に関する金融機関のパフォーマンスを向上させるためのツールを開発する。温室効果ガスの排出量、環境改善を支援する融資やアドバイザリー業務、資産配分や金融機関自身のフットプリントなど、指標のモニタリングを行うべきである。
  5. 気候変動アクションの情報開示:自らの機関における気候変動対策の成果について透明性を担保し、どの段階においても可能な限りレポートすること。クリーンエネルギー、エネルギー効率化、気候変動へのレジリエンス等、関連する活動や投資なども含んだ情報を明らかにする。

【原則ダウンロード】Mainstreaming Climate Action within Financial Institutions
【参照リリース】Major Financial Institutions Move to Integrate Climate Change
【参照リリース】Mainstreaming Climate Action within Financial Institutions
【団体サイト】The World Bank Group

株式会社QUICK ESG研究所

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