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【コーポレート・ガバナンス】株式持ち合い解消は「株価にプラス」との見方が優勢(QUICK調査) 2016/01/05 ESGレポート

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 年末株高への期待も高まる中、株式市場では金融庁のコーポレートガバナンスに関する有識者会議が、金融機関のみならず事業会社にも株式持ち合いの解消を促すという認識で一致したことが話題となった。今回の特別調査では、事業会社や金融機関の株式持ち合い解消は進むのか、持ち合い解消に伴う業績や株式市場への影響をどうみるか、株式市場関係者の見方を聞いた。

 国内最大級市場心理調査であるQUICK 月次調査(12月調査)にて、12月1~3日に株式市場を対象として実施した調査(証券会社および機関投資家の株式担当者174人が回答)で、株式持ち合いについて特別調査を行った。

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要約

  • 事業会社の株式持ち合い解消「賛成」が大半
  • 持ち合い解消は「株価にプラス」

事業会社の株式持ち合い解消「賛成」が大半

 株式持ち合いは戦後から1980年代にかけて、日本における特有の資本取引慣習といわれていたが、90年代に入ってバブル経済が崩壊する過程において、さまざまな弊害が生じてきた。

 例えば時価会計が導入されたことから、持ち合い株式の評価が下落したことで、企業は損失を計上せざるを得なくなったこと。銀行はBIS(国際決済銀行)基準によって厳しい自己資本比率が課せられ、株式のようなリスク資産を大量に保有していると、自己資本比率が低下してしまうリスクにさらされること。そもそも持ち合いをすることによって、企業のグループ化、系列化が強固になり、閉鎖的なビジネス慣習が横行することなどが、その弊害といっても良い。

 今回のアンケート調査でも「事業会社の株式持ち合い解消は必要だと思いますか」という質問に対して、「できれば解消した方がいい」が64%で最多となり、次に「早期に解消すべき」が22%となり、表現の強弱はあるものの、株式持ち合い解消に賛成する声が全体の86%を占めた。

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 ただ、「事業会社の株式持ち合い解消は実現すると思いますか」という問いに対しては、「ほとんど解消する」がわずか2%で、「ある程度解消する」が85%に上った。理想を言えば株式持ち合いは解消した方が良いけれども、実際にそれを行うとなると、今までの慣習から難しい面も多々あることを伺わせる。

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メガバンクの持ち合い株削減「目標通り実現」は47%

 次に金融機関の場合はどうか。メガバンクは株式持ち合い削減の具体的な目標を公表したが、これに関して「実現すると思いますか」という問いに対しては、「目標通りに実現する」が47%、「削減は進むが目標には達しない」が51%となった。「ほとんど実現しない」は2%にとどまり、中長期には持ち合い解消の流れが進みそうだが、取引関係が深い企業との交渉難航など目標達成に向けては紆余曲折がありそうだ。

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持ち合い解消は「株価にプラス」5割

 株式持ち合い解消が進んだとして、企業業績やマーケットへの影響はどうなるだろうか。

 「株式持ち合い解消が進むと企業業績にどのような影響があると思いますか」という問いに対しては、「収益性が改善する」が38%だったが、「影響しない」が54%も占めた。企業としては、収益改善につながらないものは後回しにするケースも多いとみられる。株式持ち合い解消はいずれ進んでいくのだろうが、各企業の経営戦略等をにらみながら、時間のかかる作業になりそうだ。

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 最後に株式市場への影響を聞いたところ、「収益の改善期待により株価上昇」が13%、「コーポレートガバナンスの改善により株価上昇」が36%で、株価上昇期待は合わせて49%となった。一方、「需給の悪化により株価下落」が23%、「影響しない」が23%となり、株価にとっては積極的にポジティブとみていない市場関係者も少なくないようだ。持ち合い解消に伴う需給不安の受け皿として、個人株主の取り込みを積極化する必要があるとの声もある。今後の企業の動きに関心が集まる。

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※QUICK月次調査とは

 QUICKでは、株式・債券・外為の市場関係者に毎月アンケート調査を実施、QUICK月次調査として発表しています。株式・債券・外為とも、毎月同じ設問を設定することで「強気」「弱気」といった市場のセンチメントの変化を捉えます。同時に、タイムリーな話題を取り込んだスポット質問を設け、市場の注目点も探ります。QUICK月次調査のうち、株式は1994年4月、債券は1996年7月、外為は2011年9月に始まりました。調査対象は証券会社や銀行、機関投資家等の各部門の担当者です。調査結果の内容は日本経済新聞に掲載されることがあるほか、日本銀行や英イングランド銀行(BOE)、欧州中央銀行(ECB)などの各国中央銀行のレポートにも引用されています。

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